ビル管理の業務内容とは?委託のメリットや業者の選び方を解説

土地活用の方法として、オフィスビルやテナントビルの経営を検討されるオーナー様は少なくないでしょう。ビル経営を考えるうえで、必ず向き合わなければならないのがビルの管理業務です。

ビル管理は建物の寿命を左右する重要な業務であり、専門的な知識やスキルが必要なため、ご自身で対応するのではなくビル管理業者へ委託するのが望ましいといえます。とはいえ、具体的にどのような管理業務を委託できるのか、イメージするのは難しいのではないでしょうか。

本記事では、ビル管理業者に委託できる業務の内容、委託するメリット、業者の選び方を解説します。オフィスビルやテナントビルの経営や土地活用を検討する際の参考にしてみてください。

土地活用一筋53年。
累計着工戸数110,000戸超の実績。
冊子をプレゼント

【無料】資料をもらう お問合せ おうちでオンライン相談

適切なビル管理は「建物の寿命」のためにも重要

ビルを含め、建物には耐用年数が定められています。耐用年数と聞くと、単純に建物の寿命を意味すると思いがちですが、一般的には「法定耐用年数」のことを指します。

法定耐用年数は、建物の資産価値を計算するために法的に定められた年数です。法定耐用年数は建物の構造によって異なり、例えば、鉄筋コンクリート造のマンションなら47年と決められています。「耐用年数=建物の寿命」ではないのです。

同じ構造の建物でも、実際の寿命は管理の質や立地環境に左右されるため、一概にはいえません。つまり、適切なビル管理を行なえば、耐用年数より長く活用することもできるのです。実際、耐用年数を超えて利用されているビルは存在します。

ビルを長く有効活用できれば、その分だけ長期間にわたり土地活用による収入を得られます。ビル経営で土地活用を行なうなら、適切な管理により50年、60年と建物の寿命を延ばすことを目指しましょう。

ビル管理で委託できる4つの業務内容

ひとくちにビル管理といっても、清掃や衛生管理、設備管理、防災管理、賃貸管理など、その業務内容は多岐にわたります。

なかには専門資格が必要な業務もありますし、オーナー様ご自身で管理するのは現実的ではありません。適切な管理を行なうためにも、ビル管理業者へ委託するのがおすすめです。

ここからは、具体的にどのような管理業務を委託できるのか、詳しく見ていきましょう。

清掃・衛生管理業務:清掃箇所によっては専門技術が必要

ビル内外の清掃は、気持ちよく施設を利用してもらうために重要な業務です。

ビルの外回り、エントランスや通路、水回り、給排気口、窓ガラス、外壁、屋上などを清掃し、清潔に保たなくてはなりません。高所作業をともなう窓ガラスや外壁の清掃など、清掃箇所によっては専門技術が必要です。

空気環境測定や給排水設備の清掃と管理、ねずみや害虫の駆除といった衛生管理業務も、ビル管理には欠かせません。衛生管理業務では、厚生労働省の「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(通称:ビル管法)」にて定められた建築物環境衛生管理基準に基づく点検や測定の実施を行ないます。

建物の用途や規模が自治体の定めた基準に該当する建物(特定建築物)の場合は、建築物環境衛生管理技術者を選任したうえで、維持管理することが義務づけられています。

設備管理・設備保全業務:事故防止のために必要

電気通信設備や空調設備、給排水設備、消防用設備、エレベーターといったビル内設備の点検や整備、修繕は、ビルの安全利用と事故防止のために重要な業務です。ビルのオーナー様は、建築基準法や電気事業法など、さまざまな法令によって定められた法定点検を適正に実施しなければなりません。法定点検の実務を担うのは、ビル設備管理技能士など専門資格の保有者です。

また、特定建築物に指定されたビルの場合は、特定建築物定期調査の実施と報告が義務づけられています。特定建築物定期調査の実施および報告には、専門知識を身につけた特定建築物調査員と呼ばれる有資格者の協力が必要です。

警備・防災管理業務:監視や緊急時のために必要

ビル管理には、防犯のための警備業務も含まれます。警備の手段としては、セキュリティシステムの導入による遠隔管理、もしくはビル内に警備員を常駐させる方法があります。

最近はコスト削減や利便性のメリットから、システムによる遠隔管理を採用するケースが増加傾向です。とはいえ警備員を常駐させれば、よりきめ細かく迅速な警備対応が期待できるため、ビルの状況や求める警備レベルに合わせて手段を選ぶべきでしょう。

また、火災の防止と有事の際の安全確保のため、防火設備の点検やビル内の監視、消防訓練による緊急時対応の確認を徹底することも大切です。このような防災管理業務は専門的な知識やスキルが求められるため、消防設備点検資格者などが行ないます。

賃貸管理業務:さまざまな知見が必要

ビル利用者の募集および契約管理、外部業者への支払いといった賃貸管理業務も、ビル管理業者へ委託できます。

賃貸管理業務は、継続的に発生し時間的なコストを要するだけでなく、トラブル対応も含まれるためノウハウが必要です。賃料の滞納、近隣住民との紛争といった頭の痛くなるような問題も、ビル管理業者に委託すれば適切に対応してもらえるため安心できます。

ビル管理を委託する4つのメリット

ビル管理を委託することで、「ビル管理による負担が減る」「所有できるビルの可能性が広がる」「ノウハウを学ぶことができる」「ビルの資産価値が維持できる」というメリットを得られます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

ビル管理による負担が減る

ビルの管理業務は内容が多岐にわたるうえ、対応時間の確保と専門的な知識やスキルを要します。長期間にわたり無理なくビルを経営するためには、管理業務の負担軽減は重要な課題といえるでしょう。

ビル管理を委託すれば、オーナー様はビル管理にともなう精神的、肉体的負担を減らせます。ビル管理から解放されることで、時間的な余裕を確保できる点も大きなメリットです。土地活用以外の事業を抱えている方、プライベートの時間を取られたくない方は、ぜひビル管理業者を有効活用しましょう。

所有できるビルの可能性が広がる

「小規模な施設を考えているから」と、ご自身でのビル管理を検討されるオーナー様がいらっしゃるかもしれません。しかしその場合、ビルの立地はオーナー様がすぐに向かえる範囲内に限定されます。

一方、ビル管理業者に基本的な業務を任せれば、常にビル周辺にいる必要がなくなるため、遠方のビルを所有することも可能です。また、将来的に複数のビル経営を考えている場合も、ビル管理を委託すれば実現しやすくなるでしょう。

ノウハウを学ぶことができる

ビルを経営するなら、基本的な建物管理のノウハウを学んでおきたいところですが、一から独学で習得するのは限界があるでしょう。

ビル管理の委託は「プロのノウハウを学べる」という意味でもメリットがあります。ビル管理業者のノウハウを間近で見られるため、今後のビル経営や土地活用に役立つはずです。

ビルの資産価値を維持できる

ビルの資産価値を維持するためには、適切な建物管理が欠かせません。しかし、ご自身でビル管理を行なう場合、修繕が必要な箇所や機器の不具合を見逃してしまうおそれがあります。また、いざ修繕や補修が必要になったときに、対処に迷う可能性もあるでしょう。

一方、ビル管理を委託すれば、プロの目でビルの状態を見てもらえます。委託料がかかるとはいえ、ビルの資産価値の維持につながると考えれば、長い目で見たときのメリットは大きいでしょう。

ビル管理にかかる費用は?

ビル管理にかかる費用は、ビルの規模や委託業務の内容、ビル管理業者によって差があるため、参考としてビル管理費用の種類と考え方を解説します。

ビル管理費用の種類

ビル管理費用には、「プロパティマネジメント費用」と「ビルマネジメント費用」の2種類があります。

プロパティマネジメント費用とは、賃貸管理業務をはじめとする、ビルの経営に関わる業務の代行費のことです。一方、ビルマネジメント費用とは、清掃や衛生管理、設備の管理や保全など、ビルそのものの維持管理業務にかかる費用のことをいいます。

費用面のみで業者は選ばないほうがいい

ビル管理にかかる費用は、ビルの規模やサービスを提供するビル管理業者によって異なります。できる限り管理費用は抑えたいところですが、費用の安い業者は必要な管理業務すべてをカバーできない場合や、技術や経験が不足している可能性もあるため要注意です。

安易に管理費用の安いビル管理業者を採用すれば、ビル管理の質が低くなり、結果的に余計な費用が発生するおそれもあります。ビル管理業者を選ぶ際は費用面だけを基準にせず、長期的な目線で考えることも大切です。

土地活用一筋53年。
累計着工戸数110,000戸超の実績。
冊子をプレゼント

【無料】資料をもらう お問合せ おうちでオンライン相談

ビル管理業者は2種類に分けることができる

ビル管理業者は、「系列系管理業者」「独立系管理業者」の2種類に大別されます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

系列系管理業者

系列系管理業者とは、大手の不動産会社や開発業者がグループ会社として設立したビル管理業者のことです。

系列系管理業者は親会社の持つ物件の管理を中心に担っているため、規模の大きいビルの管理ノウハウを持っています。抱えている人材の数も多く、対応できる業務の幅が広いため、ビルそのものの維持管理業務から賃貸管理業務まで、さまざまな管理業務をまとめて委託できるのがメリットです。

ただし、一般的に系列系管理業者の委託料は高い傾向にあります。また、親会社の方針にのっとった対応となり融通が利きにくい点や、必要に応じて外注業者へ再委託する可能性がある点も留意しておきましょう。

独立系管理業者

独立系管理業者とは、親会社やグループ会社を持たない独立したビル管理業者のことです。

独立系管理業者は、物件のオーナー様と個別に契約を結んで管理業務を請け負っており、系列系管理業者に比べると会社規模が小さい傾向にあります。

業者によって対応できる管理業務の種類や質が異なるため、ビルの規模や業務内容によっては委託先を分散しなくてはならない点に注意しましょう。

一方で、独立系管理業者のなかには、柔軟な対応や独自サービスの提供を強みとする会社もあります。また、系列系管理業者よりも委託料が安い傾向にあるため、必要な管理業務をカバーできるようなら、検討の余地があるでしょう。

ビル管理業者の5つの選び方

ビル管理業者を選ぶ際は、「実績があるか」「明確な説明があるか」「提案力があるか」「適切な情報管理が行なわれているか」「緊急時に対応してくれるか」に注目すると、優良業者と契約できる可能性が高まります。

実績があるか

質の高いビル管理を行なうには、経験に基づく高いノウハウが必要なため、できるだけ実績豊富なビル管理業者を選びましょう。管理を委託したいビルと同規模のビルの管理実績があるか、ビル管理業者のホームページや資料から事前に確認しておくのがおすすめです。

明確な説明があるか

契約締結前の説明が明確かどうかは、ビル管理業者の信頼性を見極めるうえで重要なポイントです。ビル管理業者が提出する業務範囲や業務内容を定めた業務仕様書をよくチェックし、不明な部分があれば必ず説明を求めましょう。

また、契約書に契約期間、更新の条件、解約条件、作業実施回数や実施月、再委託の条件が明記されているか、ビル管理業者にとって有利な内容ではないかも確認してください。

提案力があるか

ビルやオーナー様の状況によって、最適な提案をしてくれるかどうかもビル管理業者を選ぶうえでは大切です。複数社を比較し、プロの目線で最適な管理方法を積極的に提案してくれるビル管理業者を選びましょう。

個々の事情をくみ取り、オーナー様自身も気付かなかった新しい提案をしてくれるビル管理業者であれば、今後のビル経営においても頼れる存在となるでしょう。

適切な情報管理が行なわれているか

委託しているビル管理業者の担当者が途中で変わる可能性は十分にあります。そのため、担当者単位ではなく会社で一括した情報管理を行なっているビル管理業者を選びましょう。

また、ビル経営の状況を正確に把握するうえで、賃料の支払状況などの定期的な管理報告は重要な材料となります。ビル管理業者の定期報告の頻度や報告書の内容を、契約前に確認しておくのがおすすめです。

緊急時に対応してくれるか

ビルの管理業者を選ぶ際は、日常的な管理業務だけでなく、設備の故障などの緊急時に素早く対応してもらえるかどうかも重視しましょう。できれば24時間の緊急対応が可能なビル管理業者が理想的です。夜間や休日はどのように対応しているのか、平日以外の管理体制についてもチェックしてみてください。

ビルが老朽化した場合の3つの対応策

適切に管理をすれば建物の寿命も延び、それだけビルの活用期間を長くできます。しかし、どんなに大切にビルを扱っていても、いつかは来る老朽化を避けることはできません。

ビルが老朽化した場合の対応策としては「建て替え」「リノベーション」「売却」が挙げられます。ここからはそれぞれのメリットとデメリットを解説します。

建て替え

まず考えられるのは、老朽化したビルをいったん取り壊し、新たなビルに建て替える方法です。建て替えなら以前よりも性能の高いビルを作れるうえ、状態も新築となるため、建て替える前よりも賃料アップや空室リスク回避が見込めるでしょう。老朽化により落ちてしまったビルの収益性を、効果的に高められる点が建て替えのメリットです。

ただし、ビルの解体および建築には数億円単位の資金が必要となります。また、ビル利用者の立ち退き交渉からビルの建て替え完了まで、多大な時間と手間がかかるでしょう。

リノベーション

資金や時間、手間の面から建て替えが難しい場合は、代替案としてリノベーションを検討してみましょう。

リノベーションとは、耐久性や耐震性を高める大規模工事や、新たな設備導入により新築時のビルよりも性能を高めた状態に刷新することです。リノベーションなら、壁紙の変更や水回りの設備交換といった簡単なリフォームよりも、効果的にビルの価値を底上げできます。

ビルの構造によって、施せるリノベーション工事には制限があるものの、建て替えに比べて小さいコストで老朽化に対応できる点は大きなメリットです。

売却

ビルの建て替えやリノベーションができないときは、思い切って売却を視野に入れるとよいでしょう。

ビルの状態や立地条件、希望する売却価格によっては購入者が現れない可能性もありますが、うまく売却できればまとまった資金を手に入れられます。新たな資産運用を始めたい場合や、相続に備えたい場合などに有効な対応策です。

ただし、ビルの売却益には仲介手数料などの諸費用や税金がかかります。売却益をすべて手元に残せるわけではないため注意しましょう。

まとめ

ビル管理のやり方次第で、耐用年数以上に建物の寿命を延ばし、より長期間の活用を実現できます。土地活用の方法としてビル経営を検討するなら、どのようにしてビル管理を行なうのかを計画的に考えておきましょう。

ビル管理は業務内容が多岐にわたるうえ、専門知識やスキルが必要となります。また、管理業務にかかる時間と手間を考えれば、ビル管理業者に委託するのがおすすめです。

土地活用一筋51年の生和コーポレーションは、豊富なビル経営のご提案実績に基づき、オーナー様のご意向や土地の立地に合わせたサポートを提供しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。