マンション経営の赤字を回避するには?収支が悪化する原因と対策

マンション経営においては、誰もが「経営に失敗したくない」「赤字になりたくない」と考えるでしょう。

マンション経営の赤字は、「問題ない赤字」と「対処が必要な赤字」に分けられます。後者の状態になってしまった場合は、赤字の原因を分析し、適切な対策を行なわなければなりません。

一方で、マンション経営を始める前に、よくある赤字の原因と対策を知っておけば、「対処が必要な赤字」になりにくい経営を目指せます。

今回は、マンション経営における赤字の種類を紹介するとともに、「対処が必要な赤字」の原因・対策などを解説します。マンション経営の失敗を回避するため、基本的な知識として知っておきましょう。

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マンション経営には「問題ない赤字」と「対処が必要な赤字」がある

マンション経営における赤字には、大きく分けて「問題ない赤字(=帳簿上の赤字)」と「対処が必要な赤字(=実質的な赤字)」があります。したがって、赤字は必ずしも悪いものというわけではありません。

マンション経営を行なう際には、それぞれの赤字の意味を理解し、どちらの赤字の状態になっているのかを見極めることが大切です。

問題ない赤字:帳簿上の赤字

問題ないと考えられるのは、帳簿上でのみ赤字になっているケースです。「帳簿」とは、お金の出入りを記録した帳面・台帳のことを指します。ここでのお金の出入りは、あくまで帳簿上の記録であり、必ずしも現金の動きと同じではありません。

マンションを購入して経営を始めた場合、毎年の確定申告時に、「減価償却費」を経費計上する必要があります。「減価償却」とは、資産の価値は時間の経過とともに減っていくという考え方のことです。この考え方に基づき、マンションの取得にかかった費用を分割し、複数年かけて減価償却費として計上します。

例えば、建築費用が3億2,900万円の鉄筋コンクリート造のマンションがあるとしましょう。この場合、法定耐用年数(法律で規定されている資産の使用可能期間)が47年(※)であるため、3億2,900万円÷47年=700万円となり、減価償却費として毎年700万円を47年間にわたり計上する必要があります。

しかし、減価償却費は実際に毎年支払っているわけではないため、実質的なキャッシュフローには影響していません。よって、帳簿上は減価償却費による赤字が発生していても、実質的には黒字となることがあります。

なお、マンション経営のほかにも事業を行なっていたり、会社員として給与を得ていたりする場合は、「損益通算」という仕組みを活用可能です。損益通算とは、とある事業の赤字を、ほかの事業所得や給与所得の黒字と相殺することをいいます。

マンション経営の帳簿上の赤字を給与所得などの黒字と相殺すると、収入全体の課税所得を減らせるため、節税につながります。ただし、損益通算による節税額よりも赤字による損失が大きいときは、対処が必要といえるでしょう。

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アパート経営・マンション経営の節税の仕組みと効果・経費計上する際のポイントについても解説

対処が必要な赤字:実質的な赤字

対処が必要と考えられるのは、帳簿上の赤字・黒字に関係なく、実際の支出が実際の収入を上回っているケースです。具体的には、毎月の家賃収入よりも、融資の返済・維持管理費用・修繕費用などの支出が上回っている状態を指します。

一時的に赤字が発生していても、最終的に黒字になれば問題ありません。しかし、実質的な赤字の状態が続き、途中で融資の返済が困難になってしまった場合などは、マンション経営そのものを諦めなければならない可能性もあるでしょう。仮に、経営をやめてマンションを売却しても、十分な売却益を得られず融資を完済できなければ、借金だけが残ってしまいます。

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【失敗事例】マンション経営で実際の収支が赤字になる原因と対策

先述のとおり、マンション経営で実際の収支が赤字になるのは、「家賃収入<融資の返済・維持管理費用・修繕費用などの支出」のときです。すなわち、赤字の原因を大きく分類すると、「家賃収入が少ない」または「融資の返済などの支出負担が大きい」のいずれかです。

ここでは、よくある事例をもとに、実際の収支が赤字になる具体的な原因と対策を紹介します。マンション経営が将来赤字にならないよう、ぜひ参考にしてください。

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土地活用は失敗例から学ぶ!失敗しないコツと成功へのポイント

【事例1】入居者が集まらず家賃収入につながらない

マンション経営が赤字になる原因として特に多いのは、入居者が集まらず空室率が高い状態が続き、家賃収入につながらないケースです。

空室リスクを減らすためには、対策として「徹底したリサーチで地域のニーズを正しく把握する」「募集方法を見直す」「サブリース契約を検討する」の3つが挙げられます。

徹底したリサーチで地域のニーズを正しく把握する

それぞれの地域には、「ファミリー層が多く住む地域」「車をおもな移動手段とする地域」などの特性があります。以下の例のように、地域の特性から想定されるニーズと物件の特徴が合わないと、入居者集めが難航するかもしれません。

(例)
●ファミリー層が多く住む地域なのに、単身者向けの間取りにしてしまう
●車をおもな移動手段とする地域なのに、敷地内に駐車場がない

マンション経営を成功させるためには、経営を始める前に十分な期間を確保し、ニーズを正しく把握することが重要です。地域の特性・人気の間取り・家賃相場・近隣物件の空室状況などのリサーチを徹底しましょう。

その際には、インターネットなどから得られるデータだけをもとにするのではなく、実際に周辺を歩いてみたり、専門家やそのエリアで実績のある会社に聞いたりするのも有効です。

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マンション建築・経営で失敗しないために知っておきたいこと

募集方法を見直す

優れた物件で、地域の特性・ニーズともマッチしているのに入居希望者が増えない場合は、そもそも物件の存在が知られていない可能性があります。物件に「入居者募集」と看板を掲示するだけではなく、インターネットサービスを活用し、幅広く入居者を募りましょう。

また、物件情報が人目に触れる機会は多くても、「写真が載っていない」「周辺情報が書かれていない」など、必要な情報が網羅されていないと内見につながりません。マンションを探している人の立場になって、物件情報として提示すべき内容を精査してください。

サブリース契約を検討する

空室リスクを回避する手段として有効なのが、「サブリース」です。サブリースとは、管理会社がオーナー様から物件を借上げ、入居者へ貸出する形態を指します。

サブリース契約をした場合は、物件の空室状況に関係なく、オーナー様は管理会社から毎月安定した収入(保証賃料)を得られます。また、入居者の募集業務や契約締結業務をはじめ、さまざまな管理業務を任せられる点もメリットでしょう。

ただし、サブリースの保証賃料は、本来の家賃収入の8~9割程度で設定されるのが一般的です。たとえ満室でも、家賃収入の全額を得ることはできません。また、保証賃料は、一定期間ごとに見直される可能性がある点にも注意しましょう。

【事例2】周辺環境が変わり空室が増える

地域のニーズを踏まえてマンションを建てても、以下の例のように、周辺環境が変わってしまうかもしれません。

(例)
●閑静な住宅街だったためファミリー向けのマンションを建てたが、周辺に若者向けの施設が増えた
●近くに大学があったため学生向けのマンションを建てたが、キャンパスが移転した

マンション経営では、周辺環境の変化にともない物件の資産価値が下がり、空室が増えてしまうことも想定されます。この事例の対策は、「長期的な視点で経営方針を決める」「リフォーム・リノベーションを行なう」の2つです。

長期的な視点で経営方針を決める

現状のニーズを踏まえることはもちろん大切ですが、周辺環境が変わるリスクも考えておかなければなりません。自治体の都市計画情報や、大学の移転計画情報などをチェックし、長期的な視点でマンション経営の方針を決めることが大切です。

マンションを建てる土地の周辺だけでなく、少し離れた地域の情報も集めておくと、人の流れを予測するのに役立ちます。

また、環境の変化に対する空室リスクを分散させるために、複数の地域でマンションを所有する選択肢もあるでしょう。

リフォーム・リノベーションを行なう

周辺環境やニーズが変わった場合でも、適切なリフォーム・リノベーションにより、物件の競争力を高められます。リフォームとは、住宅設備の交換などにより物件を新築に近い状態に戻すこと、リノベーションとは、間取りの変更などにより物件に新たな価値を付加することです。

リフォーム・リノベーションを行なう範囲によって、かかる費用は大きく変動します。まとまった費用がかかったとしても、入居者が集まりやすくなる・1戸当たりの入居期間が延びる・家賃が下がらないなど、上手くいけば、さまざまなメリットが得られるでしょう。

【事例3】融資返済の負担が収入に見合っていない

家賃収入に対し、融資の返済額の負担が大きい場合も、実質的な赤字となります。特に、変動金利でお金を借りる場合は、固定金利と比べて借入れ時点の金利は低くても、金利の上昇によって返済額が膨らんでしまうリスクがあります。

この事例の対策は、「余剰資金を確保しておく」「借り換えを検討する」の2つです。

余剰資金を確保しておく

マンション経営自体は、自己資金が十分でなくても、銀行の融資を受けて実施可能です。

ただし、必要以上に高額な借入れをしてしまうと、後々返済が苦しくなります。収支シミュレーションに基づき適切な額の借入れをするとともに、可能な限り余剰資金を確保しておくことが大切です。

余剰資金があれば、変動金利でお金を借りたとしても、金利上昇リスクを回避するために、低金利のうちに繰り上げ返済もできるでしょう。また、突発的に修繕が必要になるなど、予期せぬ支出が発生するときでも、余剰資金があれば早期に対応可能です。

借り換えを検討する

利息の支払いが負担となっている場合は、現在よりも金利が低い商品に借り換えることで、キャッシュフローを改善しやすくなります。

借り換え時の注意点は、手数料が発生することです。借り換えにより得られる収益と、手数料などの負担を考慮すると、借り換えにあまりメリットがないケースもあります。候補となる商品をしっかりと比較検討し、借り換えの必要性を判断しましょう。

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マンション経営の失敗を回避するための2つのポイント

マンション経営の失敗を回避するために、次の2つのポイントを意識しましょう。

①経営知識を身に付ける
②信頼できる管理会社を選ぶ

ここでは、マンション経営で赤字にならないよう、経営知識を身に付けることの大切さと、管理会社の選び方について解説します。

経営知識を身に付ける

収支シミュレーションが甘いと、思ったより収入が増えなかったり、予定外の支出が発生したりして失敗しやすくなるでしょう。

マンション経営のキャッシュフローを正しく見極めるには、利回りや税金のことなど、幅広い知識が必要です。例えば、マンション経営にかかる税金には、マンションの取得に対する不動産取得税、マンションの所有に対する固定資産税、家賃収入に対する所得税・住民税などがあります。

また、マンション経営を始める前だけでなく、経営が軌道に乗ってからも、家賃収入を増やす(=空室を増やさない)ための情報収集を継続して行なうことが重要です。

信頼できる管理会社を選ぶ

管理会社は、以下の3つに分類できます。

業務内容 特徴
仲介業務のみ 入居者募集や契約手続きなどの仲介業務のみを行なう
管理業務のみ 入居者対応や建物の清掃などの管理業務のみを行なう
仲介+管理業務 仲介業務に加え、管理業務も一貫して行なう

マンション経営において信頼できる管理会社のポイントは、「入居者募集時の客付力に優れている」「賃貸経営に精通している」「経営が安定している」の3つです。

入居者募集時の客付力に優れている

客付力とは、空室が出てもすぐに入居者を集められる力のことです。客付力に優れた管理会社なら、たとえ退去者が出てもすぐに入居者が集まり、空室期間が短くなります。

特に、仲介業務のみを専門に行なう管理会社は、客付力に優れる傾向にあります。また、仲介業務と管理業務を一貫して行なう管理会社なら、物件のことを詳しく理解しているため、入居を検討している方に物件をより効果的に訴求できるかもしれません。

客付力を判断するには、それぞれの管理会社が管理するマンションの入居率を確認するとよいでしょう。

賃貸経営に精通している

管理会社を選ぶ際は、管理戸数や売上高といった実績を調べ、管理の実態を把握することが大切です。また、管理業務を依頼する場合は、その管理会社が細かい修繕計画を提案してくれるかどうかも、賃貸経営に精通しているか判断する一つの基準といえるでしょう。

経営が安定している

都心部でマンション経営を行なうなら、手間がかからず収益も安定しやすいサブリースがおすすめです。

ただし、サブリース契約では、貸主であるオーナー様よりも、借主である管理会社のほうが法律上保護される立場にあるため、途中で一方的に解約されることのないよう、自社の経営が安定している管理会社を選ぶ必要があります。

まとめ

マンション経営において、毎月の家賃収入よりも、融資の返済・維持管理費用・修繕費用などの支出が上回っている状態の場合は、適切な対策を行なう必要があります。

今回紹介した、マンション経営が実質的な赤字になる具体的な原因と対策は次のとおりです。

原因 対策
入居者が集まらず家賃収入につながらない ● 徹底したリサーチで地域のニーズを正しく把握する
● 募集方法を見直す
● サブリース契約を検討する
周辺環境が変わり空室が増える ● 長期的な視点で経営方針を決める
● リフォーム・リノベーションを行なう
融資返済の負担が収入に見合っていない ● 余剰資金を確保しておく
● 借り換えを検討する

また、マンション経営に際しては、経営知識を身に付けること・信頼できる管理会社を選ぶことも大切です。

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