アパート経営・マンション経営における青色申告と経費の考え方

サラリーマンなど給与所得を受けている人は、勤めている会社が税務処理を行ってくれるため、自分では何もする必要がありません。しかし、アパート経営・マンション経営をはじめて、給与所得とは別に年間20万円以上家賃収入がある場合は、自分で確定申告をする必要があります。
確定申告には、青色申告と白色申告という二つの申告方法があります。青色申告は帳簿の記入など複雑な処理が多いため、いままで確定申告を行ってこなかった人にとっては面倒に感じるかもしれませんが、白色申告と比べるとメリットが大きい制度となっています。
そこで今回は、アパート経営・マンション経営における青色申告と経費について解説することにします。

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青色申告とは

同じ確定申告でも白色申告と違って青色申告は事前に届出の必要があります。主に「仕訳帳」と「総勘定元帳」などからなる複式帳簿に基づいた帳簿の作成が求められることから、白色申告より日々の経理事務の負担がかかりますが、反面、下記のような優遇措置を受けることができます。

・特別控除

複式簿記を行うことで65万円の特別控除を受けることができます(※事業的規模の場合)。

・専従者給与

青色申告の場合は、青色事業専従者給与として、専従者給与を全額必要経費に計上できます(※事業的規模の場合)。白色申告の場合は、配偶者は86万円、それ以外は50万円までしか必要経費に計上することができません。

・損失の繰越

青色申告の場合は、損失を3年間繰り越すことができます。また、前年に繰り戻して税金の還付を受けることもできます。

・少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

青色申告の場合は、30万円までの少額減価償却資産に限り、一括して必要経費に計上することができます。ただし年間で合計300万円までと上限が設定されています(この制度には期限が設定されていて、平成30年3月31日までとなっています)。
※上記の事業的規模とは、5棟または10室程度以上の経営規模を言います 。


従来、白色申告はアパート経営・マンション経営の事業規模が小さい事業者にとって、手間をかけずにできる確定申告方法として大きなメリットがありましたが、平成26年の確定申告分より、従来必要なかった「帳簿の記帳」と「帳簿書類の保存」が義務化されました。白色申告を行う場合は「単式簿記」と呼ばれる帳簿をつけ、普段から領収書の管理を行うことが必要です。そのため、現在白色申告事業者の方は、今一度青色申告ならではの「特別控除」「専従者給与」「損失の繰越」などの優遇措置を考慮して、どの申告方法が自分にとって適切なのか検討することをおすすすめします。

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アパート経営・マンション経営における青色申告の方法

青色申告事業者となるためには、以下の書類を所定の期限内に最寄りの税務署に提出する必要があります。申請後、承認されると青色申告事業者になります。

・青色申告事業者になるための申請書類

1.個人事業の開業・廃業等届出書:開業後1カ月以内
2.所得税の減価償却資産の償却方法の届出書:開業した年の翌年3月15日まで
3.所得税の青色申告承認申請書:開業後2カ月以内。白色から青色に変更する場合は、青色申告を採用する年の3月15日まで
4.青色事業専従者給与に関する届出書:開業後2カ月以内。白色から青色に変更する場合は、青色申告を採用する年の3月15日まで
5.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書:提出した日の翌月に支払う給与から適用されます(青色事業専従者給与を月額88,000円以上支払う場合、源泉徴収し、毎月納税する必要があります。しかしこの申請書を提出し承認されると、7月と1月の年2回にまとめて納税することができるようになります)

・青色申告に必要な帳簿書類

青色申告には、主に以下の帳簿が必要となります。なお、青色申告は郵送または電子申告(e-Tax)でも行うことができます。

1.総勘定元帳:主要簿。各勘定科目ごとにまとめた帳簿
2.仕訳帳:主要簿。すべての取引を日付順に記録した帳簿
3.現金出納帳:すべての現金の取引を記録した帳簿
4.預金帳:現金の出し入れをすべて記録した帳簿。口座ごとに作成します。
5.売上帳・仕入帳:すべての売上と仕入を記録した帳簿
6.売掛帳・買掛帳;売上と仕入を掛けで取引した際に記録する帳簿
7.固定資産台帳:固定資産がある場合、資産ごとに記録する帳簿


確定申告の提出期間は、毎年2月16日から3月15日までとなっています。期限ギリギリになって慌てて申告書を作成すると、ミスにつながるため注意してください。きちんと正しい申告をしておくと、税務調査の際などに慌てずに済みます。処理が複雑なため、日ごろからためずに記帳管理することを心がけましょう。必要であれば確定申告は税理士等の専門家に依頼できるので、複雑な帳簿書類のチェックを含め、相談してみてはいかがでしょうか。