アパート経営・マンション経営における節税対策の効果と仕組み

アパート経営・マンション経営をすることによって、節税対策に役立つことは事実です。ただし、ただ単に不動産投資をはじめただけで簡単に節税ができるわけではありません。節税対策には正確な知識を得ることが大切です。
そこで今回は、アパート経営・マンション経営における節税対策の効果と、仕組みや注意点などについて解説します。
不動産投資で節税効果のある税金
不動産投資において節税効果のある税金としては、所得税、住民税、相続税の3種類です。それぞれの税の特徴と節税効果の理由は以下の通りです。
〇所得税
不動産投資によって所得を得た場合、給与所得とは別に確定申告をする必要があります。計算をした結果、不動産投資で利益が出ている場合は、利益分の所得税を追加で納付する必要があります。しかし、不動産投資が赤字だった場合は、その赤字分を不動産投資以外の所得から控除することができるのです。これは、複数の所得を持つ場合、「損益通算」制度が適用されるためです。
では、具体的に節税の仕組みについて解説します。アパート経営・マンション経営をはじめるためには、物件を新築するか購入することになります。この物件は減価償却資産となり、毎年一定額を経費として計上することが可能です。この減価償却費は、帳簿上は経費として出費したことになりますが、実際に現金で出費するわけではないため、節税したのと同じ効果が得られます。
また、物件の建築費を金融機関から借入れた場合は、金融機関に支払う金利も経費とすることができます。
以上のことをわかりやすく説明すると下記のようになります。
2016年度の帳簿処理を以下のようにしたと仮定します。
1.減価償却費=200万円
2.借入金金利=175万円
3.委託管理費=125万円
4.修繕費=240万円
5.その他の経費=1810万円
6.経費の合計=2550万円(上記1~5の合計)
7.不動産投資による収入=2530万円
・帳簿上の損益
不動産収入(2530万円) - 経費の合計(2550万円) = △20万円
上記の場合、帳簿上は20万円の赤字になりますが、減価償却費200万円は帳簿上マイナスされるだけなので、キャッシュフローは180万円の黒字になるというわけです。しかも損益通算により、不動産投資以外の年収から不動産投資の赤字分20万円がマイナスされ、所得税が還付されることになります。
〇住民税
不動産投資が赤字だった場合、その赤字分が「損益通算」により控除されます。そのため、不動産投資以外の所得が減ると、住民税の計算の元となる課税額も減るため、住民税も軽減され調整分が還付されます。
〇相続税
相続税の評価額は更地で相続する場合と比較して、アパート・マンションを建てることで土地は約2割、建物は3割の割合で評価額が減額されます。
具体的に相続税の減額の仕組みを解説します。
所有する土地と建物の評価額は現金1億円を相続する場合、相続税評価額は1億円のままです。また、現金ではなく、路線価1億円の更地を相続する場合、やはり相続税評価額は1億円となります。 しかしながら、相続された土地に建物を建てた場合、土地に対しては借地権割合(約2割)、建物に対しては借家権割合(一律3割)が適用され評価額が減額されます。
仮に路線価1億円の土地に2億円マンションを建築した場合、更地で相続した場合と比較して評価額は以下のようになります。
・マンション建築後の土地の評価額(借地権割合20%として算出)
【1億円 × (1 - 0.2) = 8000万円(△2000万円)】
・マンション建築後の建物の評価額(借家権割合30%として算出)
【2億円 × (1 - 0.3) = 1.4 億円(△6000万円)】
つまり更地の評価額が1億円、建物の評価額が2億円だった場合、マンションを建てることで土地の評価額は8000万円、建物の評価額は1.4億円に減額され、相続税評価額が土地と建物で8000万円減額されたことがわかります。借地権割合は国税庁の公表する路線価図や評価倍率表に明記されており、地域や都市計画法により定められた用途地域等の条件により異なります。
アパート経営・マンション経営における節税対策の注意点
上記のように、アパート経営・マンション経営によって確かに節税することは可能です。しかし、いくら節税ができると言っても、アパート経営・マンション経営による赤字が大きくなり過ぎると、借入れローンの支払いができなくなり経営が破綻してしまうことにもなりかねません。アパート経営・マンション経営の主な目的が節税対策であれば、健全な不動産運用に大きな支障がない範囲での節税対策は非常に有効と言えるでしょう。
不動産投資による節税は、さまざまな条件が揃ってはじめて大きな効果を発揮します。不動産投資をすれば必ず節税ができるわけではありません。節税対策を行う場合は、その点に注意して、自分にとってメリットがあるかどうかをよく検討してから行うことが重要です。そのためにも個別の条件に合った有効な節税対策を、税理士等の専門家に相談することをおすすめします。
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