家賃収入の所得税はどのくらいかかるのか?税金の計算方法を説明

不動産投資を行う際は、税金まで考慮して健全なキャッシュフローを構築したいものです。
しかし、アパートなど賃貸物件の経営で家賃収入を得た場合、所得税はどのようにかかってくるのでしょうか。

今回は、家賃収入にかかる税金の中でも特に所得税に注目し、所得税の計算方法や控除の内容に関して解説します。ぜひ家賃収入の税金対策にお役立てください。

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家賃収入にかかる税金とは

家賃収入にかかる税金の種類は以下の通りです。

所得税

個人が得る所得に対してかかる税金です。賃貸経営を始めるために不動産物件を取得し、物件から家賃収入を得ると所得税がかかります。

住民税

所得税と同様に、基本的には所得をもとに計算されます。

消費税はかかるのか

消費税は、課税売上高が1,000万円を超えた場合、その翌々年から課税されますが、居住用賃貸物件のみであれば1,000万円を超えても課税対象にはなりません。

一方、オフィスや店舗などの事業用賃貸物件は消費税対象となるため、課税売上高が1,000万円以上であれば、その売上高に対して課税されます。
また、事業用賃貸物件が居住用賃貸物件に付帯する場合は、面積比などの方法によって按分して算出します。

上記の消費税対象に当てはまり、消費税課税業者になった場合には、以下3点について注意が必要です。

・税務署への届出が必要になること
・消費税課税業者となった2年後に支払うこと
・消費税課税業者となった2年後の家賃収入が、1,000万円未満でも支払が必要なこと

家賃収入の所得税の計算方法

所得税は、個人の総所得に対してかかる税金となり、原則的に総合課税となります。
なお、課税方法には「総合課税」と「分離課税」があり、総合課税とは所得金額をひとまとめにして税額計算をする方法、分離課税は所得を合算せず分けたまま税額計算をする方法です。

それでは、家賃収入がある場合の所得税の計算方法を見ていきましょう。

まず不動産所得を求める

所得税には計算方法の異なる10種類の区分があり、家賃収入は不動産所得に該当するため、以下のように計算します。

・不動産所得=家賃収入-必要経費

ここでの必要経費とは、家賃収入を得るために直接かかった費用です。
※必要経費の具体的内容は「家賃収入にも経費計上できる」の項で説明

課税所得を求める

副業として不動産投資をされているオーナー様は、不動産所得とサラリーマンとしての給与所得など他の所得と合算します。

・課税所得=不動産所得+他の所得-各種控除

所得税額を求める

上記で算出した課税所得をもとに、以下の計算式で所得税の金額を求めます。

・所得税額=課税所得×税率-課税控除額

なお、課税所得の金額に応じた税率と控除額は、国税庁のホームページで確認できます。

所得税の計算式例

では、計算方法の具体例として、以下の内容をもとに計算していきます。

・収入:家賃900万円+更新料100万円=1,000万円 ※家賃だけでなく、更新料や礼金なども収入として含む
・経費:ローン返済のうち利息50万+管理費100万円+修繕費100万円+減価償却費200万円+その他経費50万円=500万円

この場合、不動産所得は以下の通りです。
・不動産所得:1,000万円-500万円=500万円

また、不動産所得以外にも、サラリーマンなど本業の所得がある場合には、その他の所得と不動産所得を足して課税所得を計算します。ここでは仮に、その他の所得が500万円ある想定で計算しましょう。
・所得:その他の所得500万円+不動産所得500万円
・課税所得:1,000万円-各種控除80万円=920万円

ここから、以下のように所得税が計算できます。
・所得税額:920万円×33%-課税控除額63万6,000円=240万円
※所得税の税率と控除額は国税庁ホームページより引用

所得税は他の収入にも影響される

前項でも少し触れたように、所得税は会社員としての給与所得はもちろん、他の収入も合わせた総所得にかかりますので、家賃収入以外にも給与所得や雑所得がある方は、所得税を計算する際に注意が必要です。

また、所得の種類は所得税法によって以下の10種類に区分されており、この区分によって計算方法が異なります。

1.利子所得
2.配当所得
3.不動産所得
4.事業所得
5.給与所得
6.退職所得
7.山林所得
8.譲渡所得
9.一時所得
10.雑所得
なお、公的年金や非営業用貸金の利子などは、1.~9.いずれにも当てはまらない所得となります。

そして、課税方法には総合課税と分離課税があります。
総合課税は各種の所得を合計して所得税の金額を計算するもので、分離課税は所得を合算せず、分けたまま計算する方法です。
上記に挙げた所得の中で、退職所得・山林所得以外はすべて総合課税の対象となります。

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所得税を計算する際に控除されるものとは

所得税の計算には以下の控除があります。

基礎控除

基礎控除は、所得税を納税者全員に一律で適用され、控除額は38万円です。

社会保険料控除

所得税納税者が、自身のものはもちろん、生計が同じ配偶者や家族のために支払った社会保険料が控除されます。支払った保険料と同じ金額を控除することが可能です。

医療費控除

所得税納税者が、自分や家族のために年間10万円以上の医療費を支払ったときに受けられる控除です。

配偶者控除

配偶者のいる所得税納税者の負担を軽減するために設けられた控除で、控除金額は38万円です。ただし、この控除を受けるにはいくつかの条件があります。

扶養控除

扶養親族を持つ所得税納税者のための控除です。控除金額は扶養親族の年齢などにより異なります。

障碍者控除

納税者自身、または家族が所得税法上の障害者に該当する場合に受けられる控除です。控除額は、1人につき27万円となります。

青色申告特別控除

青色申告者にのみ適用される所得控除で、控除額は10万円か65万円となり、簿記の方法によって控除額が変わります。

家賃収入でも経費計上できる

家賃収入がある場合には、以下の経費が計上できます。

・税金…固定資産税や都市計画税、不動産購入の際の不動産取得税、また収入印紙代など
・保険料…火災保険料や地震保険料
・管理委託料…賃貸物件の管理を任せている会社への支払い
・税理士や司法書士への報酬…確定申告や登記手続きの際に依頼
・減価償却費
・修繕費
・ローンの利息…建物を取得するために組んだローンの金利、および、融資の手数料
・交際費、交通費、通信費、消耗品 ※管理会社との打ち合わせや物件確認などの際の利用に限ります

不動産所得は家賃収入から経費を引いたものであるため、経費を計上することで不動産所得を減らし、結果的に所得税を抑えることができます。
ただし、過度の計上はバランスの悪いキャッシュフローとなり、融資審査が通らなかったり、税務署調査の対象となったりしてしまうリスクがありますので、適切な経費計上が重要です。

家賃収入は経費計上可能、他の所得と合算して所得税算出

家賃収入における不動産所得は、家賃収入から経費を差し引いて求められますが、必要経費として何がどこまで認められるか正しい知識が必要となります。
また、所得税は不動産所得以外の所得も合算して計算するため、会社員として給与所得がある方は、必ずその所得を合わせて確定申告を行いましょう。

不動産投資は、収入を得てから申告書類を作成して確定申告を行うまで、トータルで収支計画を考えていくことが大切です。

※写真はイメージです
※本記事は、2019年4月以前時点の情報をもとに執筆しています。 マーケットの変化や、法律・制度の変更により状況が異なる場合があります
※記事中では一般的な事例や試算を取り上げています。個別の案件については、お気軽にお問い合わせください。