賃貸併用住宅の中古と新築の違い

賃貸併用住宅とは、賃貸に使用する建物に、自分の居住スペースを確保したものですが、一般的に通常の戸建てよりも割高で、アパートよりも利回りが低いという特徴があります。

賃貸併用住宅の運営を考えた場合、新築と中古のどちらにどのようなメリットがあるのでしょうか。

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基本的には新築が前提

中古の賃貸併用住宅の物件数は非常に少ないため、賃貸併用住宅を運営するとなると、基本的には新築で建てることが前提になります。

また、新築の場合は、建売がなく、注文住宅となりますので、建築費用についてもよく検討する必要があるでしょう。

賃貸併用なのであれば、入居者を得るために、建物のデザインも非常に重要になります。

最新のトレンドや、便利な機能、使い勝手の良さなど、これから入居者を募るにあたって、印象の良い建物づくりが出来る点は、新築の最大のメリットであるといえるでしょう。

新築の場合は、複数の建築会社の価格やデザイン、設備などについて資料を集め、どのような賃貸併用住宅にするのか、よく検討してみましょう。

中古の賃貸併用住宅を考えるには?

希望する地域に、自分の求める条件と合致した物件があるかどうかを考えてみると、賃貸併用住宅は非常に少なく、見つけるのは非常に難しいといわざるを得ません。

しかし、新築で建てる前に、条件に合う中古の物件があるかどうかを調べておけば、新築よりも安く賃貸併用住宅を入手することが可能かもしれません。

投資額を低く抑えることで、リスクも抑えることができます。

投資額が低いということは、ローンの負担も軽くなるということですので、家賃収入で手早く完済することも不可能ではありません。

実際に中古の賃貸併用住宅を探す方法としては、専門の収益物件サイトが良いでしょう。

また、二世帯住宅やアパート・マンションを購入して、賃貸併用住宅として改装するという手段もあります。

このようにアパート・マンションを賃貸併用住宅とする場合、2、3階建ての建物に限らず、5階建て以上の中高層賃貸物件の最上階などをオーナー様の自宅にするようなパターンも可能です。

新築と中古の違い

中古の賃貸併用住宅の場合、全てが空室という状態でさえなければ、購入した時点から家賃が発生しますので、すぐにローンの返済等に充てることが可能です。

しかし、新築で建てる場合には、まずは土地を購入し、建物を建築する必要があります。もちろん中古で購入するよりも投資額はずっと高くなります。

土地を購入した時点でローンの支払いは発生しますが、建物が完成し、入居者が入るまでは家賃が発生しませんので、発生する支払いは自力でどうにかする必要があるでしょう。

また、建物が完成して引き渡された時点で、建物のローンも発生しますので、資金は余裕を持って準備しておく必要があるでしょう。

新築であれば、時代や土地のニーズに合わせた建物を、自分の意思を反映させて建てることが可能ですが、投資額が高く、支払いが困難にならないよう注意する必要があります。

中古の場合は、投資額が低く、すぐに家賃を得ることができる代わりに、求める条件の建物が非常に見つけにくいこと、間取りやデザインなどが決められないことなどがデメリットになる、といえるでしょう。

以上のように、中古物件のメリットは資金計画が比較的余裕を持って立てられる点です。 そして、新築物件のメリットはオーナー様ご自身の希望通りの物件を土地探し・間取りから考えられる点となります。

それでは、新築と中古それぞれの運用をシミュレーションしてみましょう。
以下の内容はあくまで仮定の話ではありますが、参考にしてみてください。

新築の場合、家賃4万5,000円の部屋が4部屋ある物件を7,200万円(土地3,200万円、建物4,000万円)で購入した場合を例とします。
この場合、建物の内訳は自宅約80㎡、賃貸20㎡×4とします。
5,200万円の35年ローンを金利1.75%で融資を受けたとすると、毎月の返済額は約16万5,700円となります。毎月の家賃収入は18万円ですから返済に問題はありません。

この物件の場合、年間216万円の家賃収入が得られ3%の表面利回り(年間収入÷購入価格)という結果になります。

そして中古の場合、家賃3万8,000円の部屋が4部屋ある物件を5,200万円(土地3,200万円、建物2,000万円)で購入した場合を例とします。
建物の内訳を自宅約80㎡、賃貸20㎡×4として、 4,200万円の35年ローンを金利1.75%で融資を受けたとすると、毎月の返済額は約13万3,800円となります。
毎月の家賃収入は15万2,000円ですから、返済に問題はありません。
この物件の場合には、年間約182万円の家賃収入が得られ、表面利回り(年間収入÷購入価格)は約3.5%という結果になります。

上記の内容を比較してみると、新築であれば、20年後に築20年の物件として売却することもできますので、最初に中古を取得した場合よりも有利となるでしょう。
また、修繕費も中古に比較すると安価で済みます。

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賃貸併用住宅で利用できるローンとは

まず、賃貸併用住宅では物件の床面積50%以上が自己居住用であれば、賃貸経営をしていても住宅ローンを利用することが可能です。

そのため、上記の条件が当てはまらない場合は、住宅ローンより金利が高い投資用ローンの利用となります。また、賃貸併用住宅は不動産投資物件ですので、実質的に不動産の事業に対する事業融資となります。

上記のように、住宅ローンの条件に当てはまらない場合は投資用ローンとなる、ということは住宅ローンと投資用ローンの併用はできないのではないか、と思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、この二つのローンは返済原資が違います。住宅ローンは「所有者の収入」が原資、投資用ローンは「賃料収入」が原資となり、金融機関から見れば別物です。
従って、住宅ローンを組んでいる状況で、さらに投資用ローンを組むことが可能です。
(個々の詳細条件により金融機関の判断には相違があります)

ただし、住宅ローンは居住用の家を建築するために利用するものなので、土地の購入だけでは利用できません。また、リスク管理のため、投資用ローンの融資対象は建物に限定し、土地の購入は対象外としている金融機関もあります。

そのため新築物件で土地の購入から視野に入れている方は、購入予定の土地が融資対象となるかどうか事前に把握しておく必要があります。
どちらのローンを利用するにせよ、資金計画は十分検討しましょう。

また、居住部分と店舗部分が一体化した「店舗併用住宅」の場合、店舗部分には通常の住宅ローンは適用されません。住宅ローンはあくまでも居住用建物を建てる際に利用できるローンであり、事業用建物は対象ではないからです。
そのため店舗併用住宅を建築の際は、居住部分と店舗部分の資金計画を分けて住宅ローンと事業ローンの手続きをすることが必要です。

賃貸併用住宅に関わる税金とは

賃貸併用住宅に関わる税金の種類や、控除額などについて説明していきます。

不動産取得税

不動産取得税は、土地や建物を取得した際に取得した不動産が所在する都道府県が課税する税金となります。
不動産取得税を算出する場合は、土地と建物を取得した時の固定資産税評価額=課税標準として以下のような計算式になります。

不動産取得税=課税標準×税率4%

また、この税の控除内容は以下になります。

・新築物件の場合
新築物件の床面積が50㎡以上240㎡以下の場合、課税標準から物件一戸につき1,200万円が控除となります。

・中古物件の場合
個人が自宅として、床面積が50㎡以上240㎡以下の新築後25年以内(非木造の建物の場合)など、一定の要件を満たす中古住宅を取得した場合、以下の控除金額となります。

1997年3月31日以前の建築の場合は、建築時期に応じて350万円から最高1,000万円まで、1997年4月1日以降の建築の場合は1,200万円が課税標準から控除されます。

なお、上記の不動産所得税の計算方法や控除額に関して、賃貸併用住宅と通常の賃貸物件に違いはありません。

固定資産税

固定資産税には、自宅や賃貸物件などの土地に関して課税標準額を軽減する特例があります。 その特例により、物件1戸あたり200㎡まで課税標準額が1/6に減額し、物件1戸あたり200㎡を超えた部分は、課税標準額が1/3に減額されます。

この場合に、賃貸併用住宅を建てることで戸数が2つになれば、さらに200㎡が1/6の減額特例の対象となります。

相続税

賃貸併用住宅の場合、賃貸部分については評価減の特例の適用対象となり、賃貸部分は自宅部分より評価額が低くなるため、相続税を抑えることが可能です。

また計算上、小規模宅地等の評価額の特例が適用できれば、さらに評価額の減額が認められます。配偶者や同居の子供が自宅を相続する際、最大330㎡まで80%の評価減が可能です。

しかし、相続開始前の3年以内に同居していない3等親内が相続人となる場合、相続開始時に居住していた家屋を相続前に所有していたことがあると、評価減の特例の対象となりません。
過度な節税対策を防ぐため、改正により適用条件が厳しくなりましたので、十分な注意が必要です。

賃貸併用住宅の経営ポイント

賃貸併用住宅の家賃収入を安定させるための経営ポイントがいくつかありますので、紹介していきます。

・プライバシーを尊重した設計
まずは、入居者の居室への出入り口をオーナー様から見えないようにする、オーナー様の居室の出入り口から離すなど、お互い気を使わなくて済むようにプライバシーが尊重された出入り口の設計にすることはとても大切です。

オーナー様と同じ一棟内に住んで頻繁に顔を合わせることに抵抗のある方は意外に多いものですので、そのような入居者へ配慮をしましょう。

・防音対策
次に、防音対策も大切です。
入居者同士はもちろん、オーナー様やそのご家族と入居者もライフスタイルや価値観などが違います。

必要以上にお互いの生活音が聞こえるのは、毎日続けば想像を超えたストレスとなるでしょう。そのため、双方がストレスにならないよう、賃貸併用住宅の場合は特に、居住スペースの防音対策が重要です。

・入居者の住み心地を重視
また、あくまでも入居者の住み心地を優先しましょう。
オーナー様が自身の居住部分の環境を優先し、賃貸部分とはっきりとしたクオリティの差があるのは入居者にとって愉快ではありません。

賃貸併用住宅はオーナー様自身の自宅でもありますが、賃貸物件でもあることを忘れず、入居者が住みたいと思える物件にしましょう。

・信頼できる管理会社を見つける
そして、入金管理・クレーム対応・物件管理などは第三者的立場の管理会社に任せましょう。

リスク管理の面でもトラブル回避の面でも、オーナー様が直接対応されるより得策ですし、精神衛生上もおすすめです。
安心して任せられる管理会社を探しましょう。

4つのポイントを挙げましたが、まず大前提として投資である以上、ローンの返済計画に無理がないことが大切です。
安定したキャッシュフローの構築を行いましょう。

賃貸併用住宅のローン&税金から見えるポイント

賃貸併用住宅は「不動産投資」と「居住用住宅」というあい反する二つの特徴を持ちます。
検討される場合には、利用できるローンの条件を正しく理解し、無理のない資金計画を立てましょう。

税金に関しても、不動産取得税・固定資産税・相続税がどうなるかしっかりシミュレーションしておきましょう。

入居者との距離が近いことはトラブルの原因にもなります。プライベートの尊重・防音・第三者管理などを配慮して経営することが大切です。

※写真はイメージです
※本記事は、2018年9月以前時点の情報をもとに執筆しています。 マーケットの変化や、法律・制度の変更により状況が異なる場合があります
※記事中では一般的な事例や試算を取り上げています。個別の案件については、お気軽にお問い合わせください。