RC造・S造・W造・SRC造の違いとは?構造別のメリットとデメリットを解説

賃貸マンションや賃貸アパートの経営を検討する際、しっかりと考えておくべき項目の一つに「建物の構造」が挙げられます。

しかし、建物の構造にいくつか種類があることは、ご存知の方も多いと思いますが、例えば「強度が高い/低い」などと、大まかなイメージしか持てていない方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、RC造・S造・W造・SRC造の構造の違いや、構造別のメリット・デメリットなどを解説します。

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建物の構造は4種類(RC・S・W・SRC)

建物の構造は、素材によって大別すると「RC造」「S造」「W造」「SRC造」の4種類です。以下では、それぞれの構造の特徴を解説します。

RC造(鉄筋コンクリート造)

RC造(Reinforced Concrete)とは、「鉄筋コンクリート造」のことです。

具体的には、建物の柱や梁などの強度が求められる部分を中心に、鉄筋を組んだ枠へコンクリートを流し込んだ素材を使う構造を指します。

鉄筋は引っ張りに対する抵抗力があり、コンクリートは圧縮や熱に強いという特徴がありますが、一方で鉄筋は圧縮や熱に弱く、コンクリートは引っ張りに強くありません。
RC造では、異なる性質を持つ鉄筋とコンクリートの強みと弱みをうまく組み合わせることで、建物の強度を高めています。

なお、RC造住宅の「法定耐用年数」は、今回紹介するRC造・S造・W造・SRC造の4つの構造のなかで、SRC造と並び最も長い47年です。
法定耐用年数とは「その資産がどれくらいの年数使えるか」という目安を法律で定めたもので、法定耐用年数が長ければ、それだけ資産価値を長く保てると考えられます。

S造(鉄骨造)

S造(Steel)とは、「鉄骨造」のことです。

建物の骨組に鉄骨を使っている構造で、骨格材の厚さが6mm未満の場合は「軽量鉄骨構造」、骨格材の厚さが6mm以上の場合は「重量鉄骨構造」と区分されます。

軽量鉄骨構造では、柱・梁・ブレース(筋交い)を組み合わせた「鉄骨軸組工法(ブレース工法)」が用いられるのが一般的です。

一方の重量鉄骨構造では、柱や梁の接合部を、溶接などにより接合して一体化させる「鉄骨ラーメン構造」の採用が多く見られます。

S造ではコンクリートを使用しないため、RC造やSRC造よりも建物の軽量化を図れる点が特徴です。

S造住宅の法定耐用年数は、骨格材の厚さが3mm以下の場合は19年、3mmを超え4mm以下の場合は27年、4mmを超える場合は34年とそれぞれ定められています。

W造(木造)

W造(Wood)とは「木造」を指すもので、建物の柱や梁などに、木材を使う構造です。

おもに戸建て住宅に採用されてきた構造ですが、技術の進歩によって、近年では中規模の建物に用いる場面も見られます。

W造は、骨組みの形式により「軸組工法(在来工法)」と「2×4(ツーバイフォー)工法」に大別されます。
軸組工法はS造の鉄骨軸組工法と同様に、柱や梁、筋交いなどを組み合わせた日本古来の工法で、アメリカより導入された2×4工法は、2インチ×4インチの角材の枠に板を打ち付けていく工法です。

W造住宅の法定耐用年数は、22年とされています。

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

SRC造(Steel Reinforced Concrete)とは、「鉄骨鉄筋コンクリート造」のことです。

具体的には、鉄骨を支柱とし、その周囲に組んだ鉄筋の枠にコンクリートを流し込んだ素材を使う構造を指します。

すなわち、「RC造の部材の中に鉄骨を内蔵させたもの」とイメージするとよいでしょう。
SRC造の建物は、RC造が持つ耐久性に加え、鉄骨が持つしなやかさと粘り強さを兼ね備えているのが特徴です。

ただし、高層マンションなどの場合、すべての階層にコンクリートを流し込むと建物が重くなってしまうため、高層階にはコンクリートを流し込まないケースもあります。

SRC造住宅の法定耐用年数は、RC造と同様に47年です。

構造別(RC・S・W・SRC)のメリットとデメリット

先述のとおり、RC造・S造・W造・SRC造の4種類の構造は、それぞれ特徴が異なります。
続いては、建物の構造別にメリットとデメリットを確認していきましょう。

RC造のメリット

RC造は気密性が高いため、外からの音も中からの音も、高い音も低い音も聞こえにくく、遮音性に優れています。
気密性の高さは冷暖房効率の向上にもつながりますので、省エネルギー効果が期待できるでしょう。

また、引っ張りに強い鉄筋と、圧縮に強いコンクリートの長所を活かす構造であること、基礎や柱、梁などを継ぎ目なく一体化する構造であることから、高い耐震性を備えます。
特にコンクリートは、不燃材料という特徴が耐火性の高さに寄与するとともに、さまざまな形状に成形しやすい特徴から、建物の比較的自由なデザインも可能とするのです。

加えて、RC造住宅は、SRC造住宅とともに法定耐用年数が長いため、資産としての価値も高くなります。

RC造のデメリット

S造やW造と比べると、コンクリートを流し込まねばならないために工数が増え、建築や解体に要する費用が高くなりがちです。
ただし、腐食に強く耐久性の高いRC造の建物は、長期間使用できることを考慮すれば、トータルコストとしては高いともいい切れません。

また、遮音性や省エネの観点ではメリットとなる「気密性の高さ」が影響し、RC造の建物では結露やカビが発生しやすくなる場合もあります。
高い気密性を有するという特性を理解し、きちんと換気を行なって結露やカビを防ぐことが大切です。

なお、RC造では、鉄筋やコンクリートといった重量のある材料を使用するため、強固な地盤が求められます。
そのため、地盤改良にかかるコストが高くなる可能性もあるでしょう。

S造のメリット

S造のうち、特に骨格材の薄い軽量鉄骨構造の場合は、建築費用を抑えられます。
これは、工期を短縮できることや、材料を大量生産できることなどによるものです。
一般的に、工期が長くなればなるほど建築費用は高くなり、逆に工期を短縮できれば、建築費用を安く抑えられます。

また、コンクリートを使用せず建物の軽量化を図れるS造は、高層ビルや広大な建築物などにも適しています。
軽いだけでなく粘り強さもあるため、柱などの材料自体を細くすることもでき、自由な間取りを実現しやすい点もメリットといえるでしょう。

S造のデメリット

S造で用いられる鉄には、熱に弱く錆びやすい性質があります。
耐火性の面で不安が残るのに加え、海に近い立地など、潮風の影響を受けやすい場所には適しません。
建物の仕上げに、耐火性に優れた材料や錆止めの塗料を使用することはできますが、その分建築費用は高くなってしまいます。

また、S造はしなやかさがある反面、地震や風の影響で揺れやすくもなり、RC造やSRC造と比べると耐震性などは劣るでしょう。
ただし、免震構造を採用することにより耐震性を高めているS造の建物も、近年は増えています。

なお、一般的にS造の建物は遮音性や断熱性が低いといわれますが、性能の高い間仕切り壁や石膏ボードを採用することで、それらのデメリットを回避することは可能です。
それでもRC造と比べれば、遮音性や断熱性は劣るでしょう。

W造のメリット

日本古来のスタンダードな構造でもあるW造は、おもな材料が木材であることと、ほかの構造に比べて工期が短く済むことから、建築費用を抑えられます。

そのため、W造で賃貸物件を建築して貸し出す場合には、建築費用を安く抑えられる分、賃料を安く設定することも可能でしょう。

また、材料が軽量なため、地盤補強のしにくい狭小地や変形地、奥まった土地などでも柔軟な施工がしやすい点もメリットの一つです。

さらに、W造は気温や湿度が大きく変化する日本の気候にも適しています。例えば、室内が乾燥する冬は、木材に蓄えられていた水分が空気中に放出され、湿度が高くなる梅雨などは、木材が空気中の水分を吸収してくれるのです。

加えて、通気性にも優れており、熱や湿気が建物内にこもりにくいため、あまり気候に左右されず快適に生活できるでしょう。

W造のデメリット

W造は、RC造・S造・SRC造と比べて、遮音性や耐震・耐火性が低いといわれます。
ただし、2×4工法なら、優れた遮音性や耐震・耐火性を備える建物にすることも可能です。特に、耐震・耐火性については、鉄よりも強い水準であることがわかっています。

また、W造は気密性が低いため、冷暖房効率が悪くなってしまいます。
暑さや寒さへの対策をしなければならず、それによる光熱費の増加も懸念されることから、物件の入居者にとって、気密性の低さはデメリットにもなるでしょう。

加えて、木材に湧くシロアリなどの害虫被害にも注意しなければなりません。
害虫被害を防ぐために、点検や薬剤散布などの定期的なメンテナンスが必要になることもあります。

なお、W造住宅の法定耐用年数は22年であり、RC造住宅やSRC造住宅の47年と比べると半分以下の長さです。
資産として考えると、どうしても価値は劣ってしまう傾向にあるでしょう。

SRC造のメリット

SRC造の建物は、耐震・耐火性の高いRC造よりも、さらに揺れや火に強い構造になっています。
RC造の耐久性にS造のしなやかさや粘り強さも加わり、性能や強度が高くなることから、SRC造は低層マンションだけでなく、高層または超高層マンションなどにも採用しやすい点がメリットの一つです。

ただし、建物が重くならないよう、高層階にはコンクリートを流し込まないケースもあるとお伝えしたとおり、低層階と高層階では耐震・耐火性の高さが異なる場合もあります。

ほかにも、強度の高さを活かし、柱の本数を少なくすることやサイズを小さくすることができるため、広く開放的な空間を設計しやすい点がメリットといえるでしょう。

資産価値についてもRC造住宅と同様、法定耐用年数が長いために高くなります。

SRC造のデメリット

SRC造では、RC造の中に鉄骨を内蔵させるため、手間と時間がかかるうえに、材料費や基盤改良費なども多くかかってしまいます。
ほかの建物の構造に比べると、建築費用が高くなりやすい点がデメリットです。

また、近年では強度の高いRC造が普及してきているため、あえてSRC造を選択する必要がないケースもあるでしょう。

実際に、SRC造が採用される場面は減少傾向にあるといわれます。なお、高気密であることによる結露やカビの発生のしやすさは、RC造と同様です。SRC造でも、換気をはじめとする結露・カビ対策が必要となるでしょう。

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遮音性や耐震・耐火性を重視するならRC造がおすすめ

RC造・S造・W造・SRC造の構造別にお伝えしたメリット・デメリットを踏まえると、RC造は、建物の遮音性や耐震・耐火性を重視する方におすすめです。

遮音性について、RC造とSRC造の機能の差はそれほど大きくありません。
さらに遮音にこだわる場合は、「戸境壁(こざかいへき)」と呼ばれる、住戸間の壁の厚さや材質にこだわるとよいでしょう。

また、耐震・耐火性についても以前はSRC造のほうが有利でしたが、技術の進歩によって強度の高いRC造が普及しており、近年ではそこまで大きな差はありません。

建物の資産価値を長く維持することを重視する方にとっても、法定耐用年数がSRC造と並んで47年となっているRC造はおすすめの構造です。

まとめ

建物の構造は、RC造・S造・W造・SRC造の4種類に大別されます。
それぞれの構造のおもなメリットとデメリットをまとめたものが、以下の表です。

建物の構造 おもなメリット おもなデメリット
RC造(鉄筋コンクリート造) ・遮音性や耐震・耐火性が高い
・資産価値が高い
・気密性が高いため、結露やカビが発生しやすい
S造(鉄骨造) ・建築費用を抑えられる
・自由な間取りを実現しやすい
・遮音性や耐震・耐火性が劣る
・潮風の影響を受けやすい
W造(木造) ・建築費用を抑えられる
・調湿効果・通気性が高い
・遮音性や耐震・耐火性が劣る
・気密性が低いため、冷暖房効率が悪くなる
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) ・遮音性や耐震・耐火性が高い
・資産価値が高い
・建築費用が高い
・気密性が高いため、結露やカビが発生しやすい

RC造なら、建物の遮音性や耐震・耐火性を重視する方、建物の資産価値を長く維持することを重視する方などに適しています。

とはいえ、どの構造を選択すべきかについては、ケースに応じて慎重に検討する必要があるでしょう。

生和コーポレーションの賃貸マンション・賃貸アパート経営なら、敷地の特性やオーナー様のニーズに合わせて、RC造・S造・W造(2×4工法)のなかから構造を選択できます。
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