老健施設とは?特別養護老人ホームとの違いや運営のメリット・デメリットも解説
超高齢化社会のなかにある日本では、土地活用の方法として老人介護施設に注目が集まっています。
老人介護施設にはさまざまな種類があり、「老健」「特養」「サ高住」などといった施設の呼び名を耳にしたことはあります。しかし、それぞれの介護施設にどのような違いがあるか、よくわからないと感じる方もいると思います。
この記事では、土地活用として介護施設を考える方に、老健施設(介護老人保健施設)をご紹介します。施設の概要を中心に取り上げ、混同されやすい特養(特別養護老人ホーム)との違いを、わかりやすく比較して解説しましょう。
また、介護施設運営で土地活用をする際の特徴や、メリット・デメリット、注意点も取り上げますので、参考にしてください。
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老健施設(介護老人保健施設)とは?
初めに、土地活用でも注目される老人介護施設の一つ「老健施設(介護老人保健施設)」について、施設の特徴や入居条件、受けられるサービスについて解説します。
老健施設(介護老人保健施設)の特徴
老健施設(介護老人保健施設)は、自宅での生活が難しい高齢者が、医療的ケアや介護サービス、リハビリテーションを受けながら、在宅復帰を目的とする施設です。
サービスの内容から考えると「病院と老人ホームの中間の要素を持った施設」というポジションといえるでしょう。
特徴的なのは「在宅復帰を目的とする」という点です。あくまでも自宅に帰るために一時的に入居して、介護やリハビリテーションを利用して回復を目指すのが老健施設で、この点が終身利用できる特別養護老人ホームとの大きな違いとなります。
老健施設の入居条件
老健施設の入居条件は、65歳以上で要介護1~5の高齢者となっています。
例えば、入院治療を受けており、病状が落ち着いて退院した高齢者が、すぐに自宅へ帰って生活することは難しい状況だったとしましょう。そのようなときに要介護度の条件を満たしていれば、老健の利用対象となります。
その他、がんなどの特定疾病で要介護となった40歳以上65歳未満の人も利用可能です。
老健施設で受けられるサービス
老健施設では基本的に医師が常駐しているので、診察や投薬といった医療的なケアが受けられます。介護サービスやリハビリテーションに関しても医師のアドバイスが活かされるなど、医療ケアが充実している老人介護施設は、ほかにはありません。
また介護面では入浴や食事介護、オムツ交換などの身体介護に加え、生活支援や体操、レクリエーションなども提供され、医療・介護両面で充実したサービスが受けられます。
老健施設と特別養護老人ホームの違いは?
老人介護施設として比較されることの多い老健施設(介護老人保健施設)と特養(特別養護老人ホーム)ですが、まず、それぞれの特徴をわかりやすく一覧表で比較してみましょう。そのうえで、老健と特養の施設内容の違いや、土地活用の視点からみた運営上の違いについて解説します。
老健施設と特別養護老人ホームの比較表
まず、老健施設と特別養護老人ホームについて、項目ごとに一覧表で比較してみましょう。
老健施設 | 特別養護老人ホーム | |
施設の役割 | 要介護の高齢者が在宅復帰(自宅で生活すること)するのを目指し、医療・介護・リハビリテーションでサポートする施設 | 介護度の高い高齢者が介護や生活支援を受けながら生活する施設 |
入居条件 | 要介護1~5の65歳以上の高齢者 例外として特定疾病を持つ要介護者であれば40歳以上65歳未満の人も利用可能 | 原則として要介護3~5の65歳以上の高齢者 例外として特定疾病を持つ要介護3以上の人であれば40歳以上65歳未満の人も利用可能 |
入居期間 | 原則3ヵ月 (3ヵ月ごとに入居継続が必要かを判断するが、延長は可能) |
終身利用可能 |
入居難易度 | 短期入居が基本なので、特養より入居待機者が少なく、比較的入居しやすい | 終身利用が可能なため施設の空きが少なく、入居待機者が多いため難易度が高い |
居室タイプと面積 | 従来型個室またはユニット型個室がある 最低面積は、従来型個室が8平方メートル(約5畳)以上、ユニット型個室が10.65平方メートル(約7畳)以上 |
従来型個室またはユニット型個室がある いずれも最低面積は10.65平方メートル(約7畳)以上 |
必要な設備 | 居室、食堂、トイレ、浴室など生活に必要な設備に加え、医療的なケアやリハビリテーションのための設備も必要 | 居室、食堂、トイレ、浴室など生活に必要な設備が必要 |
おもなサービス | 医療的なケアと介護、リハビリテーションが提供される | 身体介護を中心とし、生活支援やレクリエーションなども提供される |
人員(医師、介護職員、看護職員) | 医師:入居者100名に対し1名以上常勤(入居者100名未満でも1名以上常勤 介護職員:入居者3人に対し1名以上 看護職員:入居者7名に対し2名以上 |
医師:入居者100人あたり1名以上(非常勤の場合あり 介護職員:入居者3人に対し1名以上 看護職員:入居者100人に対し3名以上 |
特別養護老人ホームとの大きな違い
老健施設と特別養護老人ホームを比較してみると、まず医師と看護職員の配置人数に大きな違いがあるのがわかります。
特養では医師の常駐は義務づけられておらず、入居者あたりの看護職員の人数も少なめです。しかし、老健はでは少なくとも1名以上の常駐の医師が配置され、看護職員も多いことから、医療的なケアが充実した施設とわかります。
また、入居難易度に注目してみると、特養は終身において入居することが可能(終の棲家になる)なので、待機人数も多く空室を見つけることは簡単ではありません。一方、老健は在宅復帰を目指すための施設で原則3ヵ月の入居期間となっていることから、特養よりは入居者の出入りがあり、入居しやすいといえます。
以上から、老健は医療的ケアと介護・リハビリテーションを受けながら在宅復帰を目指す施設、特養は介護を受けながら生涯にわたって生活する施設とわかるでしょう。このように2つの施設は目的が大きく異なっています。
老健と特養の運営上の違いはある?
では、土地活用の方法として介護施設を考える場合、老健と特養で運営上の違いはあるでしょうか。
答えは「オーナー様の立場でみると違いはない」といえます。
介護施設を土地活用として建設し運営する場合は、施設丸ごとを介護事業者に貸して運営を委託する「一棟貸し」が一般的です。したがって、老健や特養など、介護施設の種類による運営上の違いはほとんどありません。
介護施設の運営上の特徴や注意点については、老健の場合を取り上げながら、記事の後半で解説します。
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老健施設で土地活用するメリット・デメリット
ここからは、土地活用として老健施設を運営する場合のメリット・デメリットを紹介しましょう。
メリット
老健施設を運営するメリットとしては、収益が安定している点と交通の便が悪い土地でも運営可能な点、相続税の節税効果が高い点が挙げられます。
・収益が安定している
老健施設をはじめとした介護施設での土地活用は、前述したように一棟貸しで行なわれ、介護事業者の賃料は固定額で設定されるのが一般的です。したがって、アパートやマンション経営のように、空室が発生することで賃料収入が減少する「空室リスク」が発生しません。
つまり、介護施設のオーナー様は、利用者の増減を心配せずに、毎月安定した収益を得ることが可能なのです。
その他、一棟貸しのメリットとしては、オーナー様に管理の手間がかからないことも挙げられます。クロスの貼り替えのような小規模修繕は、借主である介護事業者側が行なうのが一般的なので、大規模な修繕以外はオーナー様の負担になりません。
・交通の便が悪い土地でも運営可能
介護施設は、駅から離れているなど多少交通の便が悪い土地であっても建設することが可能です。特に、老健や特養のような、入居している人がひとりで外出しない介護施設の場合は、郊外の静かな環境のほうが適しているともいえるでしょう。
ただし、訪問(面会)する家族などの利便性を考えると、近くにバス停がある立地を選んだり、駐車場を備えたりすることは必要です。
また、介護施設は規模の大きい建物になりますので、土地200~300坪以上の広さは必要と考えておきましょう。
・相続税の節税効果が大きい
老健をはじめとした介護施設経営は、土地に建物を建築して貸すことで相続税の「貸家建付地」の特例が適用になります。これにより、相続時の土地・建物の評価額をそれぞれ引き下げることが可能となり、大きな節税効果が期待できるでしょう。
例えば、3億円を保有している人が、土地・建物に1億5,000万円ずつ使って介護施設を立てた場合、貸家建付地の適用を受けると、評価額を3億円の約半分程度に圧縮することが可能です。
デメリット
老健施設を運営するデメリットとしては、建築費が高額になる点、転用性が低い点、自治体との関係性の構築が必要な点が挙げられるでしょう。
・建築費が高額になる
老健などの介護施設は、土地で200~300坪以上、延べ床面積は400~600坪以上の大規模な建築物となります。また、必要な設備が多いことから、初期投資として高額な建築費が必要です。
初期投資を少しでも減らすためには、負担軽減する方法を検討しましょう。
例えば、契約を予定している介護事業者に「建築協力金」を負担してもらい、施設が完成したのち、賃料から「建築協力金」の返済分を差し引くリースバック方式という方法があります。
・転用性が低い
介護事業者がもし撤退してしまった場合、次の介護事業者を探すのは非常に困難です。また、老健を含む介護施設は特殊な設備や間取りを持った建物になるため、他業種への転用も難しいでしょう。
したがって、介護事業者との契約はできるだけ長期契約で行ない、あらかじめ途中撤退のペナルティも設定しておく必要があります。
・自治体の許可が必要な場合もある
介護施設は公共性の高い施設なので、自治体への届け出や許可が必要となるなど、自治体との関係性が重要です。
例えば、老健の開設主体は、地方公共団体、医療法人、社会福祉法人と社会福祉法で定められていますが、運営を任せる事業者が予定地域で開業できるかどうかは自治体の判断を仰がなくてはなりません。
老健(介護老人保健施設)は、介護保険法第94条で開設には都道府県知事の許可が必要と定められており、地域内の総量規制(地域内の必要入所定員総数の上限)を超える場合はその地域で建設できない場合もあります。
自治体と良好な関係を築きつつ介護施設での土地活用を目指すには、あらかじめ経験豊富な信頼できる土地活用業者へ相談するのがおすすめです。
老健施設の運営は業者に依頼するのが一般的
ここまでで取り上げたように、老健施設をはじめとした介護施設運営では、オーナー様は土地・建物を準備したのち、実際の運営は介護事業者に一任するのが一般的といえます。
その場合、建物を丸ごと貸し出す「一棟貸し」という契約方法となり、賃料は毎月固定額になるため、オーナー様は利用者の増減に影響されず安定した収益を得ることが可能です。また、一棟貸しでは大規模な修繕などを除き、オーナー様が行なう運営上の管理は、ほとんど発生しません。
莫大な初期投資を少しでも抑えたい場合は、リースバック方式を活用する方法もあります。介護事業者から建築協力金の提供を受け、毎月の賃料から返済する方式なので、オーナー様の負担を減らすことが可能です。
老健施設などの介護施設経営を成功させるには、土地活用に精通した業者に市場調査してもらったうえで提案を受けるのがよいでしょう。
まとめ
土地活用として老健施設経営を始めるには、適した土地や介護施設の準備だけで終わりません。実際の運営を委託する介護事業者の選定や契約、自治体との関係性など、さまざまな調整事項が多く発生します。
これらを個人の力で進めるのはかなり難しいでしょう。
老健施設経営は、経験豊富な土地活用業者に依頼するのがおすすめです。土地活用に精通した業者に市場調査を任せ、最適なプランを提案してもらうのが成功へのコツといえるでしょう。
生和コーポレーションは、創業から土地活用一筋51年の豊富な実績とノウハウを持つ専門企業です。
オーナー様の土地に建てる場合どのような介護施設が適しているか、徹底した市場調査や土地診断でサポートします。初期費用のご相談から介護事業者の選定、自治体との関係づくりまで、安心してお任せください。
よくあるご質問
- 土地活用の方法はどのように決めればよいでしょうか?
- 土地活用は土地の立地や状況によって適切な方法は変わってきます。また、市場や土地の規制など、専門的な内容の精査も必要になるため、信頼できる専門家にご相談することをお勧めします。
- 土地活用・不動産経営は初心者なのですが、どのように相談をおこなえばよいでしょうか?
- 弊社HPの電話もしくはお問い合わせフォーム・資料請求フォームから、お気軽にお問い合わせください。ご要望に応じて、オンライン面談・電話・メール等での対応が可能です。
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