減価償却とは?メリットはあるの?わかりやすく解説!

減価償却は、資産運用を有利に進めるために必ずおさえておきたい会計手続です。また、マンション・アパート経営をする際には、確定申告で減価償却を取り扱う場面もあり、会計処理の方法などを把握しておくことも大切です。
今回は、マンション・アパート経営にも重要となる減価償却について、減価償却とは何かという基本をはじめ、減価償却の対象となる不動産の解説、減価償却の節税効果と注意点、減価償却の会計処理など、減価償却の基礎知識をわかりやすく簡単に解説していきます。

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減価償却とは何か

まずは、減価償却の概要や意味から確認していきましょう。

減価償却とは、固定資産を分割して費用計上すること

減価償却とは、固定資産を使用できる年数(耐用年数)に応じて、少しずつ分割して、費用として計上する会計手続のことを指します。固定資産の使用可能期間や取得価額に基づき、消耗品費などでは経費計上できない、次のいずれかの条件に該当するものが減価償却の対象となります。

・1年以上の長期にわたって使用する目的で保有する資産
・取得価額(購入金額)が10万円以上のもの

そのため、業務に使う目的で入手したものが、減価償却の対象となる固定資産にあたるかどうかは、取得にかかった費用や、使用可能期間によって決まります。

減価償却の目的は、費用収益対応の原則に基づき、企業の業績を正確に把握すること

減価償却は、費用収益対応の原則に基づき、企業の経営活動の実態をより正確に表すことを目的としています。この会計原則では、ある会計期間に発生した費用のうち、その期間の収益と因果関係のある費用だけを計上するため、より明瞭な分析ができるという特徴があります。

こうした仕組みに基づいて行われる減価償却は、企業の経営活動における成果に対して、利害関係者が正しい評価を下すうえでも欠かせない考え方となっています。

減価償却の対象とは?不動産は対象となる?

減価償却の経理処理をする際には、入手したものが減価償却の対象となる「減価償却資産」にあたるのか、対象外の「非減価償却資産」にあたるのかを、正しく把握する必要があります。減価償却の対象となる固定資産にはどのようなものがあるのか、また、不動産は減価償却の対象となるのかについて見ていきましょう。

減価償却資産の定義と具体例

減価償却資産とは、時の経過によってその価値が減少していくものと定義されています。
減価償却の対象となる固定資産は、有形減価償却資産、無形減価償却資産、生物の3つに区分されています。

・有形減価償却資産:建物、建物附属設備・構造物、機械、車両、船舶、航空機、備品、工具 など
・無形減価償却資産:漁業権、ダム使用権、特許権、意匠権、商標権、ソフトウェア など
・生物:牛、豚、馬、綿羊、ヤギ、ブドウ樹、リンゴ樹、かんきつ樹 など(条件あり)

これらの減価償却資産のうち、不動産取引に関係するのは、マンションやアパートなどの建物や建物附属設備です。完成から日が経つにつれて経年劣化が生じる建物は、有形減価償却資産とされます。また、建物の中で使われる冷暖房設備やオフィス機器なども、同じく有形減価償却資産に分類されます。

非減価償却資産の定義と具体例

有形の固定資産のうち、減価償却の対象から外れるのは、時の経過や使用によって価値が減少しないものです。建物と異なり経年劣化しない土地や、借地権・地役権・地上権といった土地に関する権利は、非減価償却資産とされます。また、100万円以上の美術品や、電話加入権なども、原則として減価償却の対象外となります。

減価償却と節税効果の関係性と注意点

減価償却の計上によって、法人税・所得税・譲渡所得税などの計算に影響を及ぼします。これらとの関係と注意点について見ていきましょう。

減価償却と税金の関係

減価償却の計上によって影響を受ける税金として、法人税や所得税などが挙げられます。法人税や所得税などは、法人所得や所得に対して課税されるため、所得が多いほど税額が増える仕組みになっています。そこで、減価償却費として、法定耐用年数に応じて費用が分割計上されるため、数年間にわたって経理上の課税所得が減少します。これにより、法人税や所得税などの税額が減少します。

減価償却に関する注意点

減価償却を利用する際に注意したいのが、不動産をローンで建築・購入するケースです。
金額の大きな不動産などをローン購入する場合は、一般的に減価償却期間よりも返済期間の方が長くなる場合が多いので、減価償却期間を過ぎた後に税金の支払いが増加する可能性があります。不動産などの大きな減価償却資産を建築・購入する時は、減価償却期間とローンの返済期間の関係に注意をしてください。

もうひとつの注意点として、減価償却した建物を売却すると譲渡所得税が高くなってしまう可能性があります。譲渡所得に応じて課税される譲渡所得税は、今まで減価償却してきた累計額を取得価額から差し引く必要があるため、減価償却費の額が大きければ、譲渡所得税も高くなります。法人の場合も取得価額から累計額を引くため、法人税も高くなります。計算はここでは割愛しますが、減価償却した建物を売却する際には、譲渡所得税、法人税をよく考慮して進めるようにしましょう。

関連リンク:減価償却の計算方法は?定額法・定率法の違いをわかりやすく解説!

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耐用年数とは?

減価償却が可能な減価償却資産には、資産の種類に応じて定められた償却期間である、耐用年数が定められています。購入した資産を減価償却するには、耐用年数の知識も必要です。
ここでは耐用年数の概要をはじめ、各資産の耐用年数の例を紹介します。

耐用年数とは、使用できなくなるまでの経過時間の目安

耐用年数とは、建物や機械などの固定資産が、本来の用途用法で使用に耐えられる効用持続年数のことです。耐用年数は、国税庁の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で定められており、これを法定耐用年数といいます。購入した物品や不動産が減価償却の対象となる資産である場合、耐用年数が経過するまで毎年経費として計上することができます。

資産ごとの耐用年数の一例

耐用年数は、資産の種類や材質、用途などによって異なります。
参考までに、一例を紹介します。

【RC造の建物(鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造のもの)】
・事務所用のもの:50年
・住宅用のもの:47年
・店舗用のもの:39年

【木造の建物(木造・合成樹脂造のもの)】
・事務所用のもの:24年
・店舗用・住宅用のもの:22年
・飲食店用のもの:20年

【建物附属設備】
・電気設備:6~15年
・冷房、暖房、通風、ボイラー設備:13~15年
・給排水、衛生設備、ガス設備:15年

【車両および運搬具】
・一般用のもの(特殊自動車・次の運送事業用等以外のもの):2~6年
・運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用のもの:2~5年

詳しい情報は、国税庁のホームページに掲載されています。ぜひご確認ください。

減価償却の会計処理は大きく分けて2通り

減価償却を行った際には、減価償却費として固定資産を費用計上した事実を表すために、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表への記載が必要になります。この財務諸表を作成するために、固定資産簿価や費用などの流れを記録する帳簿を作成します。作成した際に簿記上の取引を「借方」と「貸方」に分けて記録する「仕訳」という作業を行います。
また、減価償却の会計処理をする際には、直接法もしくは間接法で仕訳をする必要があります。

直接法

直接法は、減価償却費という費用の勘定科目を使い、固定資産の金額を直接減らしていく方法です。直接法を選択した場合、貸借対照表上では取得原価がわかりませんが、帳簿価額(固定資産の、その時点での価値)を直接的に把握できるという利点があります。直接法は、シンプルで手間のかからない方法のため、簿記の初心者や個人事業主、小規模会社向けの手法となります。なお、無形固定資産の場合には、必ずこの直接法を用います。

間接法

間接法は、減価償却累計額という固定資産の勘定科目を使い、間接的に資産の金額を減らしていく方法です。間接法を選択した場合は、貸借対照表上でも固定資産の取得原価、減価償却費の累計額、帳簿価額を把握することができます。多額の設備投資が必要な事業や、減価償却で不動産や店舗を増やす方針の場合、間接法を使った会計処理がおすすめです。

減価償却の基礎をおさえて、会社経営や資産運用を有利に。

減価償却を正しく理解すれば、会社経営や資産運用をより有利に進められます。しかし実際には、減価償却や税制の知識を十分に持っていない経営者様・オーナー様が多いのが現実です。
生和コーポレーションでは1971年の創業以来、培ってきた賃貸運営ノウハウをもとに、建築の企画、設計、施工から建物管理まで、一括サポートできる体制が整っています。お客様の抱える不安や困り事に対して、親身になって対応致します。リスクを最小化し、利益を最大化する土地活用のお手伝いは、ぜひ生和コーポレーションにお任せください。