賃貸併用住宅の資産価値と評価方法の考え方

土地や自宅などの不動産を所有している場合、その資産価値は地価の上昇や下落、建物の築年数などによって、ほぼ自動的に決まってしまいます。しかし、賃貸併用住宅の場合は、資産価値の算定には他の要素が含まれる場合があります。そのため、所有する賃貸併用住宅ごとの条件を勘案して資産価値を算出することになります。
そこで今回は、賃貸併用住宅独自の税の評価額からみた資産価値と評価方法について解説します。

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賃貸併用住宅が生みだす収益からみた資産価値

賃貸併用住宅は、その名の通りオーナー様の住宅と賃貸用のアパートやマンションが併設されている住宅です。そのため、賃貸住宅部分の家賃収入がどの程度あるか、入居率は安定しているかという点、つまり賃貸住宅部分の収益の善し悪しが資産価値に影響を与えます。言い換えると賃貸住宅部分の利回りがいいと資産価値が上がりやすいと言えます。また、金融機関や不動産鑑定などでは、将来、賃貸併用住宅が生みだす収益を勘案して不動産価格を算出する収益還元法により資産価値を決定することもあります。

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土地の相続税評価方法(路線価方式・倍率方式)

土地を相続する場合、資産価値の指標となる相続税評価方法には下記の2種類があり、所有する土地の場所により算定方式が異なります。

・路線価方式

路線価方式は、路線価が定められている地域(市街地)の評価方法です。路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことです。補正値は、旗竿地など土地の形や間口の広さ、奥行きの長さ等により適正な数値を当てはめて計算します。具体的には、側方路線影響加算率、二方路線影響加算率、奥行価格補正率などを加味して補正値を求めます。路線価は国税庁のホームページなどで確認することができます。

路線価方式による土地評価額の計算方式
【土地評価額=路線価×道路に面している状況や形状による加減(補正値)×土地面積】

・倍率方式

倍率方式は、路線価が定められていない地域(市街地以外)の評価方法です。倍率方式における土地の価額は、その土地の固定資産税評価額(都税事務所、市区役所又は町村役場で確認できます)に一定の倍率を乗じて計算します。倍率は国税庁のホームページなどで確認することができます。

倍率方式による土地評価額の計算方式
【土地評価額=固定資産税評価額×倍率】

所有する土地がどちらの計算方式で算定かは、国税庁のホームページ(財産評価基準)を参照します。
国税庁URL:http://www.rosenka.nta.go.jp/


オーナー様ひとりですべてを解決するのは難しいこともありますから、不動産管理会社に管理を任せるなど、その物件にあった対策をとることでトラブルを回避できるよう、事前によく検討しましょう。賃貸併用住宅にはメリット、デメリットの両面がありますので、これらのことを充分に理解し、賃貸併用住宅の経営に活かしましょう。

貸家建付地・貸家の相続税評価額

貸家建付地や貸家として、自分の不動産を使っている場合は、以下のようにかえって相続税評価額が下がることがあります。

・貸家建付地の場合の建物の評価額について

貸家建付地は、賃貸用の建物を建てて、他人に貸している土地のことを言います。貸家建付地の評価額は以下の式で求められます。
【貸家建付地の評価額=自用地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合)】
※借地権割合は60〜70%(地域によって異なります)
※借家権割合は30%(全国一律)

賃貸併用住宅の算定方法は、自宅部分は自用家屋の評価額(固定資産税評価額x100)が適用され、賃貸部分が貸家建付地(貸家)の建物評価額になります。
仮に路線価1億円の土地に賃貸併用住宅を建築し、賃貸部分が建物全体の80%を占めた場合の貸家建付地の評価額を計算してみます。

【賃貸部分の建物の評価額=1億円×80% ×(1−70%×30%)=6320万円 】
※借地権割合を70%として計算

建物全体の評価額としては、
【自宅部分の建物評価額】+【賃貸部分の建物の評価額】=
2000万円 + 6320万円 =8320万円

このように路線価1億円の土地に賃貸併用住宅を建築すると、賃貸部分の割合によって相続税評価額は大幅に下げることができます。建物全体の評価額でも1680 万円下げられることがわかります。

・賃貸併用住宅を丸ごと賃貸した場合の建物の評価額について

自分の所有する賃貸併用住宅を賃貸スペースのみの賃貸ではなく、貸家として物件をまるまる誰かに賃貸した場合は、その評価額は以下の式で求められます。

【評価額=貸家の評価額=建物の固定資産税評価額×(1-借家権割合)】
※借家権割合は30%(全国一律)

つまり3000万円の固定資産税評価額の貸家は、以下の通り900万円減額されることになります。

【3000万円×(1−30%)=2100万円】

貸家建付地や貸家として自分の不動産を利用した場合は、固定資産税評価額が下げられることがわかります。つまり、この制度は相続税対策として大きなメリットがあります。


不動産資産は、算定方式によって資産価値が変動します。そのため、賃貸併用住宅などの不動産を所有している人は、いろいろな制度をよく理解することで、収益を上げたり、節税したりすることができるわけです。自分で理解することは大切ですが、税理士等の専門家からアドバイスを受けることをおすすめします。