土地活用でマンション経営を行なうメリット・デメリットは?

マンション経営は、土地活用の代表的な方法です。お持ちの土地がマンション経営に適しているか、気になる方も多いでしょう。

この記事ではマンション経営を検討中の方へ向けて、マンション経営に活かしやすい土地の特徴や、マンション経営のメリット・デメリットを解説します。

マンション経営を始めるまでの大まかな流れや収益モデル、マンション経営をした場合としなかった場合の収益比較についても、わかりやすくご紹介します。

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マンション経営に活かしやすい土地の特徴とオーナー様の意向

マンション経営の土地活用では、土地の特徴やオーナー様の意向を踏まえて検討しなければいけません。

マンション経営に活かしやすい土地の特徴

まずは、マンション経営に活かしやすい土地の特徴を2つ解説します。

立地条件の良い場所にある土地

マンション経営を成功させるためには、高い入居率を維持する必要があります。そして、マンションの空室リスクを抑え、高い入居率を確保するには、立地条件が良いことが重要です。

良い立地条件とは、マンションが駅から近い、交通面の利便性が高い、近隣に銀行やコンビニなどがあるなどが挙げられます。また、治安の良さや騒音の少なさなど、入居者にとって心地良い住居環境が重要となります。

容積率が大きい土地

マンション経営を考えている場所が、近隣商業地域や商業地域などの用途地域に該当する場合、他の用途地域よりも容積率が大きく設定されています。

容積率は用途地域によって異なり、厳しく設定されている地域では、空間を活かして床面積を増やすことが難しくなります。

したがって、用途制限が厳しくなければ、部屋数を増やしたり、部屋自体の広さを大きくしたりもできるため、同じ敷地面積でも多くの収益が期待できるでしょう。

オーナー様の意向

次にマンション経営に活かしやすいオーナー様の意向を2つ見ていきましょう。

相続税対策を視野に入れた土地活用がしたい

相続税対策を考えた土地活用では、マンション経営が適しています。

マンション経営を行なっている場合、税金の優遇措置により土地だけを相続するよりも、土地や建物の課税評価額が低くなるからです。そのため、たとえマンション経営自体の収益少なくても、相続税の節税効果は得られます。

収益を重視した土地活用がしたい

マンション経営は他の土地活用に比べ、収益性が高いことが特徴です。初期投資は高額になりますが、ニーズの把握や適切な家賃設定などを行なえば、長期間にわたり安定収入が期待できるでしょう。

マンション経営をしたときの3つのメリット

マンション経営には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なものを3つご紹介します。

節税効果が期待できる

マンション経営では、土地は「貸家建付地評価減」、建物は「借家権割合による評価減」により相続税評価額が下がるため、相続税の節税効果が期待できます。

さらに、借入金があるとマイナス資産とみなされて資産評価額が下がり、相続税の節税につながります。固定資産税の軽減措置が適用されたり、不動産所得が赤字になったりすれば、他の所得との損益通算も可能です。

現物資産を残せる

自分に万が一のことが発生した場合、残された家族に有益な資産を残したいと考える方は多いでしょう。マンション経営が軌道に乗れば、相続が発生しても継続的に収益を生み出す現物資産をご家族に残せます。

ご家族が相続したマンションに住むことも可能なので、住居に関する不安点を払拭できるのもメリットです。

さらに、マンションは資産価値が落ちにくく、インフレに強い特徴があります。
建築物の価値が低下しても土地の価値はあまり変わらず、将来的に売却も可能なため、ご家族に幅広い土地活用の選択肢を残せます。

長期の安定経営が見込める

マンションは、建物の耐用年数や入居者の居住期間が長いため、空室リスクを回避すれば長期的な安定経営が期待できます。空室リスクの懸念を払拭するには、不動産管理会社がマンションを一括で借り上げる「サブリース」があります。

収入源となる家賃は、景気の影響を受けづらいので経営が安定しやすく、数ある土地活用法のなかでも比較的高収益が期待できます。

また、管理委託をすれば家賃回収や入居者募集の手間が省け、不労所得を得られる可能性が高まります。

マンション経営をしたときの3つのデメリット

マンション経営では、メリットだけではなくデメリットについても理解しておくことが大切です。

リスクがある

マンション経営で起こりうる4つのリスクを見ていきましょう。

空室リスク

空室リスクとは、入居者のいない空き部屋の増加により家賃収入が途絶え、収入が減るリスクのことです。経営するマンションの室数が多ければ多いほど、空室リスクの分散につながります。

空室リスク回避には、不動産管理会社がマンションを一括で借り上げる「サブリース」があります。オーナー様は手数料を不動産管理会社に支払うことで、空室の有無に関わらず一定の家賃収入を得られるため、空室リスクから解放されます。

家賃下落リスク

家賃の下落は、マンション経営の収益減に直結します。家賃の下落で考えられるおもな要因は以下のとおりです。

・周辺エリアの需要低下
・マンションの老朽化
・空室リスク対策としての値下げ
・景気や事件発生などによる地価の下落

外的要因による家賃下落は、仕方ない面もあるでしょう。家賃下落リスクを最小限に留めるには、地域におけるマンションの需要を十分に把握したうえで、不動産管理会社と連携をして、建物管理体制を構築することが重要です。

災害リスク

マンション経営において、災害リスクは常に考慮しておかなければなりません。
地震・台風・洪水・火災などが発生した場合、マンションの資産価値が低下するだけではなく、被害を受けた箇所の修復費用が必要になります。

このような災害リスクを軽減させるには、次のような配慮が必要です。

・地盤がしっかりしている場所にマンションを建てる
・地震保険や火災保険へ加入する

借り入れが必要になる場合もある

マンション経営を行なっている最中、家賃の下落や空室率の上昇により収益が減ると、借入金の返済が困難になることも考えられます。

また、借入金利が上昇すると返済額も増えるため、厳しい経営を強いられている場面では、さらに借り入れが必要でしょう。借入金返済で苦労しないためには、以下のような対策を講じておきましょう。

・無理のない事業計画で収支を確保する
・初期投資時に自己資金を投入し、借入金の比率を減らす

転用性が低い

土地活用における転用とは、一度始めた土地活用法を他の方法に変更することです。また、転用性とは転用のしやすさを指します。

一般的にマンション経営は、安易に他の土地活用への変更(転用)ができません。したがってマンション経営では、金利上昇などのリスクにも対応できるよう、長期的な資金計画を十分に練ってから始めることが大事です。

コストが高い

マンション経営は建物の規模が大きく、また頑強な建築構造にしなければならないため、他の土地活用法に比べ投資額が高額になる傾向があります。

初期投資額だけではなく、経年劣化にともなう外装や内装、設備などの修繕費や維持管理費もかかります。

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マンション経営を始めるまでの大まかな流れ

では実際にマンション経営を始めたいと思ったとき、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。マンション経営の目的確認から、入居者募集までの流れを解説します。

1.マンション経営の目的の明確化

マンション経営を始める際には、まず経営の目的を明確にすることが重要です。「大きな収益を得たい」「相続税対策をしたい」「安定性の高い土地活用をしたい」など、人によって目的はさまざまでしょう。

マンション経営の目的がはっきりしないまま計画を進めては、のちのち商品選択や経営方針にブレが生じます。

「何のためにマンション経営をするのか」「マンション経営のメリットをどう活かすか」などをじっくりと考え、マンション経営を始める目的を明確にしましょう。

2.信頼できる建設会社に相談する

マンション経営の目的が明確になれば、次は信頼できる建設会社へ相談します。

マンション経営を始めるには、建築プランの作成や施工、入居者募集などの工程を踏む必要があるため、自分の力だけで進めるのは困難です。信頼のおける建設会社を選ぶには、以下のようなポイントに注目してみてください。

・実績や専門性の高さ
・商品の数
・担当者の対応
・長期的な経営を見据えた提案の有無

上記に加え、入居者募集・建物管理・クレーム処理など、施工終了後のバックアップ体制が充実しているかどうかもポイントです。目的に一致する建設会社が見つかれば、プランの提示を受け、検証して納得がいけば実際に取引を決定します。

3.マーケティング調査

ここからは、建築会社が中心となって行なう作業です。建築会社は適宜オーナー様と相談しながら、入居者募集までの工程を進めます。

契約した建設会社が最初に行なうのは、マーケティング調査です。活用予定の土地でマンション経営がうまくいくかどうかを、以下のような項目から判断します。

1.利便性(最寄りの駅までの距離・路線の数・道路状況)
2.住環境(公園・学校・病院・店舗・治安)
3.競合物件(家賃・間取り・設備)
4.需要と供給
5.人口動態
6.土地の評価額相場
7.建築基準法・都市計画法・条例等

上記を考慮し、地域環境やニーズに合わせた間取り、家賃、設備などそれぞれの土地に見合ったプランを作成します。

また、同時に、マンションの建設予定地が都市計画法に定められたどのエリアに該当するか、関係する条例がないかなども確認が必要です。

4.資金計画の決定

次はマーケティング調査の結果から、必要な資金計画を立てます。マンション建築に必要なおもな費用の内訳は、以下のとおりです。

種類

内容

本体工事費

・建築費

付帯工事費・設備費

・地盤改良工事費

・空調設備工事費

・外構工事費

・屋外電気、ガス工事費、給排水など

現金・諸費用

・不動産取得税、登録免許税、印紙税

・建築確認申請等手数料など

・ローン手数料

・火災保険料、地震保険など

このように、マンションの建築では本体の工事費以外にも、付帯工事や各種手続き費用、税金などが必要です。なお、マンションの構造や規模、設備のグレードによって、必要となる資金は大きく異なります。

5.事業計画書の作成

事業計画書は、ローン借入時に金融機関への提出する書類です。決まったフォームはなく、マンションの概要、長期にわたるマンション経営の収支予想や、その他のお金の動きをまとめて記載します。

具体的には、マーケティング調査で得られた情報と、資金計画で算出した必要金額をもとに、どの程度の収益が見込めるかを明記します。

事業計画書の段階で、収支の見通しがうまくいかないようであれば、資金計画の再検討が必要です。立地やニーズなどを考慮し、収益を上げ続けられる事業計画を策定することが重要といえます。

6.資金調達

マンション経営では、頭金としてある程度の自己資金が必要です。なお、不動産の担保価値が高い場合は金融機関から融資を受けやすくなります。

7.着工・施工物件引渡し

資金調達が完了したら、いよいよマンションの建設です。建設の工程は、基礎工事・躯体工事、本体工事、外構・付帯工事の順に進みます。

各工程の基本的な内容は次のとおりです。
・基礎工事:地震や建築物の重さによる、建築物の傾きを防ぐための土台づくり
・躯体工事:建築物の天井・床・壁・柱などの基本構造・骨組みをつくるための工事
・本体工事:内装工事のことで、置床・ユニットバス・断熱材施工・住宅設備の取り付け     など多岐にわたり、入居者が居住できる環境を整えるための工事
・外構・付帯工事:建築物に美観を添えるために行なう工事で、アスファルト舗装施工・ブロック舗装敷き込み・植栽工事施工・フェンス工事施工などがある

現場の作業内容をオーナー自身がチェックするのは難しいですが、受け身の姿勢ではなく、担当者と積極的なコミュニケーションを心がけ情報収集を行ないましょう。

8.入居者募集

マンションが完成したら施工物件の引渡し、入居者募集をしてマンション経営が始まります。入居者の募集方法は、おもに「一般媒介契約(一般募集)」と「専任媒介契約(専任募集)」の2つです。

一般媒介契約では、入居者募集依頼を複数の不動産管理会社に依頼します。一方、専任媒介契約では特定の不動産管理会社に依頼をします。

ただし、一般的には専属媒介契約でも、契約を締結する不動産管理会社が他の不動産管理会社にも依頼するため、一社のみで入居者募集をすることはほぼありません。いずれの方法においても、信頼できる不動産管理会社の選択が重要です。

マンション経営の収支内訳・収益モデル

マンション経営をしたいと考えていても、実際の収支や収益をイメージしにくい方も多いのではないでしょうか。ここからは、マンション経営の収支内訳や収益モデルをご紹介します。

マンション経営の収入源

マンション経営のおもな収入源は家賃収入で、その内訳は部屋別の家賃・共益費・礼金・契約更新料・返金不要の敷金などです。

大部分を占めるのが部屋別の家賃と共益費で、空室が増えるとその分の収入が減ってしまいます。また、礼金や更新料、返金不要の敷金も収入として換算します。

マンション経営の経費

マンション経営で経費となるものには多くの種類があり、おもに以下のような項目が挙げられます。

項目

最初に必要な費用

・不動産取得税

・登録免許税

・印紙税

定期的に必要な費用

・ローン返済費

・委託管理料

・修繕費

・保険(火災・地震)

・減価償却費(建物部分のみ)

・固定資産税

・都市計画税

・交通費

・通信費

・新聞図書費

・接待交際費

・消耗品費

・広告宣伝費

・仲介手数料

・報酬

場合によっては必要な費用

・立ち退き料

・弁護士報酬

・税理士報酬

・事業税

マンション経営の収益モデル一例

ここではマンション経営の収益モデルを見ていきましょう。下記モデルは、敷地面積800平方メートル(約242坪)、課税標準額10万円/平方メートル、配偶者(専業主婦)と扶養対象となる子供が2人いる場合を想定しています。

収支 約2,475万円/年

<総事業費>

工事費等 30戸 4億4,350万円

消費税  4435万円(10%)

創業費  1896万円

 

<資金調達>

自己資金  1億円

銀行ローン 3億4,350万円

(30年返済 1~10年:1.2% 11~20年:1.5% 21~30年:2%の場合)

<年間収入>

家賃 11万円×30戸×12ヵ月=3,960万円(※1戸11万円の場合)

駐車場 1台2万円×30台×12ヵ月=720万円

 

<年間支出>

固定資産税 (土地)54万円/(建物)150万円

都市計画税 (土地)24万円/(建物)75万円

元金返済   957万円

金利返済   406万円(※金利1.2% 元利均等返済方式の場合)

所得税+住民税 417万円

事業税     68万円

※青色申告を行なうと、所得税・住民税が軽減されます。
※建築費・税金・家賃などは、地域や敷地、その他の収入などによって大きく異なります。

次に、同じ条件での遊休地と駐車場経営の収支モデルとも比較してみましょう。

遊休地の場合

収支-136万円/年

<年間収入>0円

<年間支出>

固定資産税 112万円

都市計画税 24万円

駐車場経営の場合

収支487.8万円/年

<年間収入>1台2万円×32台×12ヵ月=768万円

<年間支出>

固定資産税 112万円(遊休地と同じ)

都市計画税 24万円(遊休地と同じ)

所得税+住民税 144.2万円

遊休地の場合、収入はないうえに毎年固定資産税や都市計画税を支払うことになります。
一方、駐車場経営やマンション経営の収益モデルでは黒字になるため、これらは有益な土地活用といえるでしょう。また駐車場経営と比べてもわかるとおり、マンション経営はより大きな収益を見込めます。

マンション経営とアパート経営の違いは?

よくマンション経営と比較される土地活用が、アパート経営です。

「マンション」と「アパート」は呼び方の違いであり、両者には法的規定や明確な定義による違いはありません。最後に、マンション経営とアパート経営の違いを、4つ解説します。

建築構造の違い

マンションとアパートでは、以下のような建築構造による違いが見られます。

・マンション:重量鉄骨造(S)・鉄筋コンクリート造(RC)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)が多い
・アパート:重量鉄骨造(S)・木造(W)が多い

一般的にマンションは3階建て以上で、耐久性・耐震性・耐火性・遮音性に優れ、頑強な構造で建てられているのが特徴です。

また、建築基準法(第34条)により、高さが31メートルを超えるマンションでは、エレベーター(非常用の昇降機)の設置が義務付けられています。

対してアパートは、2~3階建て程度が多く、高さがないため基本的にエレベーターはありません。

耐用年数とローン返済期間の違い

ここで使用する「耐用年数」とは実質的な年数ではなく、税金を計算する際に使われる、法的に定められた資産使用が可能な期間です。

鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC)のように、建築構造が頑丈であればあるほど、減価償却資産としての耐用年数は長く設定されています。

したがって、アパートよりも頑丈に造られるマンションのほうが耐用年数は長く、資産価値が高く見積もられる傾向にあります。

ローン期間の上限は建物の耐用年数に応じて決まるため、一般的にアパートよりもマンションのほうが、長いローン期間の設定が可能です。

室数の違い

建築構造の違いにより、アパートよりもマンションのほうが1棟に占める総室数が多い傾向にあります。

明確な定義はありませんが一般的なマンションの規模として、総室数が100戸以上の大規模、50~100戸程度の中規模、50戸程度の小規模の、3つに大別されます。

また、大規模マンションやタワーマンションになると、賃貸ではなく分譲が多く見られるのも特徴です。基本的に総室数が多いほど、空室リスクを回避しやすくなります。

投資額・投資スタイルの違い

建築物の頑丈さ、規模、室数の多さなどの点から、アパート経営よりもマンション経営のほうが、投資金額が高額になる傾向にあります。

アパート経営には、比較的少額の投資で始められる利点はありますが、投資金額が高額なマンション経営のほうが、より大きな収益が期待できるでしょう。

まとめ

マンション経営は、投資額が大きい・転用性が低いなどのデメリットもある反面、節税につながるメリットなどもあり、大きな収益が期待できる土地活用です。

ニーズに見合ったマンションの建築、各種リスク軽減のための対応策などを意識することで、長期にわたり安定収入を得られる可能性があります。

生和コーポレーションは、土地活用一筋51年の賃貸経営に特化した建築会社です。マンション経営をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

関連ページ:【土地活用の基礎情報】活用方法11選!選び方やメリット・デメリットを比較