賃貸経営のメリットデメリット~リスクから経営の流れまで~

賃貸経営には、いくつもメリットがありますが、一方でリスクもあります。賃貸経営を始めるにあたっては、それらメリットやリスクを押さえたうえで、始めることが大切です。

今回は、賃貸経営のメリットやリスクをお伝えすると共に、賃貸経営を始めて家賃収入が入るまでの流れや、賃貸経営の運用パターン、運用にかかる費用、賃貸経営の管理方式などの基本的な知識を中心にご紹介します。

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賃貸経営のリスクや対策について 

賃貸経営にはリスクがあることを知っておきましょう。ここでは、リスクとリスクに対する対策をご紹介します。

すぐに売却できないリスク

不動産はいざ売却しようと思っても、すぐに売れるとは限りません。場合によっては数カ月~1年以上たっても売却できないリスクもあります。

ただし、売却する不動産が魅力的な物件であれば、買い手はすぐにつくでしょう。具体的には「長期間ほぼ満室経営」であるなど、保有中から高い収益性を維持していると売却しやすくなります。

空室のリスク

空室ができるとそれだけ収益が落ちてしまうため、賃貸経営は常に空室との戦いだと言えます。空室を埋めるためには適切なリフォームや管理会社選び、家賃設定、サブリースの検討などさまざまな施策が必要です。

建物の老朽化が進むと修繕費用が発生する

賃貸経営は壁紙やフローリングなどの細かな修繕から、外壁塗装工事など一定期間ごとに行う必要のある比較的大きな修繕まで、さまざまな修繕工事を実施する必要があります。

こういった修繕工事にかかる費用については、必要経費だと割り切り計画的に実施していくようにしましょう。また、工事業者を探し回る、閑散期を狙うなどして、少しでも費用を安くする努力をすることも大切です。

災害などの建物被害に備える必要がある

台風や地震、火事など自然災害にあうリスクもあります。確率としては高くはありませんが、これら自然災害リスクはゼロにすることはできません。そのため、火災保険などへの加入や、異なるエリアに複数の物件を持つといったリスク分散などを行うとよいでしょう。

金利が上昇する可能性がある

賃貸経営では、対象の物件を担保にローンを組んで物件を取得することや、高額のローンを組んで長期間にわたって返済することなどが一般的です。そのため、少しでも金利の低いローンを選ぶ必要がありますが、借入時に金利が低くとも保有している内に経済情勢が変わり、金利が上昇するリスクがあります。
賃貸経営ではローンを組むのが一般的ですが、何らかの理由で経営が行き詰まってしまったときには、最悪の場合、自己破産しなければならない可能性もあります。

こうした金利上昇リスクに備えるためには、固定金利でローンを組むことや、いざというときに一括返済できるだけの自己資金を保有しておくことが大切です。満額とまではいかなくとも、致命傷にならない程度には現金を手元に残しておくよう意識しておきましょう。

賃貸経営のメリット 

賃貸経営のメリットも見ていきましょう。賃貸経営には、以下のようなメリットがあります。

長期で安定した収入が得られること

賃貸経営は不動産を保有し、入居者がいる限り安定した収入を得ることができます。一般的に賃貸物件の築年数がたつと競争力が落ちるため、家賃の引き下げなどを考える必要がありますが、適切にメンテナンス・修繕を施せば長期間収入を得ることが可能です。

節税対策となること

サラリーマンなど、賃貸経営以外にも仕事をしている人が賃貸経営を始めれば、仮に賃貸経営で赤字になっても、他の仕事の給与所得と相殺することが可能です。
例えば、他の仕事での年間所得が600万円ある人が賃貸経営に取り組んだ結果、1年間に150万円の赤字を出したとします。その150万円を600万円から差し引くことができ、差し引いた金額で税金を計算するため節税となります。

インフレに強い

賃貸経営では不動産という実物資産を持つため、インフレに強いとされています。アベノミクスが始まって以来、政府はインフレ目標を掲げて金融政策に取り組んでいることもあり、実物資産であることは大きなメリットです。

相続税対策

相続税の計算上、不動産の価値は路線価を使って計算されます。路線価は納税者間の不公平をなくすため、時価の80%程度になることを目安に定められているので、現金を持つよりも不動産として持っているほうが相続税の納税額を低く抑えることができます。

また、小規模宅地等の特例 の適用を受けられれば、最大80%の相続税控除を受けることが可能です。

賃貸経営を始めて家賃収入が入るまでの流れ 

ここでは、賃貸経営を始めて家賃収入が入るまでの流れをお伝えします。具体的には、以下のような流れで手続きを進めていきます。

・情報収集
・賃貸経営の目的を明確にする
・事業計画を立てる
・物件の設計・建設(または購入)
・入居者の募集

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

情報収集

まずは情報収集を行います。土地を持っている、もしくは場所が決まっているのであれば、その周辺の賃貸物件の家賃相場や空室状況など調査しておきましょう。

賃貸経営の目的を明確にする

賃貸経営を始めるにあたり、どれくらいの収益を得ることを目的にするのか、または相続対策を目的にするのか、などを決めておきます。将来の年金代わり程度になればよい、と考えているのであればリスクを取ってどんどん物件取得を進める必要はないでしょう。

反対に、物件を取得して早期リタイアしたい、資産総額10億円以上を目指したいといった目標があるのであれば、どのようにその目標を達成していくのか考える必要があります。

事業計画を立てる

取得する物件・建築する物件に対してどれほどの家賃が得られ、その内いくらを経費として支払う必要があり、手元にはいくら残るのか、といった事業計画を立てます。

物件の設計・建設

事業計画に沿った物件の設計・建設を始めます。建設自体は不動産会社や工務店に任せることになります。また、物件を建設する以外に、土地と物件を購入する場合もあります。

入居者の募集

建物が完成したら、管理会社の選定、入居者の募集を開始します。無事入居者が決まり、入居開始したら家賃収入が入ってきます。

アパート・マンションの賃貸経営の運用パターンとかかる費用 

アパート・マンションの賃貸経営には、どのような運用パターンがあるのでしょうか?それぞれについて、かかる建設費や購入費用もあわせて解説します。
なお、こちらはあくまで例であり、各種税金や諸費用は省いて計算しています。

もともと所有している土地にアパート・マンションを建設するパターン

もともと所有する土地にアパート・マンションを建設する場合、土地取得費用がかからないため、比較的高い利回りを実現できます。

例えば、所有する土地に、以下のような建物を建設したとしましょう。
建物…価格3億円の新築マンション(1戸家賃9万円/月×20戸)
家賃収入…2,160万円/年

土地をもともと所有していれば、表面利回りは以下のようになります。
表面利回り=年収2,160万円÷建物価格3億円×100(%)=7.2%

土地を購入し、アパート・マンションを建設するパターン

土地を購入し、アパート・マンションを建設する場合、土地代金が必要なことから利回りが低くなってしまいやすいです。そのため、土地をどれだけ安く購入できるかで投資のパフォーマンスが変わると言えるでしょう。

例えば、以下の場合の表面利回りを見ていきましょう。
土地…価格2億円
建物…価格3億円の新築マンション(1戸家賃9万円/月×20戸)
家賃収入…2,160万円/年

先ほどと違って土地も購入するため、表面利回りは以下のようになります。
表面利回り=年収2,160万円÷(土地価格2億円+建物価格3億円)×100(%)=4.32%

中古アパート・マンションを1棟購入するパターン

中古アパート・マンションを1棟購入する場合、新築より安い価格で新築と同規模の物件を購入できる可能性が高いです。

以下の場合を例に見てみましょう。
土地建物…価格4億円の中古マンション(1戸家賃8万円/月×20戸)
家賃収入…1,920万円/年

この場合の表面利回りは以下のようになります。
表面利回り=年収1,920万円÷土地建物価格4億円×100(%)=4.8%

ただし、新築と比べるとローンの借入期間を長く設定できない可能性が高いため、ローン返済後の手残りがいくらになるかをよく計算しておくとよいでしょう。

新築または中古マンションを1部屋単位で購入するパターン

新築や中古マンションの区分所有権を購入する場合、毎月のローン返済額以外に管理費や修繕積立金といった費用を支払う必要があることに留意しましょう。管理費とは、日常で生じる修繕などのために用いられるもので、修繕積立金とは外壁塗装など定期的に実施する必要のある大規模な修繕のために積み立てられるものです。

例えば、以下のような新築マンションを1部屋購入した場合を見ていきます。
物件…購入価格1,000万円(1戸家賃6万円/月)
家賃収入…72万円/年

この場合の表面利回りは以下のように計算できます。
表面利回り=年収72万円÷物件購入価格1,000万円×100(%)=7.2%

表面利回りは7.2%ですが、ローンの支払いのほか、修繕積立金(全国平均14,000円程度) や管理費(全国平均15,000円程度) を支払う必要があるため、手残りがほとんどないか、場合によってはマイナスになってしまう可能性もあるでしょう。

戸建てを購入するパターン

戸建てを購入する場合、先ほどの区分所有マンションとは異なり、管理費も修繕積立金も支払う必要はありません。ただし、戸建ては木造であることが多く、ローンを借りづらいため、自己資金を用意しなければならない可能性が高くなります。

ここで以下のような戸建てを購入した場合を例に考えてみましょう。
建物…購入価格1,500万円(家賃8万円/月)
家賃収入…96万円/年

この場合の表面利回りは以下のようになります。
表面利回り=年収96万円÷建物購入価格1,500万円×100(%)=6.4%

また、戸建ては購入以外にも、すでに所有する土地に建設するパターンや新たに購入した土地に戸建てを建設するパターンもあります。

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建物の建設・購入以外に必要な初期費用 

賃貸経営を始めたいと思い、建物を建設・購入する場合には建物の本体価格とは別に諸費用がかかります。例えば、以下のような費用について用意しておく必要があるでしょう。

登録免許税

物件を購入して所有権移転する際には登記をする必要がありますが、その登記費用として登録免許税を支払います。税額は固定資産税に税率をかけて計算します。また、登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士に支払う報酬(相場5~10万円)も必要です。

不動産取得税

物件を取得した人に対して課税される税金で、物件取得から3カ月~1年の間に納付書が届きます。この税額も登録免許税と同様に、固定資産税に税率をかけて計算します。

印紙税

売買契約書や建物請負契約書などに印紙を貼って納税するものです。契約書に記載されている金額によって納税額が異なります。

火災保険料

賃貸物件について、オーナーは共用部分の火災保険に加入する必要があります。

仲介手数料

土地や建物を不動産会社の仲介で購入すると、不動産会社に対して仲介手数料を支払う必要があります。

賃貸経営を行うオーナーの管理業務

賃貸経営を行うオーナーの管理業務は、大きく以下の3つに分けられます。

建物管理

オーナーは、建物の維持管理を行う必要があります。2~3日に1回、現地を訪れてホウキで掃除するといった日常清掃から、半年~1年に1回、業者を使って清掃する特別清掃、10年に1回程度の周期で実施する外壁塗装工事なども含まれます。

入居者管理

入居者からは、毎月の家賃を回収すること必要があります。また、家賃を滞納している人がいれば督促しなければなりません。その他、入居者間のトラブルや、入居者から物件に関するクレームがあれば対応します。

以上がオーナーの行う管理業務となりますが、建物管理や入居者管理は管理費を支払って管理会社に委託することもできます。

賃貸物件の管理方法は3パターンがある 

前述の通り、賃貸経営における管理業務については、管理費を支払って管理会社に委託することができますが、管理費を支払うのがもったいないと感じるのであれば、すべてオーナーが管理することも可能です。

賃貸物件の管理方法としては、主に3つのパターンがあります。

すべてオーナー自身で管理する方法(自主管理)

すべてオーナー自身で管理業務を行う方法で、管理会社に管理費を支払う必要がありません。ただし、日常清掃も行う必要があるため、基本的には物件の近くに住んでいることが条件となるでしょう。

不動産管理会社に委託する方法(委託管理)

入居者管理や建物管理を管理会社に委託する方法です。管理費として家賃の5~10%程度を管理会社に支払う必要がありますが、管理についてそのほとんどを任せることができます。遠方に住んでいる方や、複数棟の賃貸物件を経営したいという方は委託管理を選ぶとよいでしょう。

サブリース契約を結び、すべての管理を委託する方法

サブリースとは、賃貸物件をサブリース会社に一括借り上げしてもらう方法で、オーナーは入居者とは直接賃貸借契約を結ばず、管理のすべてをサブリース会社が行います。

オーナーはサブリース会社から家賃を受け取りますが、入居者状況に関係なく一定額の家賃を受け取れる賃料保証型と、入居者状況に応じて家賃が変動するパススルー型があります。特に賃料保証型であれば、賃貸経営においてネックとなりやすい空室リスクを排除できるため、経営に神経を尖らすことなく、毎月一定額の家賃を受け取りたいという方におすすめです。

リスクを回避して収益を最大化させよう

賃貸経営の基礎知識として、賃貸経営のメリットやリスク、家賃を受け取るまでの流れや、管理の方法などをお伝えしました。

賃貸経営では、毎月の家賃収入からローン返済額を支払うよう計画することが大切ですが、それ以外に突発的な修繕や納税などで大きな出費が生じることもあります。そうしたときに、お金が支払えないということにならないよう、余裕を持って資金繰りしなければなりません。

また、賃貸経営には空室リスクを始め、さまざまなリスクがあります。そのため、リスクを回避しつつ、最大限収益を上げるにはどうすればよいか、対策を考えて手を打っていくことが大切です。

※写真はイメージです
※本記事は、2019年4月以前時点の情報をもとに執筆しています。 マーケットの変化や、法律・制度の変更により状況が異なる場合があります
※記事中では一般的な事例や試算を取り上げています。個別の案件については、お気軽にお問い合わせください。