不動産相続に必要な手続きと費用・相続登記の方法を解説!

親や祖父母から不動産を相続した際には、相続手続きはもちろん、相続登記を行うことが大切です。
ここでは、不動産の相続手続きの進め方および相続登記方法について、具体的な流れと方法、注意点をまとめました。不動産相続の対策にぜひお役立てください。

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不動産を相続したら相続登記(不動産の名義変更)が必要!

不動産を相続したら、相続登記を行う必要があります。相続登記の手続きの流れ、期限など、ひとつずつ見ていきましょう。

相続登記とは?

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際、所有していた不動産の登記名義人を亡くなった被相続人から相続人へ名義変更する手続きです。相続登記を行うことで、所有者が変更になります。必ず行っておくべき手続きなので忘れないようにしましょう。

相続発生後から登記を行うまでの流れ

相続が発生した場合の流れですが、まずは遺言書の有無の確認に始まり、状況に応じて相続税の申告、遺産分割協議、必要書類の収集・作成などを経て、法務局への申請に至ります。
こちらの詳細は後述していますので、そちらも参考にしてみてください。

相続登記はいつまでにやらないといけない?

相続登記には期限も罰則もありません。
仮に土地を相続し、数十年相続登記せずに放置してから売却することになったとしても、土地売却までに相続登記を済ませれば手続き上は問題ありません。ただし、放置しておくと問題が起こる可能性が高まるため、なるべく早めに名義変更を行うようにしましょう。

相続登記はだれが行うの?どこで行うの?

相続登記は、相続人が管轄の法務局で行います。多くの書類が必要となり、専門知識がない人にとっては手続きも難しいため、司法書士などの専門家に依頼するとよいでしょう。

不動産の相続登記を申請せずに放置した場合のデメリット

前項で解説した通り、相続登記を申請せず放置しておくと問題が発生する可能性が高くなります。それにも関わらず、名義変更を放置したり怠ってしまったりする人が少なくありません。
その原因は、主に以下の理由があると考えられます。

・相続登記には、登録免許税などの各種費用が発生するため、放置しがちになる。
・法務局の受付時間は平日8:30~17:15のため、日中仕事をしていたり育児や介護で外出しづらかったりする人は、手続きのために足を運ぶことができない。
・相続登記には申請期限がなく、法的な義務がないため、申請を後回しにしてしまう。
次に、相続登記を行わず放置した場合、どんなデメリットがあるのかを見てきましょう。

ポイントは相続登記を行わないでいると、「その土地が自分のものである」と客観的に証明できないため、さまざまな影響が出てくるということです。
以下より、詳細をひとつずつ確認していきましょう。

不動産が誰のものかわからなくなる

放置している間に該当の不動産の資料を散失してしまい、不動産の事情を知る人がいなくなる可能性があります。

例えば、相続人が子だった場合、祖父母から親が譲り受けたとされる不動産を親が相続登記しておらず、それを親から子が相続した際にもしばらく放置し、しかも手元にはきちんとした書類が残っていなかったケースだと、数十年前の祖父母の代でどんな形で登記していたか調べることは困難です。

例えば、登記上の土地の所有者が祖父母だと思っていたところ実際はそうではなく、その親類だったというケースもあったようです。その場合、その正式な所有者は誰なのか、また、その代々の相続人がきちんとその土地を相続登記しているのかなど、調べることがたくさん出てきてしまうのです。

実際に相続しようとしていた土地が祖父母のものであったとしても、親の代できちんと相続登記されていなかった場合、いずれその土地を子が相続する際に法定相続人は増えているケースは多分にあります。土地を相続登記するには、遺産分割協議を行うこと、相続人全員の同意や印鑑登録証明書が必須であり、相続人が増えるほど行うべき手続きが煩雑になり、協議をまとめるのが大変になってきます。

また相続から時間が経過し手続きを行おうとして、所有分を明確に表す書類を紛失していたり、事情を知る人が亡くなっていたりすると難儀することになります。

不動産を売却することができない

相続した不動産は故人の名義では売却できないので、売却するためには、事前に相続登記を行う必要があります。相続後に不動産相場の上昇から売却を希望しても、前もって相続登記しておかないとその土地の所有権が曖昧な状態となっています。

つまり、所有者が明確でない土地は売却することができないのです。
また、不動産売却を焦るあまりに、法定相続人の全員がしっかりと納得しない状態で遺産分割を正式に済ませずに強硬に売却手続きに進めたために、相続人同士でトラブルに発展するケースも少なくありません。相続登記は時間がかかることもあるので、なるべく早めに着手するようにしましょう。

不動産を担保にして融資を受けることができない

相続した不動産を担保に入れて融資を受ける場合にも、相続登記が必要です。まとまった資金が必要になり融資を受けたくても、相続登記がされていなかったために時間がかかったり、他の形で融資を検討せざるを得なくなったというケースもあります。

他の相続人の気が変わり、登記できなくなる可能性がでる

相続人全員で話し合い、被相続人の最期を世話した相続人がすべて取得し、他の相続人は相続分を放棄すると納得しても、「話し合いが円満だった」「話し合う必要もなく暗黙の了解」など合意内容に基づいた遺産分割協議書を作成しない人もいます。

しかし、法定相続分と異なる割合で相続登記するには遺産分割協議書が必要です。そのため、後日、遺産分割協議書を作成しようとすると、時間が経過したことで経済状況の変化や気が変わったなどを理由に、他の相続人から相続を希望されるケースがあります。

正式な相続放棄の手続きを取っていなければ、相続人の間での相続放棄の合意は遺産分割協議の一種でしかありません。そのため、登記を目的に遺産分割調停などが必要になる場合もあります。

不動産を債権者に差し押さえられる可能性がある

相続人のひとりが借金を抱え、支払いが滞っている場合、債権者に不動産の相続持分を差し押さえられる可能性があります。遺産分割協議が完了し、相続登記が終わるまで、不動産は共同相続人が法定相続割合に応じて共有しています。

そのため、債権者は借金がある相続人の法定相続分を差し押さえることができるのです。

他の相続人に勝手に相続登記、売却をされてしまう

遺産分割協議が終わっていない、もしくは終わっていたとしても協議内容に沿った登記を行うまでは、法定相続人の中のひとりから、法定相続分による登記を申請することが可能です。その際、他の相続人の同意はなくても申請が可能になっています。

これにより、ひとりの相続人が許可なく登記を行い、さらにその分を売却した場合、その土地の所有権は買主に移ります。その後の遺産分割協議で法定相続人の中から相続する人が決まったとしても、所有権が買主である事実は変わりません。

不動産の相続登記の手続きにかかる手間や費用が増えてしまう

相続登記を放置し手続きが遅くなればなるほど、必要な手間や費用が増えることもデメリットのひとつです。手続きには不動産の相続人の戸籍謄本を取り寄せますが、長いこと手続きを放置したことで相続した所有者がすでに亡くなっていた場合、次の相続ではその所有者の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。

また、被相続人がかなり前に亡くなっていると、戸籍に記載の住所が市町村合併や区画整理により現在は存在していない可能性があります。次に、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取り寄せる場合、除籍謄本(在籍者が誰もいなくなった戸籍)や原戸籍まで必要になることも少なくありません。こうした手続きは非常に煩雑で、死亡から時間が経過している場合は、司法書士などの専門家でも難儀します。また、調査費用なども割増になり、手間と費用がかかります。

不動産の相続登記の大まかなパターン

不動産の相続登記には以下の3つのパターンがあります。それぞれ見ていきましょう。

法定相続分による相続登記

民法によって定められた財産の取り分を法定相続分と言いますが、遺言書がない場合、あるいは遺産分割協議が必要ない場合や不成立だった場合に法定相続分による相続登記が行われます。紛争性が高いケースで選択されることもあります。

遺産分割協議による相続登記

相続財産には、住宅やマンション、土地などの不動産をはじめ、預貯金や自動車などあらゆる種類が存在します。分割しにくい財産もあり、財産を分割するにあたり不公平な遺産分割になるのを防ぐために、遺産分割協議による相続登記があります。遺産分割協議は法定相続人全員で話し合いを行い、法定相続分とは異なる割合で遺産を分け合う方法で、主に遺言書がない場合に選択します。

遺言書による相続登記

亡くなった被相続人が遺言書を残している場合は、遺言書の内容に基づいて相続登記を行います。
遺言書には、公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言があり、この内、公正証書遺言は相続登記の必要書類として使えます。一方、自筆証書遺言・秘密証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが必要です。封印されている場合は開封しないようにしましょう。

ここからは、公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言のそれぞれのメリット・デメリットについて、さらに解説していきます。

・公正証書遺言
公正証書遺言とは、証人2名と遺言者が公証役場へ出向き、公証人立ち会いのもとに作成される遺言書のことです。

公証人とは、裁判官や検察官といった法務実務に長く携わってきた人の中から、公募によって選ばれたのちに法務大臣によって任命される公務員のことで、公正証書を作成するほか、定款認証や私署証書等の認証を付与する権限などを持っています。

一方、証人とは遺言書の存在を証明する人を指します。未婚の未成年者、相続人に該当する人やその配偶者と直系家族、公証役場の関係者は証人にはなれません。公正証書遺言は、公証人が遺言者本人から遺言の内容を聞いた上で作成した遺言に署名押印して作成します。

メリット:公証人が遺言を作成するため、遺言者や家族の代筆などで作成される遺言に比べると内容に誤りや書き漏れなどの不備が生じにくく、確実性と安全性に優れています。また、作成された遺言の保管も依頼できるため、遺言書を紛失したり、コピーや偽造をされたりといったリスクも減らせます

遺言書を作成する際に、公証人が遺言の内容が効力を持つかどうか一応の確認を行うため、家族間などでもめた場合に遺言内容が無効となる可能性も軽減することができます。

公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の3つの遺言書形式において、最も内容についての信頼度が高く、遺言を確実に実現できる可能性が高い方法が、この公正証書遺言と言えるでしょう。

デメリット:公正証書遺言の作成には、公証役場で事前申請の必要があります。遺言内容についての打ち合わせや公証人との日程調整など、手続きに手間と時間がかかる点がデメリットとなるでしょう。また、相続する財産の額によっては、手数料が高額となる場合があるため注意が必要です。

・自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、記載するすべての内容を自筆で書く遺言書のことです。なお、遺言書にある、財産目録部分については、パソコンの文書作成機能を使用して作成することができます。

メリット:自筆による遺言書のため他人を頼ることなく、また手数料もかからず作成が可能です。公正証書遺言に比べると、他人へ遺言内容を公表しないで済むところや、手間と時間がかからないところがメリットです。

デメリット:自分ひとりの力で作成するため、自筆証書遺言の存在を公表しないでいると、遺言があること自体を相続人が知らないまま相続が進んでしまう可能性があります。さらに、遺言能力について要件を満たしていない内容となっている場合、遺言が無効になってしまう場合もあります。

・秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、内容を秘密にしたまま公証人や証人に本人が作成したものであることを証明してもらう遺言のことです。

公証人2名の承認と公証役場で公証人の承認を受ける点は公正証書遺言のようですが、遺言の記載を公証人によらず作成し、内容を公開しない点が、公正証書遺言とは異なります。

メリット:遺言の内容を誰にも知られずに遺言を作成することができることがメリットです。また、遺言者本人が書いた遺言であることを証明してもらえるため、偽造や改ざんのリスクを減らせます。自筆証書遺言と異なり、秘密証書遺言では遺言の内容を自筆せずパソコンで作成することも可能です。

デメリット:2名以上の証人を集めたり、公証役場に出向いての手続きが必要となったりするなど、自筆証書遺言に比べると手間と費用がかかります。遺言自体は自分で保管することとなるため、盗難や紛失のリスクがあります。

また、遺言書には「○○に相続させる」の記載が原則的に必要となります。なお、「○○に遺贈する」「○○に与える」などの記載の場合、財産を移転させることを意味する「相続」ではなく、財産を無償で譲ることを意味する「遺贈」の登記になり、相続登記とは扱いが異なるため、注意しましょう。

不動産の相続登記の流れは?

相続登記の手続きの最初のポイントは遺言書の有無であり、それによってその後の対応は変わってきます。また、相続人の人数が多いほど揃える書類も多くなるので、それだけで相続登記の手続きまでに時間がかかってしまう場合もあります。

相続登記手続きは、相続が発生してからできるだけ早めに動き出すことが良いといえます。
不動産の相続登記手続きの流れを相続発生後から順に確認しておきましょう。
また、法務局には相談窓口があるので、不明点などがあれば相談してみてはいかがでしょうか。

1.遺言書の有無の確認

遺言書の有無により、不動産の相続人や相続登記の詳細、手続きに必要となる書類などが異なります。まずは遺言書を探すことが重要です。公証役場にて公正証書遺言検索システムを利用すれば、被相続人が公正証書遺言を残していたかどうかがスムーズにわかります。自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、遺言書検認の手続きも忘れないようにしましょう。

2.相続人の確定

まず誰が相続人なのかを確定させるために、相続人の戸籍の収集を行います。その上で、全財産の内、各相続人がそれぞれどの程度相続するのか、相続人全員で協議をします。その際、相続人に未成年者がいる場合は特別代理人を立て、行方不明者がいる場合は相続財産管理人を選任しましょう。

3.財産の整理

相続人が受け取る遺産が債務より多い場合、被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に相続税の申告を行います。反対に相続債務のほうが多い際には、相続発生から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をしましょう。申述を行うことで債務を引き継ぐ必要がなくなります。相続財産もしくは債務がどの程度なのか、なるべく早めに確定させるようにしましょう。

4.遺産分割協議書の作成

・協議内容を明確にする。
・後々相続人同士で財産をめぐり争いが発生することを防ぐ。
・相続登記や名義変更手続き、相続税の申告に使用する。
上記の3つを目的に、遺産分割協議が完了次第、協議内容に基づいて遺産分割協議書を作成します。作成した遺産分割協議書には相続人全員の署名および押印をしましょう。

5.必要書類の収集・準備

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、および相続人全員の戸籍謄本・住民票・印鑑証明書、不動産の評価証明書などを収集・準備しましょう。

6.相続登記の申請

管轄する法務局に相続登記の申請を行います。手続きする際には、登録免許税の軽減を受けられるように法務省オンライン申請システムの利用が便利でお得です。

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不動産の相続登記に必要な書類

相続登記には多くの書類が必要です。書類は、法務局や市町村役場(東京23区の場合は各都税事務所)でないと取得できないものがほとんどなので、これらを揃えるだけでも時間を要します。
また、相続登記の種類により必要な書類が異なるのでここでしっかり確認しておきましょう。

登記事項証明書(登記簿謄本)

相続登記手続きの前に、不動産の特定や、被相続人名義の不動産であることを確認するために必要です。全国どこの法務局出張所でも発行することができます。

相続登記申請書

入手した相続登記申請書の用紙に必要事項を記載の上、提出します。法務局出張所で入手できます。

固定資産税評価証明書

登録免許税額の確認のために必要な書類で、最新年度のものを用意します。登録免許税の税額は固定資産税評価額に応じて変わります。東京都23区内は各都税事務所、東京都23区以外の市町村およびそれ以外の道府県は住所地の市町村役場で入手しましょう。

住民票の除票(被相続人)

住民票の除票とは、亡くなった人の住民票です。登記簿上の所有者の住所と、被相続人の住民票の除票上の住所が同じの場合、同一人物の確認が取れるので、他書類に添付して申請します。

戸籍の附票(被相続人)

住民票の除票上の住所と、登記簿上の所有者の住所が異なる場合、戸籍の附票が必要です。戸籍の附票に記録されている住所一覧に、登記簿上の所有者の住所と同じものがあれば、同一人物である確認が取れます。

ただし、被相続人が戸籍を移っていた場合、被相続人が過去にいた戸籍について、除かれた戸籍や改製原戸籍も含め附票を調べます。

遺言書

亡くなった被相続人が、相続人同士が遺産相続でもめないように残した書面です。自筆証書遺言・ 公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。

戸籍謄本(相続人)

法定相続分に応じた共有名義で登記を行う場合など、相続人全員の現在の戸籍謄本が必要です。市区町村の役所・出張所で取得できます。

住民票(相続人)

相続人全員の現在の住民票を用意します。市区町村の役所・出張所で取得できます。

印鑑登録証明書(相続人)

法律で定められた相続分以外の割合で相続する場合、相続人全員の印鑑登録証明書が必要です。市区町村の役所・出張所で取得します。

登記済権利証、または、登記識別情報通知書(必要に応じて)

不動産の所有権取得の登記が完了した際に法務局から発行される登記済権利証(平成18年以前)、登記識別情報通知書(平成18年以降)は、被相続人の住民票が発行されない場合など、被相続人の最後の住所と登記上の住所につながりがない場合に必要になります。

不動産の相続登記の費用はいくらかかる?

相続登記には、前項で紹介した必要書類の取得にかかる費用をはじめ、登録免許税がかかります。そのほか、司法書士などの専門家に依頼した場合にも費用が加算されます。

登録免許税にかかる費用

登録免許税にかかる費用は、課税価格(不動産の評価額)の0.4%がかかります。

必要書類の準備にかかる費用

相続登記の際に必要な書類とその取得費用はおおむね以下の通りです。
なお、以下の取得費用については各市町村により異なることがありますので、目安とお考えください。正確な費用につきましては該当の市町村のサイト等でご確認ください。
・被相続人の戸籍謄本(除籍、改製原戸籍):750円
・相続人の印鑑証明書(※該当者全員分):300円/1通
・相続人の戸籍謄本(※該当者全員分):450円/1通
・相続人の住民票の写し(※該当者全員分)300円/1通
・遺産分割協議書:専門家に依頼時は有料

司法書士などの専門家にかかる費用

司法書士などの専門家の報酬は、一般的な相場で6万円~10万円程度です。不動産の数や評価額、地域により変わります。また、上記は相続登記申請の報酬なので、不動産の調査や遺産分割協議書作成などもあわせて依頼すると10万円~15万円程度です。

不動産の相続登記は自分でできる?

不動産の相続登記は相続人自身で行うことができます。ただし、今回解説した通り、煩雑な手続きが多く、専門用語も頻繁に登場しわかりづらいため、専門家ではない人間が行うにはかなり大変なことを覚悟しておいたほうがよいでしょう。早めに着手することをおすすめします。

不動産の相続登記を行う上での注意点

不動産の相続登記では、以下のような点に注意が必要です。

共有名義にする場合は慎重に行う

不動産を共有名義にした場合、その不動産を売却する際には共有者全員の同意が必要となります。また、共有者が亡くなってしまうと、今度は共有者の相続人と不動産を共有することになります。その場合、血縁関係にない人や、血縁関係であってもつながりの薄い人と不動産の共有をすることになる可能性もあり、合意形成が難しくなるので、注意が必要です。

さらに、共有名義から単有名義に変更する場合には、税金の支払いが発生します。

相続する不動産を、一度共有名義にした後で、どちらかの単有名義へ変更する場合、受贈者側に贈与税や不動産取得税、登録免許税といったさまざまな税金がかかることになります。

不動産を共有名義にする際、誰の名義にするかは、相続登記を行う前に慎重に考えたほうがよいでしょう。

生前贈与するとかえって税金が高額になる場合もある

相続登記が発生する前に、「自分が生きているうちに相続の手続きを済ませてしまおう」「相続税がかからないようにしよう」といった目的で不動産を生前贈与するのはおすすめできません。

生前贈与で不動産登記の名義変更をした場合、贈与税の課税対象となってしまうからです。相続する資産を減らす目的で不動産の生前贈与をした結果、かえって高額な税金を発生させてしまうことにもなりかねません。不動産の生前贈与を行う際は、事前に贈与税が発生するかどうかを確認しましょう。

万が一、支払いが難しいほど高額な贈与税が発生してしまった場合には、税務署へ必ず相談するようにします。贈与税の納付をせずに放置した場合、税務調査が入り、延滞税や加算税が課せられたり、不動産を差し押さえられたりする可能性もあります。

土地が分筆されている場合は手続きが増える

土地の分筆とは、1つの土地を2つまたはそれ以上に分割することを指します。分筆された土地には新たな地番が与えられ、独立した土地として登記されます。このため、分筆したすべての土地に対して名義人変更手続きが必要となるので注意が必要です。

土地の分筆が行われているかどうかは、登記簿謄本でも判断できない可能性があります。名寄帳や登録済権利証、古い登記簿謄本などで分筆の有無を確認し、手続きにもれがないようにしましょう。

相続登記前に相続人が亡くなったときは遺産分割協議をやり直す場合もある

相続の遺産分割協議が終わった後、相続登記前に相続人が亡くなった場合は、遺産分割協議をやり直す必要はありません。

しかし、1次相続の遺産分割協議が終わらない段階で相続人が亡くなってしまった場合は、2次相続の相続人を交えて遺産分割協議のやり直しが必要となります。その場合、1次相続および2次相続に関わる相続人全員で遺産分割協議書を作成します。なお、相続登記自体は相続ごとに行うのが原則ですが、ケースによっては1度だけで済む場合もあります。

大切な不動産を子孫に引き継ぐためには生前の相続対策が重要です

大切な資産・財産となる不動産を有効的に引き継ぐためには、生前の相続対策が重要です。相続登記の手続きを行うために、登記に必要な書類をきちんと揃えておくことは相続対策とも関連します。

また、資産・財産をより効果的に遺すための土地活用や不動産活用、節税対策を行うこともポイントです。生和コーポレーションでは、ご所有のお土地を活用した対策を提案しております。大切な資産・財産を次世代に有効に引き継ぐために、ぜひお気軽にご相談ください。