【初心者でもわかる】アパート経営の基本から徹底解説!メリット・デメリットや必要資金、年収についても

オーナー様のなかには、所有する土地を活用してアパート経営をしてみたいと考えている方もいるかもしれません。検討にあたっては、マンション経営との違いやメリット、リスクがどのような点にあるのか気になることでしょう。

アパート経営には、マンション経営とは異なる特徴があります。経営を軌道に乗せるには、特有のリスクへの対策を理解して、それに備えられるようにすることが大切です。

この記事では、アパート経営とマンション経営の違い、アパート経営のメリットとリスク・対策案について解説します。アパート経営に失敗しないためのポイント、税金にまつわることなど網羅的に紹介します。

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アパート経営とは?マンション経営との違いとは?

最初に、アパート経営とはどのような性質を持つ賃貸経営なのか紹介するとともに、マンション経営や株式投資との違いを解説します。また、アパート経営に向いている人の特徴も具体的に紹介します。

アパート経営とは

アパート経営は、基本的に建物一棟を取り扱う経営の仕方です。これを知ると「一般の人ではなかなか難しいのではないか」という印象があるかもしれません。

しかし、その内容にも様々なケースやプランがありますので、一概に「難しいものである」とは限りません。方法によっては、不動産投資を検討している人なら誰でも視野に入れて考えられる不動産投資方法とも言えるでしょう。

日本国内でも、一棟のみならず、複数棟のアパートを所有し、億単位の不動産を資産として保有している方もいます。

最初は簡単な方法から始め、十分な収入や資金が得られるようになってきたら、アパート経営を考えてみる、というのも1つの方法です。

マンション経営とは何が違う?

アパート経営はアパート一棟を取り扱う賃貸経営の手法です。これに対し、マンション経営は区分所有と一棟経営に分けられます。区分所有は、マンションの一戸ないしは複数戸、一棟経営ではマンション一棟丸ごとを投資対象とします。

アパートとマンションの区別に明確な定義はありませんが、次のように使い分けされるのが一般的です。

・マンション:鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)などで3階建て以上の共同住宅
・アパート:木造、軽量鉄骨造などで2〜3階建ての共同住宅

同じ一棟経営の場合、マンションに比べてアパートは物件が小規模なのが特徴です。

関連記事はこちら: 「アパート経営・マンション経営の節税の仕組みと効果・経費計上する際のポイントについても解説」

株式投資とは何が違う?

代表的な投資手法には株式投資が挙げられますが、アパート経営とはどのような違いがあるのでしょうか。両者の違いとしては大きく3点が挙げられます。

1点目は、メインで得られる収入の種類の違いです。株式投資でメインの収入となるのは、株式の売却益によるキャピタルゲイン。一方、アパート経営でメインの収入となるのは、家賃収入によるインカムゲインです。

ただし、株式投資でも配当金はインカムゲインにあたり、アパート経営における物件売却益はキャピタルゲインにあたります。

2点目は、投資においてレバレッジを前提とするか否かという点です。レバレッジとは「てこの原理」を指し、借り入れたお金を投資に回してリターンを大きくすることをいいます。アパート経営は資金を借り入れて始めるのが前提です。自己資金の範囲を超えて投資するリスクはありますが、その分大きなインカムゲインが期待できるでしょう。一方、株式投資は自己資金の範囲内での投資が前提となります。

3点目は、投資期間中の関わり方の違いです。株式投資は、売買のタイミングを見計らいながら株式を保有していれば良いですが、アパート経営は賃貸経営のため、ただ見守っているだけでは成り立ちません。物件管理を継続的に行いながら、物件の価値や魅力を維持しなければならない点が特徴です。

裏を返せば、アパート経営では物件の状態や管理を改善することで魅力度を上げれば、収益を改善できる可能性があるともいえます。株式はあくまでも保有のみなので、投資家が主体的に価値を上げることはできません。

アパート経営に向いている人とは?

マンション経営や株式投資との違いを踏まえ、アパート経営に向いていると考えられるのは「土地を所有している人」と「相続税対策が必要な人」です。

土地を所有している人がアパート経営に向いているのは、その土地が収益物件となって継続的な家賃収入が得られるからです。活用できていない土地を所有していると固定資産税・都市計画税を毎年納めなければならず、収入はマイナスになってしまいます。

アパートを建てて収益物件化すれば、家賃収入によりキャッシュフローをプラスにできます。また、更地にアパートを建てることで固定資産税の節税にもつながるため、土地を所有している人にはアパート経営がおすすめです。

また、相続税対策が必要な人にとって、アパート経営は土地にかかる相続税を節税できる点で適しています。このあとの章でも紹介しますが、賃貸物件の相続税評価額の算出においては、借地権割合・借家権割合が考慮されることに加え、小規模宅地等の特例による大幅な節税効果が期待できます。

このように賃貸物件の相続税評価額は基本的に時価よりも低くなるため、額面どおりの評価額となる現金、預貯金、有価証券などの金融資産に比べて、相続税額を抑えられるのもポイントです。

さらに継続的な家賃収入を得られるので、アパートは優良な相続財産と言えるでしょう。

アパート経営の3つのメリット

アパート経営には、以下3つのメリットがあります。

  1. 安定した家賃収入が期待できる
  2. 土地にかかる固定資産税や相続税を節税できる
  3. 物件を建築しやすい

この章では、それぞれのメリットについて詳しく見ていきます。

安定した家賃収入が期待できる

アパート経営のメリットのなかでも特に大きなメリットとして挙げられるのは、安定した家賃収入が期待できることです。物件に高い客付け力があれば、入居者からの家賃収入が中長期にわたって継続的に入ってきます。

区分所有のマンション経営や、戸建て住宅を用いた投資では、空室が発生すると収入が大きく減少してしまいます。一戸しか所有していなければ、空室の発生と同時に収入がゼロになってしまうリスクもあるでしょう。

アパート経営は一棟経営のため、たとえ空室が発生したとしても、収入がゼロになるわけではありません。空室率によって家賃収入は上下するものの、区分所有や戸建て住宅への投資に比べれば家賃収入は安定しています。

土地にかかる固定資産税や相続税を節税できる

先ほど少し触れたとおり、所有する土地の固定資産税や相続税を節税できる点もアパート経営の大きなメリットです。

アパート経営で土地の固定資産税が節税できるのは「小規模住宅用地の特例」が適用されるためです。この特例では、住宅用地のうち一戸当たり200平方メートルまでの部分について、課税標準額が1/6に減額されます。

たとえば、15戸からなるアパートの場合、1戸あたり200平方メートル×15戸=3,000平方メートルまでの土地に、小規模住宅用地の特例が適用されるのです。

相続税にも同じような特例があり、「小規模宅地等の特例」と呼ばれます。特例の適用により、アパートが建築されている宅地は200平方メートルを限度として、相続税の課税価格が50%減額されます。

加えて、相続税額算出のベースとなる相続税評価額の計算にあたって、賃貸物件では借地権割合・借家権割合が考慮されるのもポイントです。借家権割合は建物だけでなく土地の相続税評価額にも適用されるため、大きな節税効果を期待できます。

物件を建築しやすい

アパートはマンションに比べて物件規模が小さいため、全体的な建築費を抑えられます。マンションよりも少ない初期費用でスタートできるのも、アパート経営のメリットと言えるます。

アパートは、用途地域をはじめとした、都市計画法や建築基準法などによる建築規制を受けにくいのも特徴です。高層建築物を建てられない住居系の用途地域でも、アパートなら検討できるケースも考えられるでしょう。

ただし、商業系地域をはじめとした防火地域・準防火地域に指定されたエリアでは、建物に耐火構造が求められるため、基本的に耐火建築物または準耐火建築物でないと建築ができません。アパートに多い木造建築の場合、費用をかけて必要な設備を整えることにより耐火建築物の認定を受けられます。

RC造であればもともと耐火性能を備えているので、特に追加で費用や手間をかける必要はありません。一方、木造では、費用をかけて必要な設備を整えたうえで耐火建築物の認定を受ける必要があります。

アパート経営における10個のリスクと対応策

安定的な家賃収入や節税効果などのメリットが期待できるアパート経営ですが、次に挙げる10個のリスクがあることも認識しておかなければなりません。

  1. 災害リスク
  2. マンションに比べて高い空室リスク
  3. 入居者による家賃滞納リスク
  4. 経年による家賃下落リスク
  5. 入居者トラブル発生のリスク
  6. 建物老朽化リスク
  7. 立地によるリスク
  8. 将来の金利上昇リスク
  9. サブリース契約にまつわるリスク
  10. 融資返済リスク

各リスクの内容と対応策を解説します。

災害リスク

築年数の古い木造や鉄骨造のアパートの場合は、火災が発生すると、鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションと比べて全焼する可能性が高くなります。そのため、対策として以下のことに注意しましょう。

火災

火災保険の加入は忘れずに行いましょう。
ただ、新築物件や建築後日が浅い物件に関しては、厳しくなった防火基準を通っており、火が一気に回らない構造となっています。そのため、避難するまでに十分な時間は確保できるでしょう。

地震

1981年以前に建築された物件は、現在の耐震基準とは違う古い耐震基準で造られています。そのため、万が一の事態に備えて避難方法・避難経路などは普段からしっかり準備しておきましょう。

1981年以降の改正された耐震基準で建てられた物件は、地震にも強いと言われています。特に、2×4工法を採用した建物は建物全体で揺れを受け止めて分散させるので、地震に強い構造となっています。

マンションに比べて高い空室リスク

アパートはマンションと比べると、一般的に空室率が高いと言われています。というのも、マンションとアパートの立地の違いが大きく、マンションは建材的に高層化が可能なので、駅前などの利便性の高い土地に建築される傾向があり、立地が理由で空室が発生しにくいのです。

一方でアパートは低層建築、ローコストで作れるので、郊外でも採算が合います。そのため、駅近くの交通至便な物件と比較すると、立地的な面で空室が出やすくなるのです。

アパート経営を成功させるためには、事前に周辺をしっかりリサーチして、ターゲットのニーズをきちんと見極めることが重要になります。また、周辺状況に応じて、臨機応変に家賃を見直すことも大切です。

関連記事はこちら: 「アパート経営・マンション経営のリスク」

入居者による家賃滞納リスク

家賃を滞納する入居者がいると、滞納期間中の家賃収入がなくなるだけでなく、新たな入居者の募集もできません。一般的には、3ヵ月以上の滞納がないと、貸主側から契約解除することはできないという前提があります。

賃貸借契約において適用される借地借家法は、借りる人の権利を保護する目的で定められているため、そもそも入居者に立ち退きさせることは容易ではありません。

家賃滞納によるリスクを回避するには、入居時に十分な敷金を納めてもらうのが効果的です。併せて、入居者に家賃保証会社へ加入してもらえば、滞納時の逸失収入をカバーできます。

経年による家賃下落リスク

当然のことながら建物は経年劣化していくため、通常アパートの家賃は新築時が一番高く、築年数が経過するごとに下落していく傾向にあります。物件としての競争力も落ちていくので、近隣に新築物件が建築されると、従来の家賃では入居者の確保が難しくなることもあるでしょう。

経年による家賃下落は避けられないものと考え、将来的な家賃下落も考慮に入れた資金計画が求められます。また、家賃下落を抑えるには、長期的な管理やメンテナンスの計画も欠かせません。計画を立てるだけでなく、その計画を将来にわたって遂行できるだけの安定した経営基盤や資金力のある管理会社を選定することも重要です。

入居者トラブル発生のリスク

入居者のなかにマナーの悪い人がいると、入居者同士のトラブルに発展するリスクがあります。よくあるトラブル要因としては、入居者の発する騒音、ゴミの出し方、部屋に放置されたゴミによる悪臭、ペット不可物件におけるペット飼育などが挙げられます。

トラブルが原因で他の入居者が退去してしまったり、新たな入居者を確保しづらくなってしまったりするかもしれません。

入居者トラブルを防ぐためには、ルールの守れない人が入居しないよう、事前にチェックする必要があります。委託先の管理会社に厳正な入居者審査を行ってもらうことが有効な対策です。

建物老朽化リスク

築年数が経過すると家賃が下落するだけでなく、建物の躯体や住宅設備も老朽化します。物件の価値や魅力を維持するためには、修繕やリフォームを行わなければならず、大きなコストがかかるでしょう。築古物件では、突発的な修繕対応が発生するリスクも高まります。

資金計画を立てる際には、定期的な大規模修繕費用だけでなく、突発的な不具合への対応コストも予備として見込んでおきましょう。また、経年による空室リスクを低減するために、計画的なリフォームや居室内のフルリノベーションなども欠かせません。

立地によるリスク

のちほど詳しく解説しますが、アパート経営においてターゲット選定は大切な要素です。ただし、ターゲットによっては、立地に関するリスクが大きくなる可能性があることに注意しましょう。

たとえば、近隣にある大学の学生や会社に勤める社会人などをターゲットにしている場合、ターゲットの通う大学や工場が移転しまった途端に、賃貸ニーズが急激に低下するおそれがあります。

ターゲットとして重視する施設がある場合には、その施設に関する情報を事前によくリサーチしておきましょう。施設の動向に経営を左右されるというリスクの高さを認識し、アパート経営以外の活用方法も並行して検討したいところです。

将来の金利上昇リスク

超低金利と言われて久しい現代ですが、将来的に金利が上昇する可能性は否定できません。超低金利を前提として変動金利型で融資を受ける場合、将来、金利上昇により月々の返済額が増加し、想定していたよりもキャッシュフローが悪化してしまうリスクがあります。

金利に関する様々な予測は存在しますが、結局のところどうなるかは誰にもわかりません。金利上昇リスクを重視する人は、固定金利型での融資や、自己資金の比率引き上げを検討するのがおすすめです。

サブリース契約にまつわるリスク

アパート経営におけるサブリース契約とは、オーナー様とサブリース会社の間で一括借上げする賃貸借契約を締結し、毎月固定家賃をオーナー様へ支払う契約形態を指します。

サブリース契約は、ニーズが安定している都市部の物件であれば、オーナー様が管理の手間をかけることなく一定の収入を得られるため、おすすめの契約形態です。

一方で、駅から遠いなど、賃貸ニーズが不安定な立地の物件においてサブリースを勧められた場合、サブリース会社側から将来、減額請求されるケースもあるため注意が必要です。

こうした会社は、オーナー様自身が賃貸ニーズを見込めないと考えている立地の悪い物件について、「サブリースで家賃を保証する」といってアパート建築の契約を迫るケースがあります。立地が悪い場合、サブリースであるかどうかに限らず、アパート経営は厳しいと考えましょう。

サブリース契約を締結する際は、賃貸ニーズが十分に見込めるか検証するとともに、事前に契約内容をしっかりとチェックするよう心がけましょう。

融資返済リスク

これまで紹介してきたリスクによってキャッシュフローがマイナスになると、融資返済が滞ってしまうリスクがあります。キャッシュフローの良し悪しに関係なく、融資は毎月返済しなければなりません。

一時的に家賃収入が減少したり、必要経費が増大したりしたとしても返済に窮しないよう、余裕を持った資金計画を立てましょう。

アパート経営に失敗しないための事前準備

アパート経営に失敗しないためには、しっかりとした事前準備が大切です。ここでは以下4つのポイントを紹介しますが、事前準備を1人ですべて考えるには限界があります。パートナーとなる建築会社や管理会社と相談しながら考えたほうが、万全な準備ができるのでおすすめです。

  1. アパート経営の目的と目標を定める
  2. ターゲットとなる入居者像を決める
  3. しっかりとした資金計画を立てる
  4. 賃貸経営に関わる知識を勉強する

アパート経営の目的と目標を定める

アパート経営を成功させるには、自分がアパート経営を行う目的を明確にすることが何よりも重要です。目的によって、目指す方向性や達成すべき目標が異なってきます。

アパート経営の目的例としては、次のようなものが挙げられるでしょう。

・相続税対策のため
・所有する土地の固定資産税節税のため
・公的年金の上乗せとなる老後資金を得るため

目的を明確化できたら、それを達成するために必要な目標数値を定めます。自ら決めた目的と目標を指標にしたアパート経営を心がければ、大きな失敗を回避できる可能性が高まるでしょう。

ターゲットとなる入居者像を決める

アパート経営における収入の柱は、入居者からの家賃収入です。アパート経営を成功させるには、入居率を常に高い状態でキープし、家賃収入を安定的に得られるようにしなければなりません。

入居率を高めるために必要なのは、ターゲットを明確にすることです。所有する土地周辺の賃貸ニーズをリサーチして、単身者やファミリーなど、入居してくれそうなターゲットを設定します。ターゲットが定まれば間取りや必要設備が決まるため、ターゲット設定は資金計画を立てるにあたっての基礎となります。

しっかりとした資金計画を立てる

アパート経営において、ずさんな資金計画は危険です。キャッシュフローがマイナスになれば、アパート経営に行き詰まってしまいます。

入居者が入れ替わるアパートにおいて、常に満室稼働というのは考えにくいでしょう。また、築年数が経過すれば、設備や建物の修繕、リフォームも検討しなければなりません。空室率や将来かかる修繕費などを考慮に入れ、適度に安全な資金計画を立てることが重要です。

その他、自己資金投入の有無と金額、投資回収年数の設定も確認しましょう。融資を活用する場合には、金融機関へ事前に相談し、融資可能額の目処をつけておくことも必要です。

賃貸経営に関わる知識を勉強する

アパート経営の本質は賃貸経営です。賃貸経営にまつわる知識が不十分なまま取り組んでしまうと、たとえ投資に関する知識があったとしても、アパート経営に失敗するリスクがあります。アパート経営を検討するのであれば、賃貸経営に関する知識を勉強しておくようにしましょう。

特に、支出や税金に関する知識は重要です。これらの知識を深めておくと、賃貸経営の肝である資金計画を立てる際にも有利になります。

建設会社の選び方

アパート経営にかかる初期費用において大きな割合を占めるのが、アパートの建築費です。どういった建設会社に依頼するかによって、コストや建物のグレードが大きく異なります。ここでは、建設会社を選ぶ際のポイントを解説します。

建設会社の種類ごとの特徴を踏まえて選ぶ

建設会社と一口に言っても様々な種類があり、それぞれに特徴が異なります。どの種類が良い・悪いということではなく、オーナー様のスタンスに合ったタイプの会社を選ぶのがおすすめです。下表で、おもな建設会社の種類と特徴を見てみましょう。

建設会社の種類 特徴
賃貸マンションを得意とする建築会社 ・品質が高い
・物件管理からソリューション提案まで一貫体制
・コストとグレードのバランスが良い
工務店 ・地元密着のため対応が迅速
・他の建設会社に比べて安価
・会社によって施工精度やアフターサービスにバラつきあり
ハウスメーカー ・品質が安定している
・アフターサービスが充実している
・パッケージ化された建物づくりで工期が短い
・自由度が低い
・他の建設会社に比べて高価
設計会社 ・オリジナリティのある建物設計
・デザイン性が高い
・設計のみのため建築会社は別途探す必要あり
・コストは高め

建築コストとグレードのバランスで選ぶ

初期費用を抑えようと考えるあまり、建築費の安さだけで建設会社を選ぶ方もいるかもしれませんが、それは危険です。建築費を抑えて建物のグレードを妥協した結果、入居者が確保しづらくなったり、将来のメンテナンス費用が膨らんだりして、長期的に見ると全体のコストが高くなることもあるでしょう。

アパート建築を依頼する会社を選ぶ際には、建築コストと建物のグレードのバランスを考慮することが重要です。

50年以上にわたり土地活用に携わってきた生和グループでは、こだわりの設計・施工と優れた技術力で、オーナー様の希望を実現できます。所有する土地をアパート経営で活用したいと考えているオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。

関連リンク:生和コーポレーション

アパートの建築完了までにかかる期間

建設会社が決定し、実際に建築を開始してから工事完了まで、どれくらいの期間がかかるのでしょうか。

アパート建築にかかる期間は、建物構造によって異なります。一般的な木造アパートであれば、建築期間は3~7ヵ月程度が目安です。鉄骨造の場合は木造+1ヵ月程度、鉄筋コンクリート造(RC造)なら、階数+3~4ヵ月程度(2階建てなら5~6ヵ月程度)は見ておきたいところです。

上記はあくまでも目安であり、土地の状況や工事条件などによって必要な期間は変動します。また、工事期間とは別に、建物の設計期間を見込む必要があるほか、既存建物がある場合には解体期間がかかる点も注意しましょう。

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アパート経営に必要な資金と内訳

アパート経営を行うにあたっては、初期費用や維持費用が必要です。ここでは、アパート経営で見込むべき資金の種類と内訳を紹介します。

アパート建築費

アパート経営の初期費用のなかで大きな割合を占めるのが、アパートの建築費です。建物構造によって建築費は異なり、建物構造ごとの単価目安は次のようになっています。

アパートの建物構造 建築費の坪単価目安
木造 坪60万~90万円程度
鉄骨造 坪90万~140万円程度
鉄筋コンクリート造(RC造) 坪90万~150万円程度

建築費以外にかかる初期費用

アパート経営では、建物の建築費以外にも初期費用として多くの費用がかかります。おもな費用項目を見ていきましょう。

登記費用 ・新築した建物の所有者を明らかにするための「所有権保存登記」、融資を利用した場合に金融機関の抵当権を設定する「抵当権設定登記」にかかる費用
・各登記につき、登録免許税と司法書士報酬が発生
・2つの登記合計で20万~50万円程度が目安(アパートの規模によって異なる)
不動産取得税 ・アパートを新築した場合に納める税金
・「固定資産税評価額×3%」で算出(本則の税率は4%だが、2024年3月31日までは軽減税率3%が適用)
・新築建物の固定資産税評価額の目安は建築費の5~6割程度
・床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下の場合、固定資産税評価額から1,200万円を控除可能
印紙税 ・建設会社との間で締結する建設工事請負契約書に印紙を貼付して納税
・契約金額ごとの税額は以下のとおり(2024年3月31日までの軽減措置)
100万円超200万円以下:200円
200万円超300万円以下:500円
300万円超500万円以下:1,000円
500万円超1,000万円以下:5,000円
1,000万円超5,000万円以下:1万円
5,000万円超1億円以下:3万円
1億円超5億円以下:6万円
5億円超10億円以下:16万円
10億円超50億円以下:32万円
50億円超:48万円
融資関連費用 ・融資契約時の事務手数料、保証料、契約書に貼付する印紙税などの費用
・余裕を持った資金計画の場合、融資の頭金は建築費の1割程度が目安
保険料 ・火災や自然災害、盗難などに備える火災保険および地震保険の保険料
・火災保険、地震保険とも5年ごとに更新が一般的(2022年10月の改定により最長5年に短縮)
・保険料の目安は火災保険(10年一括)+地震保険で30万~50万円程度(建物構造や建物のある地域などによって異なる)

経営にあたってかかる維持費用

アパート経営を実際にスタートする、と継続的に維持費用がかかります。維持費用の項目としては次のようなものが挙げられます。

管理費 ・日々の管理業務にかかる費用
・管理会社に委託する場合は委託費用が発生
・共有部分の水道光熱費負担も必要
修繕費 ・建物の劣化や設備の不具合などを修繕するための費用
・老朽化が進むほど修繕費は高くなる傾向
・空室リスクを下げるには、一定期間でリフォーム費用も盛り込む必要あり
融資の利息支払い ・融資を利用した場合は毎月利息の支払が発生
税金(所得税・住民税、固定資産税・都市計画税) ・家賃収入から経費を差し引いた不動産所得に対して所得税と住民税が発生
・以下の計算式に基づき、毎年固定資産税と都市計画税が発生
 固定資産税:課税標準額 × 1.4%
 都市計画税:課税標準額 × 0.3%
 ※住宅用地については軽減措置あり
 ※税率は自治体によって異なる場合あり
原状回復費・入居者募集費 ・退去が発生した場合に必要となる費用
・入居者募集を不動産仲介会社に依頼した場合、入居者が決まると仲介手数料の支払いも必要
保険料 ・火災保険、地震保険の契約更新につき保険料が発生

事業収支が厳しい場合は自己資金の用意も検討

アパート経営の費用において、全額融資を活用する「フルローン」を検討しているオーナー様も多いかもしれませんが、融資契約時に一時金が必要になるケースもあります。そのため、フルローンであっても、多少の自己資金を手元に用意しておくと安心です。

また、自己資金の割合を増やすと融資額を減らせるので、返済にかかる費用を抑えることが可能です。フルローンで事業収支が厳しい場合には、自己資金の投入も検討しましょう。

ただし、無理に自己資金を捻出すると、経済的負担が重くなるリスクもあるため、資金計画と自分の経済状況をベースにした検討が大切です。

アパート経営における利回りの目安

続いて、アパート経営における利回りについて見ていきます。利回りは投資可否の重要な判断材料のため、あらかじめ目安となる数値を押さえておきたいところです。

以下では、アパート経営における利回りの具体的な計算方法や、数値目安を解説します。

表面利回り=年間家賃収入/(取得価格+取得時の経費)

表面利回りは、アパートから得られる年間家賃収入を、取得価格と取得時の経費を合わせた金額で割ったものです。計算方法がシンプルで、次に紹介する実質利回りに比べて数値が高く見えるため、売却物件の広告などで広く用いられています。

たとえば、アパートの建築費が1億9,500万円、建築時の経費が500万円、年間家賃収入が2,000万円の場合、2,000万円/2億円×100で表面利回りは10.0%となります。

実質利回り=(年間家賃収入-年間経費)/(取得価格+取得時の経費)

実質利回りとは、年間家賃収入から税金・管理費・修繕積立費・保険料・管理会社に支払う手数料などの諸経費を引いたうえで、取得価格と取得時の経費を合わせた金額で割ったものです。諸経費の分だけ分子が小さくなるため、表面利回りよりも数値は低くなります。

たとえば、アパートの建築費が1億9,500万円、建築時の経費が500万円、年間家賃収入が2,000万円、年間経費が500万円の場合、(2,000万円-500万円)/2億円×100で実質利回りは7.5%です。

アパート経営の利回り

アパート経営における利回りには、先ほど紹介した「表面利回り」「実質利回り」があります。2つの違いを理解し、賃貸経営にあたっての判断材料や資金計画のベースとして、正しく活用しなければなりません。

実質利回りに注目する

投資用物件を建築するうえで最も重要な指標となるのは、実質利回りです。

たとえば、地方でアパート経営をする場合、実質利回りの理想は10%とされています。これに対して都内の平均は6%前後と言われます。地方のほうが高い理由としては、都内に比べると人口減少が進み、賃貸需要の低下から入居者を見つけるのが難しいと考えられるためです。地方は空室リスクの観点から、やや高い利回りを意識しておくとよいでしょう。

一般的なアパート経営における実質利回りの基準としては、上記を踏まえて5%以上が理想で、最低でも3%程度を目安に資金計画を検討したいところです。

関連記事はこちら:「アパート経営の利回り計算方法とは?最低ラインや利回り相場を解説」

アパート経営における平均年収

国税庁の申告所得税標本調査によると、令和3年のアパート経営の平均年収は約543万円とされています。
さらにこの数値は令和2年は540万円、令和元年は521万円、平成30年は約518万円、平成29年は約517万円、平成28年は約512万円と、過去6年にわたって年々増加しています。
ただし、この調査は不動産所得全般を対象としており、アパート経営だけでなくマンション経営や戸建賃貸経営も含まれています。

アパート経営はワンルームマンション経営よりも初期費用は大きいものの、全ての部屋が空室にならない限り収入が得られるため、一度に得られる収入は比較的大きく、かつ空室リスクは小さいと言えます。
また、一棟マンション経営よりは初期投資が小さい分、融資が受けやすく比較的始めやすい点も利点です。

関連リンク:アパート経営の年収・収入はいくら?収入と支出の内訳やキャッシュフローを増やすコツ

【3ステップ】建物建築後のアパート経営開始にあたっての流れ

建物建築後、アパート経営を実際に開始する際の流れについて、以下の3つのステップに分けて順番に解説します。

  1. 資金計画に問題がないか再度チェックする
  2. 管理内容を決めて管理会社と契約する
  3. 入居者の募集条件を決める

ステップ1:資金計画に問題がないか再度チェックする

管理内容や募集条件を想定し、当初の資金計画に問題がないか再度チェックします。資金計画に課題が見つかるようであれば、必要に応じて資金計画を見直しましょう。

「実際に経営を始めたらキャッシュフローがマイナスになってしまった」といったことにならないよう、一定のバッファを考慮した資金計画を立てることが重要です。

ステップ2:管理内容を決めて管理会社と契約する

繰り返しになりますが、アパート経営は賃貸経営であり、適切な維持管理を継続的に行うことが重要です。経営を始める準備として、どのような管理をするのか決めなくてはいけません。

しかし、アパート経営における維持管理業務は多岐にわたり、すべて自主管理でまかなうには大きな手間がかかります。そのため、大まかな管理方針を決めたら、ノウハウが豊富な管理会社と契約し、管理内容の詳細を詰めていくとよいでしょう。

管理会社によるアパートの管理形態には、大きく分けて次の3種類があります。

管理委託 ・管理会社に管理を委託する形態
・オーナー様は各入居者と賃貸借契約を締結する
サブリース パススルー型 ・管理会社とオーナー様の間で賃貸借契約を締結、管理会社がアパートを一括で借上げ転貸する形態
・一定の手数料を差し引いた家賃収入が、管理会社からオーナー様に支払われる
家賃保証型 ・管理会社がアパートを一括で借上げ転貸する点はパススルー型と共通
・家賃収入の増減に関係なく、一定の家賃収入が管理会社からオーナー様に支払われる
なお、生和コーポレーションは、アパート管理のノウハウも豊富です。物件の維持管理から、入居者募集・仲介に至るまで、一貫してオーナー様をサポートします。管理会社を検討されているオーナー様は生和コーポレーションにぜひご相談ください。

関連リンク:生和の賃貸仲介

ステップ3:入居者の募集条件を決める

3つ目のステップとして、入居者の募集条件を決めましょう。資金計画の内容に沿って、想定に見合う家賃や敷金、管理費などの諸条件を設定します。

その際、エリアニーズを踏まえた現実的な条件を設定するよう心がけましょう。併せて、ペット飼育や同居の不可など、入居にあたっての禁止事項なども定めます。

サブリースの場合にはサブリース賃料を決定するため、各部屋の賃料を設定しておかなければなりません。そのため、ステップ2のサブリース契約交渉時に諸条件が決定する流れとなります。

募集条件によって、入居者が集まるかどうかが決まると言っても過言ではないため、パートナーの管理会社と相談しながら決定しましょう。

アパート経営における融資の流れと注意点

アパート経営を始めるにあたっては、多くのオーナー様が融資を活用されるでしょう。ここでは、融資を活用する場合の一連の流れや、注意点について解説します。

融資の審査・実行から返済までの流れ

上図は、アパート経営における融資の審査から返済開始までの流れをまとめたものです。

資金計画を検討する段階で、先に金融機関へ事前相談する必要があります。どれくらいの融資を受けられるのか見通せないと、現実的な資金計画が立てられないためです。

本審査を無事通過して融資が決定すれば、契約締結後に融資が実行されます。借入金を原資にアパート経営をスタートしますが、当然、経営開始直後は安定した家賃収入が見込めません。そのため、金融機関によって異なりますが、6ヵ月~1年程度の返済据置期間(元本の返済が猶予される期間)を設定できる場合があります。返済に無理が生じないよう、適切な返済据置期間の設定を心がけましょう。

融資の返済期間を左右する要素

融資を受ける際、返済期間によって月々の返済額が変わります。返済期間を短くすれば月々の返済額は高くなり、反対に返済期間が長いと月々の返済負担は軽くなります。

このように、返済期間はキャッシュフローに大きな影響を与える要素のため、慎重に検討しなくてはなりません。

アパート経営向け融資の返済期間を決定づけるのは、次のような要素です。

土地の担保価値 建物と異なり、経年劣化しない土地の担保力が重視される
申し込み者の資産力 資産力不足で返済能力が低いと判断されると、返済期間は短めの設定となる
賃貸経営の事業収支 事業収支がしっかりと組まれており、問題なく完済できる計画となっているかが判断される
建物の耐用年数 融資対象となるアパートの法定耐用年数も返済期間を左右する
・木造:22年
・軽量鉄骨造(骨格材の厚さ3ミリメートル以下):19年
・軽量鉄骨造(骨格材の厚さ3ミリメートル超4ミリメートル以下):27年
・重量鉄骨造:34年
・鉄筋コンクリート造(RC造):47年
申し込み者の年齢 高齢になるほど支払い能力が落ちるとみなされ、完済時年齢が80歳を超える場合は返済期間が短く設定されるのが一般的

融資を利用するにあたっての注意点

アパート経営で融資を利用するにあたっては、以下3つの注意点があります。

  1. ① 融資の元本返済額は経費として認められない
  2. ② 返済比率を適切な範囲に収めなくてはならない
  3. ③ 相続税対策が目的の場合は融資契約時に団信に加入しないほうが良い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

融資の元本返済額は経費として認められない

月々の融資返済額は、元本分と利息分から構成されます。元本返済額は、実際に手元から出ていく費用ではありますが、会計処理上、経費として扱うことができません。

キャッシュフローと手元の実収支を合わせるため、元本返済額が減価償却費の範囲内に収まるよう調整するのがよいでしょう。減価償却費は、実際に手元から出ていく費用ではありませんが、会計処理上、経費として計上できるためです。

なお、利息分については経費計上が可能です。

返済比率を適切な範囲に収めなくてはならない

返済比率とは、オーナー様の年間家賃収入に対する年間融資返済額の割合を指します。返済比率を高めてしまうと、仮に金融機関の審査に通ったとしても、キャッシュフローが少しマイナスに振れただけで、返済が困難になってしまうリスクがあります。

相続税対策が目的の場合は融資契約時に団信に加入しないほうが良い場合もある

相続時に融資の残債があると、マイナスの資産として相続税の課税対象から差し引かれます(債務控除)。相続人による融資返済は続くものの、相続税は節税できるため、資産額が大きい場合、相続人にとって有利に働く場合があります。

しかし、被相続人が融資契約時に団体信用生命保険に加入していると、被相続人の死亡時に残債がゼロになるため、相続税の課税対象額から債務控除できなくなってしまうのです。

相続税対策を目的にアパート経営を始める場合、専門家の意見を聞くなどして、団信に加入するかどうかよく検討しましょう。

アパート経営でかかる税金と確定申告のポイント

アパート経営を行うにあたっては、税金についての理解を深めることも重要です。アパート経営に関連して納めなければならない税金の種類や、税額の計算方法を解説します。

家賃収入の税金について

家賃収入に対しては、所得税と住民税が課税されます。家賃収入そのものが課税対象となるのではなく、家賃収入からアパート経営にかかった経費を差し引いた「不動産所得」に対して課税されるのがポイントです。

また、所得控除や税額控除が適用される場合、控除後の金額が所得税の納税額となります。

家賃収入 – 経費 = 不動産所得金額
不動産所得金額 – 所得控除 = 課税不動産所得金額
課税不動産所得金額 × 所定の税率 = 所得税額
所得税額 – 税額控除 = 実際に納付する所得税額

所得税は累進課税のため、オーナー様の所得が高くなるほど税率も高くなります。所得税の税率は、課税所得金額に応じて5~45%で7段階に区分されています。

住民税は、所得割と均等割に分けられます。所得割の税率は、住んでいる地域の自治体によって異なるものの、課税所得金額に対して原則10%です。そして、均等割は住民税対象者に一律で割り当てられる税額で、年額4,000円(2014~2023年分は5,000円)です。

家賃収入のみであれば消費税は非課税のため、インボイス制度への対応は不要です。ただし、駐車場収入など、居住用以外での賃料収入があり、その収入部分が、課税期間の基準期間(※1)における課税売上高1,000万円を超えると、課税期間に消費税納付義務が生じます。基準期間での課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(※2)での課税売上高が1,000万円を超えた場合には、課税期間に消費税納付義務が生じます。

なお、不動産所得は他の所得と損益通算が可能です。損益通算とは、同じ年の利益と損失を相殺できる仕組みのことで、アパート経営での赤字を計上すると、他の黒字の所得から損失分を差し引くことができます。それにより所得税の節税につながる点も、押さえておきましょう。

※1:個人事業者の場合、その年の前々年(課税期間が2024年だと基準期間は2022年)
※2:個人事業者の場合、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間(課税期間が2024年だと特定期間は2023年1月1日から6月30日)

関連記事はこちら:「家賃収入にかかる税金とは。その種類と計算方法を解説|家賃収入と不動産所得の違いについてもご紹介」

関連ページ:アパート経営・マンション経営における経費の範囲と節税のポイント

不動産にかかる税金について

ここでは、アパート経営のフェーズごとにかかる税金の種類と、税率・税額を見ていきましょう。

経営フェーズ 税金の種類 税率・税額
アパート建築時 消費税 建築費に対して10%
不動産取得税 建物の固定資産税評価額×3%
※本則は4%、2024年3月31日まで軽減税率3%
印紙税 ・工事請負契約の契約金額ごとに以下の税額(2024年3月31日までの軽減措置)
 100万円超200万円以下:200円
 200万円超300万円以下:500円
 300万円超500万円以下:1,000円
 500万円超1,000万円以下:5,000円
 1,000万円超5,000万円以下:1万円
 5,000万円超1億円以下:3万円
 1億円超5億円以下:6万円
 5億円超10億円以下:16万円
 10億円超50億円以下:32万円
 50億円超:48万円
・融資の契約金額ごとに以下の税額
 100万円超500万円以下:2,000円
 500万円超1,000万円以下:1万円
 1,000万円超5,000万円以下:2万円
 5,000万円超1億円以下:6万円
 1億円超5億円以下:10万円
 5億円超10億円以下:20万円
 10億円超50億円以下:40万円
 50億円超:60万円
登録免許税 ・建物の所有権保存登記:建物の固定資産税評価額 × 0.4%
・融資利用時の抵当権設定登記:融資の契約金額 × 0.4%
アパート経営中 固定資産税 課税標準額 × 1.4%
※住宅用地については軽減措置あり
※税率は自治体によって異なる場合あり
都市計画税 課税標準額 × 0.3%
※住宅用地については軽減措置あり
※税率は自治体によって異なる場合あり
所得税 課税所得金額に応じて5~45%の7段階
住民税 所得割:課税所得金額に対して原則10%
均等割:年額4,000円(2014~2023年分は5,000円)
アパート売却時 譲渡所得税 (所得税・住民税) ・短期譲渡所得(譲渡年1月1日時点で所有期間が5年以下):譲渡所得 × 39.63%
・長期譲渡所得(譲渡年1月1日時点で所有期間が5年超):譲渡所得 × 20.315%
※税率は所得税、復興特別所得税、住民税の合計

確定申告について

不動産所得に対して課税される所得税、住民税、事業税は、確定申告を行う必要があります。

事業税とは、アパート経営が一定の事業規模を持つと判断された場合に課せられる税金です。アパートの場合、おおむね10室以上賃貸しているケースでは事業規模と判断され、事業税の課税対象となります。

確定申告は、毎年1月1日~12月31日の1年間に発生した所得について、翌年2月16日~3月15日に行う必要があります。

確定申告の申告方法は、白色申告と青色申告の2種類です。白色申告は申請手続きが不要で、簡易簿記の帳簿のみで申請ができます。青色申告は事前に「青色申告承認申請書」「開業届」の提出が求められ、複式簿記の帳簿が義務づけられています。

青色申告は白色申告に比べて手間がかかるものの、最大65万円の特別控除などの優遇措置が受けられる点は大きなメリットです。

関連記事はこちら:「アパート経営・マンション経営における個人事業主と法人の考え方」
関連ページ:アパート経営・マンション経営の節税の仕組みと効果・経費計上する際のポイントについても解説
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事前の税務相談が大切

ここまで見てきたとおり、アパート経営には多くの税金が絡んできます。アパート経営を検討する際には、相続や将来の資産組み換え、税金対策などを見据えた計画が必要となるでしょう。

税金に関することは専門的な分野ゆえに、オーナー様個人だけで考えるのは難しいものです。事前に税理士などの専門家に相談しておくことも大切です。

ご自身のビジョンと照らし合わせてより良い選択をしましょう

アパート経営には、安定収入を得られる・節税対策になるなどの大きなメリットがありますが、空室リスクや災害リスク、融資返済リスクなどの様々なリスクも存在します。リスクに対しては、アパート経営の目的の決定・的確な入居者像の決定・現実的な資金計画・賃貸経営の勉強など、事前準備を行うことによって回避できます。

さらに、アパートを建築する建設会社や、税金に関する相談ができる専門家の選定など、アパート経営にはあらゆる選択が必要です。

本記事で解説した内容を参考に、ご自身のビジョンに合ったより良い選択を行い、アパート経営の成功率を上げましょう。

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