不動産生前贈与は相続税対策に大きなメリット

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SPECIAL FEATURE
平成25年度税制改正で、贈与税はこう変わる!

不動産生前贈与は相続税対策に大きなメリット

子や孫への教育資金なら一人につき1,500万円まで非課税に

資産を早期に若年層へ移転させるために贈与者の年齢を引き下げ、孫も受贈者になります

以前に本紙でも紹介しましたように平成25年度税制改正では、相続税は増税となりましたが、贈与税は減税となりました。

今回は、贈与税減税のポイントについて見ていきます。

まず、今回の改正では税率構造が見直しされ、贈与者の区分に応じて税率が変わり、その税率も細分化されました(下表1)。これにより平成27年1月1日以降の贈与から贈与税が若干安くなります。

たとえば、500万円の贈与を受けた場合を例にしてみると、現行では(500万円~基礎控除110万円)×20%~25万円=53万円ですが、改正後は(500万円~110万円)×15%~10万円=48万5000円となります。

また、相続時精算課税制度について、受贈者の範囲に、20歳以上の孫(現行推定相続人のみ。子が既に亡くなっていて推定相続人になっている孫を含む)が加えられ、贈与者の年齢要件は60歳以上(現行65歳以上)に引き下げられます。

相続時精算課税制度とは、贈与者から贈与を受けた財産について、2,500万円までは贈与時の贈与税は非課税(2,500万円を超える部分については20%の税率で贈与税が課税)とされ、その贈与者がなくなった場合には、その贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合算して、相続税として精算(本制度により納付した贈与税額については相続税額から控除)する制度です〈下表2〉。

また、孫の場合は、原則として相続税の精算時(申告時)に20%加算の対象となりますので注意が必要です。

不動産の生前贈与

生前贈与できる資産は現金だけではありません。現金のほかに不動産や有価証券なども含まれます。これらの財産評価は贈与時点のものとなるので、後に評価額があがっても相続時には影響しません。

今後価格が上昇すると思われるものについては有効な手段となります。
デフレ時代においては、これらの資産の価値が上昇することは考えにくいことでしたが、自民党政権になってからは、アベノミクス効果もあり、不動産の資産価値も上昇の気配を見せています。

そこで、アパート・マンションをお持ちの方には、表面で説明した「相続時精算課税制度」を利用した生前贈与が、相続税対策として有効になります。アパート・マンションを生前に贈与することで、そのまま所有していれば現金として蓄積されて相続財産としてみなされることになる「家賃収入」が、相続人に移転され、逆に相続時の納税資金として期待できるようになるのです。

また、マンション経営を法人化して行っている場合は、株式の一部または全部を子や孫に所有させることによって、無税で収益不動産を子や孫に移せます。将来に渡って発生する収益も自動的に子や孫のものとなります。

アパート・マンションを贈与する場合は、評価額が固定資産税評価額となるため時価より低い上、さらに借家権割合の分が評価減になり、おおむね時価の40%で贈与することができます。現金で不動産と同額を贈与した場合と比べ、納税額を少なくすることができるため、現金を収益物件化して、生前贈与をするという手段も考えられます。

また、不動産贈与の場合は不動産取得税が課税されることも忘れてはいけません。

生前贈与のメリット

先述の不動産の生前贈与の節税効果について、ご理解いただけましたか?
  それでは、ここで生前贈与全般のメリットに関してまとめてみましょう。

相続税よりも効果の高い節税が可能

生前贈与の最大のメリットは節税効果です。
特に、2013年の税法改正によって相続税の控除額が減少したため、贈与税が節税面での優位性で脚光を浴び、以前より注目されるようになりました。

この税法改正で、基礎控除内での生前贈与は、ほとんどの場合に相続税より節税効果が高くなりました。

また、生前贈与であらかじめ相続財産を減らしておくことで、結果的に相続時の相続税を減らすという効果も得られます。

さらに2015年以降、被相続人の20歳以上の直系卑属(自分の子供や孫を指します)に贈与を行う場合の贈与税が軽減されることになりました。

通常の生前贈与の他にも、結婚・子育て資金贈与、住宅等取得資金贈与(住宅購入のための贈与)、教育資金贈与、おしどり贈与など贈与に関してはいくつもの特例が設けられています。
これらの特例対象贈与は、通常の贈与より一層良い条件になっています。

相続税は累進課税となるため相続財産の額により税率が異なり、相続財産が多くなればなるほど税率も高くなります。最低税率でも10%となり、最高税率では55%となります。
一方の贈与税も贈与財産が増えるほど税率は上昇し、最高税率は相続税と同じ55%です。

しかし、この二つの税の大きな違いは税率構造と課税タイミングです。
相続税は被相続人が死亡時にまとめて課税されますが、贈与税は1年ごとに年間で贈与を受けた金額につき課税されます。この仕組みを利用して金額を1年ごとに分けて贈与することで、相続税より低い税率で財産を次の世代に移すことが可能になるのです。

このように、生前贈与が相続税の節税につながる理由は、贈与税と相続税の税率構造の違いや課税タイミングの違いにあるので、この点をしっかり理解して生前贈与を行う必要があります。

しかし、節税効果があるという理由でむやみに贈与してしまうと、控除額を超える可能性があるので、注意して行う必要があります。
贈与税の上限は相続税の上限と同じです。

計算が甘いと場合によっては、「相続税を支払ったほうが支払う税金は安く済んだ」という結果になってしまうこともありえます。

贈与者が財産の取得者を選べる

一般的な相続は、効力のある遺言がある場合を除き、被相続人の死後に相続人が遺産分割協議をして決定されます。
一方、生前贈与は贈与者が希望する相手を財産の取得者として選ぶことができます。

被相続人は死後の相続には関わりようがないですが、生前贈与であれば確実に希望する相手に財産を渡すことができるのです。

相続者同士のトラブル回避ができる

生前贈与した財産に関しては、その時点で財産の所有権が贈与を受けた人に移転するため、遺産相続者同士でのトラブルが起きにくくなります。

生前贈与の注意点とは

【注意点①】長期にわたる定額贈与には危険性があります

暦年課税を適用する場合、1年ごとに110万円の基礎控除が認められているため、同じ金額を贈与するならば、なるべく長い期間にわたって贈与を行った方が税負担は少なくなります。

2,000万円の贈与では、100万円ずつ20年にわたって贈与を行った場合は、それらの贈与はすべて110万円の基礎控除の範囲内となるため、贈与税はゼロになります。

ただし、途中で贈与者が死亡してしまった場合、将来贈与するはずであった財産について相続税の課税対象となることはもちろん、相続発生前3年以内の贈与についても相続財産に引き戻され相続税の課税対象となってしまいます。

また、基礎控除以下の100万円の生前贈与を毎年繰り返すと、20年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、税務署によっては1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束をした年に、定期金に関する権利(20年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとみなされて贈与税がかかってしまう場合があります。

【注意点②】よくあるのが、贈与した「つもり」

贈与は、贈る側と受け取る側の合意があって初めて成立します。たとえば、子どもや孫の口座に毎年内緒で基礎控除額以下の100万円を振り込んでいて、贈与と認められないケースはよくあります。

子どもや孫がもらったという認識がなく、通帳も印鑑も親や祖父母が管理しており、通帳に使った形跡が見られないというような場合には贈与が成立せず、親の相続財産とみなされる場合があります。

【注意点③】贈与契約書を作成する

贈与税の基礎控除の適用を受けるためには、対象行為が贈与であることを税務署に認めてもらう必要があります。
その承認に有効なのが贈与契約書です。

この契約書には、下記5点を明記しなければいけません。
(この記載に不備があると、場合によっては贈与が認められません。)

1.誰が(贈与者)
2いつ(贈与時期)
3.何を(贈与財産の内容)
4.どうやって(贈与の方法)
5.誰に(受贈者)

この契約書が適正に作成してあれば、贈与が確実に行われた証明になるので、贈与の契約が否定されることはありません。

贈与金額が年間110万円以下の場合は、贈与税の申告をする必要がありませんが、後々税務調査が入った際に税務署に否認されないためにも、贈与する際にはしっかりと贈与契約書を作成しておきましょう。
対して、もし贈与金額が年間110万円を超える場合は申告が必要になりますので、申告の際には贈与契約書の添付も忘れないようにしましょう。

また、贈与対象が土地や建物といった不動産の場合、登記されていないと贈与とはみなされませんので、法務局で登記事項証明書を取得して確認しておく必要があります。

生前贈与する際の流れ

生前贈与を行う際の流れと、必要書類などについて説明していきます。

金銭贈与の場合

金銭の贈与は一般的に、生前贈与が確かに行われたことを証明するために贈与契約書を作成します。

この贈与契約書を作成せずに、通帳への記帳などで代用しようとする場合があるようですが、契約書ではないので証明は厳しいものになり、贈与として認められない事例も多々あります。

税務署に確実に認めてもらい相続時のトラブルを避けるためにも、金銭贈与の場合の贈与契約書は用意しておきましょう。

また、よりしっかりとトラブル回避をするためには、契約書は手書きで作成し、捺印は実印で押印し、印鑑証明書を添えることです。
そして贈与時期が客観的に記録されるので、銀行送金を利用することも大切です。

不動産贈与の場合

土地や家屋などの不動産を贈与する場合も、まず金銭の贈与と同じように贈与契約書を作成しますが、不動産の場合はさらに生前贈与の登記申請が必要です。

登記申請は名義変更のために行われ、下記の書類を法務局へ提出して手続きします。

・不動産の権利証または登記識別情報
・印鑑登録証明書(登記申請時点で発行より3か月以内)
・登記原因証明情報
・固定資産評価証明書(該当物件所在地の市町村役場で取得)
・不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)
・新名義人の住民票
・登記申請書

なお、名義変更(=所有権移転登記)をする際には、登録免許税が課税されます。
金銭贈与に比較すると複雑な手続きですので、登記申請のプロである司法書士に依頼するのがおすすめです。

生前贈与は相続税対策に効果あり!正しく理解すれば確実な成果に

生前贈与は、その仕組みを理解して使いこなせば、相続税を節税することにつながります。また、贈与者が財産取得者を選べるというメリットもあり、被相続人の死後に相続人同士のトラブルを回避する効果が期待できます。

ただし、理解が充分でないと相続税と変わらない高い税率で課税されますし、必要以上の相続トラブルも招きますので、注意が必要です。

贈与で大切なのは第三者である税務署に認めてもらうための証明です。
金銭贈与の場合も不動産贈与の場合も、必要な要件を満たした贈与契約書を作成します。

申請手続きが難しい場合は、司法書士に相談して力をお借りすることをおすすめします。

関連記事はこちら:「土地活用はなぜ相続税対策として有効なのか?

関連記事はこちら:「相続税対策の失敗例と落とし穴

※写真はイメージです
※記事中では一般的な事例や試算を取り上げています。個別の案件については、お気軽にお問い合わせください。

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鈴木 広典

トキワユナイテッド
パートナーズLLP
代表パートナー・税理士 鈴木 広典

収益不動産は生前贈与の
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