集合住宅の防犯

土地や建物に関するコンサルティングカンパニーSEIWAから土地オーナーの皆様の今後をサポートする情報を毎月お届けする「生和ジャーナル」vol35

SPECIAL FEATURE
賃貸物件にも求められる「安心」

集合住宅の防犯の現状と対策を考える

セキュリティ関連の設備に対するニーズの高さは不変

侵入窃盗の危険にさらされやすい物件とは?

侵入窃盗は減少しているが、1日あたりで約132件発生

この10年以上の傾向として、空き巣など住宅への侵入被害は減ってきています。これは、ピッキングやサムターン回しといった手口に対応した防犯性の高い玄関ドアや2ロック仕様、防犯合わせガラスを採用した窓の普及が効果を上げているためと考えられます。

警察庁のデータによれば、侵入窃盗の認知件数が減少に転じたのは平成15年以降。平成26年は93,566件で、前年比-12.8%と、12年連続で減少しました。

このうち住宅を対象とした侵入窃盗は、平成16年以降減少しており、平成26年は48,120件で、前年比-16.7%でした。減少したとはいえ、一日当たり約132件もの侵入窃盗が住宅で発生していることになり、防犯への関心や犯罪に対する不安はますます高まっているのが現状です。

侵入窃盗が発生した住宅56.1%の内訳

侵入による被害が多いのは一戸建てと低層集合住宅

侵入窃盗の発生場所別認知件数は、住宅が56.1%*で最も多く、次が一般事務所の13.4%となっています。

共同住宅だけでみると、低層集合住宅への侵入被害が多いことがわかっています。図2にあるように、低層集合住宅の場合、侵入窃盗の侵入口で半分以上を占めるのが窓(56.5%)。次が表出入口(31.7%)。4階建以上では、これほど窓に集中していません。低層の建物では窓に手が届きやすいので、防犯対策は窓を重視するべきでしょう。

侵入犯罪の手口、人気設備ランキング

安心と思われがちなマンションにも注意

戸数が多いマンションでもエントランスは通常1ヵ所だけなので、戸建住宅に比べれば安全です。しかし、不特定多数の人が棟内へ出入りするので、不審者をチェックすることが難しいという面もあります。また、隣近所と没交渉になりがちなので、隣人の目による監視はあまり期待できません。

「高層階だから安心」と思っている人も多いですが、エントランスのオートロックに頼りきって部屋のドアの施錠をしないことが習慣になってしまい、被害に遭った例もあります。また、一般に空巣の侵入口は、①1階 ②2階 ③最上階の順と言われていますが、雨樋をよじ登ったり、他の住戸からベランダ伝いに入ったりする侵入者もいるので、階数はあまり当てにしないほうがいいようです。

エントランスの存在が防犯につながる

迷惑行為を行う入居者にステップを踏んで通告

低層の集合住宅の防犯はエントランスが鍵

集合住宅のエントランスには、防犯上、右記のような利点があります。

人気設備のランキングで常に上位にあるオートロック。これを重視するのは主に女性や高齢者でしょう。

実際、オートロックのメリットというのは、入居者にとってはかなり大きいといえます。勧誘などを対面せずに断れますし、外の世界と何重にも「壁」がある、容易に自分のプライバシーに侵入されることはない、という精神的な満足感、安心感は絶大です。侵入しようとしている側にしてみれば心理的に入りにくく、結果として犯罪の発生件数を低下させることにつながっています。

木造賃貸住宅でも集合エントランスを実現

FG35(生和一括借上システム)とSEIWA24(生和24時間インフォメーションサービス)

木造の2階・3階規模の集合住宅の場合、居住空間と外界を隔てるのが個別住戸の扉だけだったり、敷地に入る際の門扉であったりする場合がほとんどです。そこで、近年の防犯に対する入居者の関心の高まりを受け、木造賃貸住宅でも集合エントランスやオートロックを完備する商品が出てきました。

当社で発売しているハイクオリティな3階建の木質賃貸住宅「ReUrb TOWN(リアーブ・タウン)」は、集合エントランスが標準装備。オートロックとTVインターホンも採用し、木造住宅でありながらマンション並みのセキュリティを実現しています。一般的な賃貸住宅と一線を画し、高い人気を獲得できる差別化を図った賃貸住宅建築は、賃貸経営を成功させる上での大切な要素といえるでしょう。

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ONE POINT!

有馬 正子

一般財団法人
ベターリビング
住宅部品評価
グループ長 有馬 正子

ハイスペックな防犯対策
商品の普及が望まれます

一般財団法人ベターリビングでは、住生活水準の向上に資する事を目的に、防犯性に関する住宅部品として「防犯BL-bs部品」(玄関ドア、玄関ドア用錠前等6品目)の認定も行っております。これらは、定められた試験方法により5分の侵入抵抗を持つ高い防犯性能を有する部品ですが、侵入に至らないまでも部品が毀損される可能性があります。そこで、居住者の方々の更なる安心、安全の向上を図ることを目的に、そうした犯罪行為で当該部品が毀損された場合、当該部品の交換等に要する一定額を当該住宅部品の所有者に対して直接支援しております。採用をぜひご検討ください。

防犯の「今」を
知ることができる一冊

犯罪者はどこに目をつけているか

『犯罪者はどこに目をつけているか』
清永賢二・清永奈穂 著

わが身、わが家、わが近隣を守るために何をすればいいのか。不審者への対処法から、伝説的大泥棒の実践レッスンまで、犯罪生態学の知見を活かした異色の防犯読本。
(756円)

▸問合せ 新潮社
TEL:03-3266-5411

泥棒はなぜ「公園に近い家」を狙うのか?

『泥棒はなぜ「公園に近い家」を狙うのか?』
梅本正行 著

著者は内閣府NPO法人日本防犯学校学長。犯罪アナリスト。防犯のエキスパートだからこそ言える、防犯対策のノウハウ、そしてお金をかけない防犯術。目からウロコの情報が満載。(1,404円)

▸問合せ 現代書林
http://www.gendaishorin.co.jp/

世界の有名な建築物をご紹介します!

オルタ美術館

オルタ美術館

アール・ヌーヴォーの巨匠といわれるヴィクトル・オルタ(1861-1947)の自邸兼アトリエで、1898年から1901年にかけて建造されました。優雅な曲線にあふれた建物ばかりでなく、壁画やモザイク装飾、家具、ステンドグラスなどのすべてがオルタの設計で、素晴らしい調和を見せています。その芸術的価値により、「建築家ヴィクトル・オルタの主な都市邸宅群」として世界遺産に登録されました。なお、登録された邸宅はタッセル邸、ソルヴェー邸、ヴァン・エドヴェルド邸、そしてオルタ邸の4つですが、美術館になっているオルタ邸以外は私邸なので、一般観光客には公開されていません。

生和コーポレーション編集部

「すべてはオーナー様のために」をテーマに、土地をお持ちの方の目線で、不動産の有効活用に関連する情報を発信しています。当社の豊富な実績をもとに、税理士や建築士、宅地建物取引士などの有資格者が監修した記事も多数掲載。賃貸マンションの建設・管理から相続や税金の話まで、幅広いコンテンツを公開中。

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会社名
生和コーポレーション株式会社
所在地

西日本本社
大阪府大阪市福島区福島5丁目8番1号

東日本本社
東京都千代田区神田淡路町1丁目3番

会社設立
1971年(昭和46年)4月16日
お問い合わせ・ご連絡先
0120-800-312

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