賃貸経営に伴うトラブルの傾向と対策

土地や建物に関するコンサルティングカンパニーSEIWAから土地オーナーの皆様の今後をサポートする情報を毎月お届けする「生和ジャーナル」vol52

SPECIAL FEATURE
避けては通れない問題にどう向き合うか?

賃貸経営に伴うトラブルの傾向と対策

法的なトラブルにも対応できる体制づくりを

中心となるのは入居者様とのトラブル

オーナー様が直面するトラブルの対象は二つ

入居者様の生活騒音や家賃の滞納、管理会社との連携不足など、オーナー様が直面するトラブルは様々ですが、大きく以下の二つに分けることができます。

A オーナー様と管理会社などとの間に発生するトラブル
B オーナー様と入居者様との間に発生するトラブル

大半のトラブルは話し合いで解決できるものですが、中には長期にわたって解消されないケースも。場合によっては訴訟にまで発展し、法的な決着が必要となることもあります。

管理会社などとの間で発生するトラブル

賃貸物件の管理会社は賃貸経営のパートナーといえる存在ですが、以下のようなトラブルが発生することがあります。
ひとつは管理契約に関するもの。管理会社から一方的に契約を解除されてしまった。あるいは逆に、契約の解約に応じてくれないといったケース。管理会社が契約内容通りの業務を遂行せず、入居者様からのクレームがオーナー様に直接上がってくるなどのケースがあります。
次にサブリース契約に関するもの。サブリースは、保証会社が賃貸物件をまるごと借上げて管理も全面的に請け負い、オーナー様の収入を保証するというものですが、契約内容の見直しが順調にいかないケースなどがあります。
いずれの場合も、管理会社との契約書に諸条件が記載されていますので、会社の担当者からの説明を聞くだけでなく、記載内容をきちんと読み込み、疑問点などは契約の前に確認する必要があります。業務内容や義務についても明確にし、これらを双方が認識したうえで契約すれば、トラブルに発展することは少なくなります。

入居者様とのトラブルで多いのは敷金・保証金関連

PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)によると、賃貸住宅関連の相談件数は2010~2015年度の年間平均が3万件以上となっています。
この数字は相談件数ですので、トラブルの数というよりも「表面化したトラブルの数」というのが正しいといえます。賃貸契約において「オーナー様の利益」が優先だった時代から、「入居者様の利益」が重要視される時代へと変化したことも、相談件数増加の要因と考えられます。
入居者様とのトラブルには、以下のようなものがあります。

1.敷金返還請求に関するトラブル
2.原状回復費用に関するトラブル
3.更新料請求に関するトラブル
4.騒音などの近隣トラブル

 1.かつては敷金・礼金が各2カ月分、あるいはそれ以上という契約も珍しくありませんでしたが、現在ではゼロという物件もあります。敷金は節約可能と考える人が増えた時代背景を反映してか、消費生活センターで受け付けた賃貸アパート・マンションに関する相談の4割近くが、「敷金・保証金」に関するものとなっています。
 2.トラブルの元となりやすいのが、退去時の「原状回復」の費用負担に関するもの。原状回復については民法の改正が予定されていますが、猶予期間も含めると2020年ごろの施行という観測もあります。現時点では各都道府県単位の条例などを拠り所にしてそれぞれ異なった対応がなされており、それがトラブルの一因となっています。
 3.更新料請求に関するトラブルは、契約更新時に入居者様が一方的に更新料の支払いを拒否する場合や、退去の意思表示や引っ越しが遅れて更新料を請求されたが支払いたくない、と主張するケースなどがあります。管理会社が契約書を盾に更新料の支払いを要求することは当然可能ですが、柔軟に対応した方がよいケースもあるでしょう。
 4.騒音や近隣トラブルの解決は非常に困難な部分があります。契約によって発生を防げるといったものではないため、管理会社は遅くまでクレームに対処したり、必要であれば全入居者に書面で注意を促したりといった対策を講じることが求められます。

法的なトラブルに対してどう備えるか

弁護士などへの相談が必要になる事案も

トラブルの内容によっては、弁護士などに訴訟事案として解決を依頼することも必要です。しかし、個人でアパートや賃貸マンションを経営されている場合、弁護士とやり取りをされた経験がある方は少ないでしょう。
弁護士への依頼では、当然費用がかかります。金額が心配になるところですが、数万円程度から賃貸経営に関する顧問弁護士サービスを提供する法律事務所もあります。
なお、「不動産適正取引推進機構」では、訴訟となった際の判例などをデータベース化し、インターネット上で公開しています。カテゴリー別に判例がまとめられていますので、トラブルの際に参考にしてみるのもいいでしょう。
賃貸物件の管理の形態には複数あり、そのどれを選択するかによって、問題が起こった際のオーナー様の負担は変わってきます。
オーナー様による自己管理の場合、司法書士や弁護士などにご自身で相談する機会が生じることを想定するべきでしょう。その際の費用負担なども、自己管理の際の経費としてみておく必要があります。

サブリースによる負担の軽減

トラブル対処の負担を減らしたければ、家賃集金などの基幹業務までを業者に委託する方法もあります。家賃保証やクレーム対応などがセットになっている契約であれば、オーナー様の負担はかなり軽減されます。
また、そもそものトラブル対応自体のリスクを回避したいという方は、サブリース契約も検討されてはいかがでしょうか? オーナー様から一括で借上げるサブリース会社が貸主となるため、入居者様とのトラブルに直面する立場から離れることができます。また、クレームなどへの対応を含め、賃貸経営に関する煩雑な業務から完全に手を放すことができます。トラブルの多い昨今の状況を考えれば、法的トラブルを回避しやすいサブリースも選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

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田中 利生

齋藤総合法律事務所
弁護士 田中 利生 1969年生まれ
東京出身
第二東京弁護士会所属

賃借人が行方不明になった際の対応方法

賃借人が行方不明になったとしても、賃料の3か月分の未払いがなければ、現実的には賃貸借契約を解除することができません。また、行方不明ですので、解除通知書の送付から公示送達を行わざるを得ず、手間と時間を要します。明渡請求の認容判決が下されたとしても、居室内の行方不明者の動産を勝手に処分することはできず、強制執行手続を行う必要があります。さらに居室内にある賃借人の残置物に関しても当然に処分するということはできません。そのような対応を回避するためには、①家族を連帯保証人とし、家族を交渉の窓口とする方法、②一括してサブリースし、サブリース業者に行方不明者の対応を含め管理させる方法があります。

賃貸トラブルの実際について
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https://www.sanshusha.co.jp/

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ロイヤル・オンタリオ博物館(カナダ)

ロイヤル・オンタリオ博物館(カナダ)

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